小林「異世界召喚?」
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小林「あれ、ここどこ?」
小林「森の中?なんで?」
小林「おっかしいなー、散歩してたはずなのに」
小林「東京にこんなとこあったっけ」
小林「スマホで位置確認しよっと」
小林「……でない」
小林「もしかして、迷子?」
小林「ヨハちゃんと同じで不幸な目にあってるんだ!」
小林「いやー、困っちゃうなー」 花丸『そんなところで寝てないで、さっさと起きるずら』
高槻「……うるせぇ。ぶっ殺すぞ」
花丸『そんなこと言って、本当はマルのことが好きなのバレバレずら』
高槻「ちっ……」
花丸『……だから、早く立ち上がるずら』
花丸『マルも、きんちゃんのことがだーい好き、なんだから』 果南『これはこっぴどくやられたねぇ』
すわわ「うむ」
果南『やれやれ、素直じゃないんだから』
果南『でもまあ、だから私たちは似てるのかもしれないね』
すわわ「うむ」
果南『いつまでも倒れてないで、もう一度立ち上がるよ』
果南『力が出ない?仕方ないなぁ』
果南『じゃあ、ハグしよ?』 ダイヤ『大丈夫、なんて聞くだけ野暮という物ですね』
小宮「……情けないところ、見られてしまいましたね」
ダイヤ『何処が情けないのですか?』
ダイヤ『私の目には、仲間を助けるカッコいい姿しか写っていませんけど』
ダイヤ『ほら、シャキッとしてください』
ダイヤ『こんなところで負けるなんて、ぶっぶーですわ』 鞠莉『チャオ!マリーも応援に来たわよ』
愛奈「……夢?」
鞠莉『残念ながら夢じゃないわ。ここでみんなが負ければ、永遠に元の世界に帰れなくなる』
鞠莉『辛かったわよね。あいにゃは心の優しい人なんだから、戦うのだって、本当は嫌なんだよね』
鞠莉『でも、もう少し頑張ってほしい』
鞠莉『私も、もう一度会いたいから』
鞠莉『大丈夫、ちゃんと隣にいるよ』
鞠莉『この手、握っててあげる』 梨子『みんなは凄いな、こういう時、すっと言葉が出てきて』
梨子『私は口下手だから、気持ちを伝えることしかできないの』
梨子『私は、梨香子ちゃんのことが大好きだよ』
梨香子「…………」
梨子『本当は怖がりなところも、私にそっくりで』
梨子『なんて、こんなこと言ったら怒らせちゃうかな』
梨子『文句があるなら、元の世界にちゃんと戻ってきてから聞かせてね』 曜『元気、じゃないよね』
朱夏「曜、ちゃん?」
曜『うん、そうだよ。まだ頑張れそう?』
朱夏「……無理、だよ」
曜『無理なんかじゃないよ』
曜『だって、朱夏ちゃんは本当はなんでもできる力を持ってるんだもん』
曜『自信が無いなら、私が保証してあげる』
曜『だからもう一度、頑張ろう』
曜『ほら』
曜『全速前進、ヨーソロー!』 千歌『私ね、不思議だったんだ』
千歌『Aqoursは9人。だけど、側でいつも見守って、一緒に歌ってくれる人がいるような、そんな気がしてた』
千歌『その人は、何の取り柄もない、ただの普通怪獣な私を、最初から最後まで、ずっと見守って、側にいてくれた』
千歌『ねぇ、杏樹ちゃん』
千歌『私はね、ちゃんと自分の輝きを見つけたよ』
千歌『何もかも一歩一歩、私たちの過ごした時間の全てが輝きだったんだ』
千歌『その輝きの中には、杏樹ちゃんも入ってるんだよ』
杏樹「…………」
千歌『大丈夫、最後まで私は杏樹ちゃんと一緒にいるから』
千歌『だから、一緒に輝こう!』 善子「なんでよ」
善子「なんで……なんで、邪魔するのよ!」
善子「もう少しで、私と小林は結ばれるのに」
善子「それなのに……なんでみんな邪魔するのよ!」
小林「みんな、ヨハちゃんにこれ以上悪い子になってほしくないんだよ」
善子「え……?」
小林「ヨハちゃんの気持ち、私は嬉しいよ」
小林「でも、やっぱり、そのためにみんなを傷付けるなんて間違ってる」
善子「な、何言ってるのよ、小林」
善子「小林は私の味方でしょう?」
善子「早くこっちに来てよ……一緒にみんなを倒し……」
小林「……ごめん、ヨハちゃん」 善子「……嘘」
善子「嘘でしょ……嘘に決まってる……」
善子「だって、小林が、私のこと、見捨てるわけ……」
小林「…………」
善子「…………っ」ギリッ
善子「もう、いいわ」
善子「みんな、嫌いよ」
善子「小林も、Aqoursのみんなも、みんな、みんな!」
小林「ヨハちゃん、お願い、話を聞いて」
善子「うるさい、裏切り者!」
善子「あんたなんか……あんたなんか、死んじゃえばいいのよ!」 善子「【煉獄の焔】!」
闇の焔が地面を走り、空気を侵食しながら小林へと迫る。
降幡「させるかよっ!《流星》!」
降幡が振るった刃から出た光の斬撃が、雨のように降り注ぎ、闇の焔を掻き消していく。
相殺されると思っていなかった善子は、思わず息を飲んでしまう。
降幡「いくぞっ!」
善子「来られるものなら……来てみなさい!」
善子「【堕天・闇宝珠】」
愛奈「『光は闇を照らすもの。皆を守る盾となれ』」 巨大な重力を纏った闇が頭上に出現すれば、それを受け止める光の盾が現れる。
壁ごと飲み込むその闇は、光を飲み込むことはできず、消滅した。
降幡「でりゃぁっ!」
善子「っ……舐めるな!」
正面から突撃をする降幡に、善子が禍々しく光る剣を振り下ろす。
それはもはや加減のない一撃であり、当たれば即死するものだ。
しかし、その金属と金属のぶつかる音がし、その刃は弾かれた。
高槻「はっ!こんな軽い攻撃で調子に乗ってんじゃねーぞ!」
善子「っ……!」
降幡「もらった!」
高槻が剣を防いだことによってできた隙を見逃さず、降幡は善子の右手を掠めるように剣を振るう。
咄嗟に魔力で覆った右手であったが、それを感じさせないほど鮮やかに、真っ赤な鮮血が空を舞った。 善子「なっ!?」
それは善子からすればあり得ないことであった。
自身の防御力を貫く物があるなど、この世界ではあってはならないことなのだから。
小宮「戦闘中に気を抜くのは感心しませんわね」
善子「っ!」
振るわれた鉄扇を、自身を覆うように展開した翼で防御する。
小宮「今です!」
すわわ「うむ」
きん、と乾いた音。日本刀により放たれた一閃は、漆黒の翼を中程から刈り取り、善子の防御に穴が出来上がる。
小宮「そこっ!」
その隙に鉄扇を叩き込み、善子は強い衝撃を受けて地面を転がった。 善子「はぁ……はぁ……」
梨香子「聞こえたよ、みんなの声が」
梨香子「善子ちゃんを止めて欲しいって」
善子「くっ!」
咄嗟に手を前に出し、障壁を作ると同時に巨大な衝撃が、障壁を襲う。
バキバキバキ、と透明な空間にヒビが入り、善子の障壁は粉々に砕け散った。
善子「距離を……!」
朱夏「ごめん、取らせないよ」
一瞬で距離を詰めた朱夏は、善子の持っていた剣を跳ね飛ばし、善子の腕を掴んで空中へと投げ飛ばした。 善子「もう少し、だったのに」
善子「なんで、こんな!」
杏樹「やり方を間違えた」
杏樹「ただそれだけだよ」
善子「っ、うるさい!私は間違ってない!私は……私は!」
善子「【堕天使の弾丸雨】!」
杏樹「『烈火閃光】」
善子の周囲に展開された闇の弾丸が、無数の星となって杏樹へと降り注ぐ。
杏樹はそれに対し眉を動かすことすらしない。
杏樹の周囲で燃え上がる炎から打ち出された無数の光が、全ての闇を蹴散らし、善子へと襲いかかる。 善子「っ、ぐっ、ぁぁぁっっ!!」
空中で翼を焼かれた善子は、飛ぶことができず、そのまま地面へと落下をする。
その善子の目に写ったのは、自分のことを真っ直ぐに見つめる小林の姿。
善子「……いいわ、来なさい、小林!」
二人の周囲を取り巻く空気が歪み、震え上がる。
何者も干渉できない二人だけの世界。その一瞬の、心が触れ合ったような感覚に、二人の意識が研ぎ澄まされた。
小林・善子「「【堕天使の杭】!!」」
頭上から出現した巨大な杭が、空中でぶつかり合う。
お互いの想いをぶつけるように重なり合ったそれは、やがて均衡状態を抜け出した。
善子「……やれば、できるじゃない」
漆黒の杭はもう片方を打ち破り、その勢いのまま轟音と共に善子の体を地面へと突き立てた。 小林「ヨハちゃん!ヨハちゃん!しっかりして!」
善子が目を覚ますと、必死に善子の名を呼び続ける小林の姿が見に入った。
善子「……そう、負けたのね、私は」
小林「ヨハちゃん……ごめんね」
善子「なんで小林が謝るのよ」
小林「だって、私、ヨハちゃんのこと……」
善子「……気にしてないって言えば嘘になるわ」
善子「でも、小林の選択は正解だった」
善子「力に溺れて、何にも見えてなかった」
善子「全く……最低ね、私は」
小林「そんなことないよ」
小林「だって、ヨハちゃんは私と一緒にいたいから、こうしてみんなと戦ったんだよね」
小林「本当はダメなんだと思うけど、私は嬉しかったよ」
善子「……全く、バカなんだから、小林は」 善子「もう少し話していたいけど、あんまり待ってはくれなそうね」
杏樹「…………」
善子「小林、悪いけど、そこの短剣取ってくれる?」
小林「別にいいけど、何に使うの?」
善子「いいから。……ん、ありがとう」
その短剣を見て、善子はにっこりと微笑んだ。
それは何かを諦めたような、儚い笑顔。
ぐちゃり。
響き渡る誰かの悲鳴。
小林が止める間もなく、善子はその短剣を自分の胸へと突き刺した。 小林「ヨハちゃん!?なんで!?どうして!?」
小林「あんちゃん!回復魔法!お願い!」
善子「……無駄よ。心臓を潰したわ」
善子「これでもう、私は助からない」
小林「なんで、こんなこと」
善子「元の世界に戻る方法は、私が死ぬこと」
善子「それを知ったら、小林は止めるでしょ?」
小林「だから、言わなかったの?」
善子「ええ、そうよ」
小林「っ……いやだ」
小林「いやだよ、こんな、お別れなんて」 善子「……何泣いてるのよ、小林」
善子「私がいなくなったら、慰めてくれる人なんていないわよ」
小林「いやだよ……そんなこと、言わないでよ」
小林「私、ダメなんだよ。ヨハちゃんがいないと、なんにも、できないんだよ」
小林「バカだから、一人じゃなんにも、できない」
小林「お願い……一人に、しないで」
善子「……小林は、一人じゃないでしょ」
善子「大切な仲間が、いるじゃない」
小林「っ、でも!ヨハちゃんが……ヨハちゃんが、いてくれないと……!」
善子「……全く、小林は仕方ないんだから」 善子「ねぇ、最後に、お願いを聞いてくれる?」
小林「何……?」
善子「……キス、しなさいよ」
小林「キス……」
善子「せっかく小林に会えたんだもの、ファーストキス、私に差し出しなさい」
善子「私のファーストキスも、あげるから」
小林「……うん」
善子「……全く、酷い顔ね」
善子「こういう時くらい、笑ってしなさいよ」
小林「っ……ぅ、うん、」
泣きながら唇を触れ合わせる小林とは対照的に、善子は穏やかに笑い、その感触を味わった。
それがもう、二度と感じることのできないものだと知っていたから。 小林「っ!?ヨハちゃん!?ヨハちゃん!!」
小さな光が、徐々に大きくなって善子を包み込んで行く。
善子「お別れ、ね」
小林「いやだ、いやだ!」
小林「魂でも、なんでもあげるから、」
小林「側に……いてよ……ヨハちゃん……!」
善子「……大丈夫」
善子「小林が私のことを大切に想ってくれてる間は、私はずっと小林の側にいるから」
小林「……っ、ほん、とう?」
善子「……ええ、本当よ」
善子「だから……泣かないで、頑張りなさい」
善子「今まで、ありがとうね」
善子「……大好きよ、小林」
光は善子を、小林を、そして世界中を包み込んだ。 〜
小林「よーし、お仕事終わったー!」
小林「急いで帰らないと!」
元の世界に戻ると、小林達は来た時と同じ場所にいた。
どうやら時間は経っておらず、あの時の記憶を持ったまま帰ってきたらしい。
小林「ん?あそこにいるのは……りきゃことあいにゃ?」
小林「おーい!二人ともー!」
愛奈「あいきゃん!今帰りなの?」
梨香子「なんかきたw」 小林「そうだけど、二人はどうしたの?」
梨香子「買い物w」
愛奈「りきゃこが新しい服買いたいって言うから付いてきたの」
小林「あいにゃは買わなくていいの?」
梨香子「私のあげるからいいよw」
小林「ほえー、それでいいんだ」
愛奈「うん……貰えるの、嬉しいから」
梨香子「一番高いのあげるからw」
愛奈「あんまり気を使わなくていいんだよ?」
愛奈「それとも、あっちで言ったこと……気にしてる?」
梨香子「してないしw」
梨香子「次向こう見に行くぞw」
愛奈「うん。またね、あいきゃん」
小林「またねー」 〜
小林「仲直りしてて良かったー」
小林「って次のところ向かわないと……ん?」
杏樹「なんで私と朱夏のデート場所に女狐がいるのかな?」
由佳「朱夏が予定入ってるなんて言うから様子を見に来たらクソ女に誑かされてたなんて笑えないですね」
朱夏「……あ、あのさ、二人とも、一旦落ち着こう?」
杏樹「朱夏はどっちとデートしたいの?」
由佳「もちろん私だよね?」
朱夏「いや、なんていうか……あ!あいきゃん!おーい!」
小林「え?」 杏樹「まさかあいきゃんもしゅかを狙いに?」
由佳「もう一人抹殺対象が増えましたね」
小林「うぇっ!?わ、私は違うって!」
杏樹「もういい。今日こそしゅかのファーストキスを貰うから」
朱夏「いや、私初めてじゃないし」
杏樹「え?どこの誰!?」
杏樹「見つけ出して絶対抹殺しないと!」
朱夏「……うるさい。自殺でもしてろ、ばか」ボソッ
杏樹「え?何か言った?」
朱夏「なんでもない!もういいから、三人で出かけるよ!」
朱夏「喧嘩は禁止だからね!」
杏樹「はーい」
由佳「しゅかが言うなら」
小林「しゅかも大変だねー」 〜
小林「うわ、凄い人だかり!」
小林「急いでるのに何してるんだろう」
小林「ん?」
「握手して下さい!」
「私も!」
「きゃー!触っちゃった!」
すわわ「うむ」
有紗「zzz」
小林「あれ、すわわとありしゃだ」 すわわ「うむ」
有紗「zzz」
小林「うーん、遊んでたらみんなに見つかった感じ?」
すわわ「うむ」
小林「大変だねー、二人とも」
「あ!あいきゃんだ!」
「握手して下さい!」
小林「え……どうしよう、時間……」
有紗「ここは私たちに任せて、行きなさい」
すわわ「有紗は寝てていいよ」
有紗「zzz」
小林「えーと……ごめん!お願い!」
すわわ「うむ」 〜
小林「急げー!」
降幡「あれ、あいきゃんじゃん」
高槻「何してんだよ」
小林「二人こそ何してるの?」
降幡「買い物に来てるんだよ」
降幡「大好きな子のために本読むとか言い出した奴がいてよ」
高槻「はぁ〜?そんなこと言ってませんけど〜?」
小林「いいじゃん、読者!」 高槻「それより、あいきゃんはなんで急いでんだよ」
小林「え、あ、そうだった!」
小林「早く家に帰らないといけないの!」
降幡「何かあるのか?」
小林「そうじゃないけど……さよなら!」
高槻「あ、おい……全く、なんだってんだ」
降幡「まあ、でもあれだろ」
高槻「うん、多分あれだろうな」 〜
小林「はぁ、はぁ、あと、少し、」
旅をして、分かったことがある。
世界中にはいろんな人がいて、みんなが支え合って生きてるってこと。
小林「到着……っと!」
誰かを大切に想う気持ちは、何処に行っても変わらない。
想いが通じていれば、なんだってできる、勇気に変わるんだ。
小林「ただいまー!」
ううん、勇気だけじゃない。
想いを重ねれば、奇跡だって、なんだって、起こせるんだから。
小林「待たせてごめんね」
「全く、そんなに慌てなくても大丈夫なのに」
善子「おかえりなさい、小林」
〜fin〜 長篇完結、お疲れ様でした!
最近はこちらのSSを見るのが日ごろの楽しみの一つでした。
素敵な物語をありがとう…! 1月半は経ている長編なんて初で驚き
完結乙、楽しめたよ。定期保守も乙 おい!おい!お疲れ様だよ!楽しませてもらったんだよこっちは!! 神
おつでした。序盤なんかはどうなることかとヒヤヒヤしたが、それすらも綺麗に上手くまとめられてすごいなぁ…好き… 小ネタかと思って読み始めたが、思いの外熱い展開で良かった キャストについてはよくわからないけどとても面白かった!
(由佳って誰…?) >>665
闇杏スレにちょっと顔だしてきたらわかるよ >>665
しゅかの幼馴染で、現在はNGT48のメンバー
二人ともアイドルで幼馴染ということで一緒に雑誌の表紙を飾ったことがあったり、こないだの紅白などでもAKBとして出演するなど共演(?)の機会が多い方 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています