雨降る日に……


どしゃ降りの雨の中で、傘もささずに公園の真ん中で立ち尽くす人影を見かけた。

最初は、不審者か何かと思って見ないようにしたけど。

進行方向にいるから、どうしても目に入ってしまう。

それに、公園に近付くにつれて、中央に佇む人物にどこか見覚えがあるような気がして、
視界の端にいるそいつをついつい意識してしまった。

でも、この距離だと確信が持てないし、その見覚えのある人物が人物だけに「まさかね」と、その可能性を否定しながら進んだわ。

でも、一歩一歩近付く度にその可能性は無視できない物に変わっていったの。

大雨で視界も悪かったから、ここまで近付かないと気付かなかったけど。

だけど間違いない、あれはびしょ濡れになった……


にこ「っ!ちょっと絵里!なにやってんのよ!?」


私がそう声をかけると、絵里は虚ろな瞳でこちらを見つめてくる。

その後、ゆっくりと嬉しそうに微笑んだ。