穂乃果(44)「もうちょっとだけ、待っててね!」【SS・Part2】
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海未「…………」
ギシッ…
海未「………!」パッ
花陽「海未ちゃん」
海未「……花陽」
花陽「久しぶりですね…」
花陽「うん…」 海未「……どうぞ、座ってください」
花陽「うん…」スッ
花陽「………海未ちゃんは………家元を継がないとダメだもんね」
海未「……えぇ」
花陽「………」
海未「私はもう…やる事はやりました…」
海未「家元を継いで…色々と迷惑をかけてしまった母上に恩返しを…」
花陽「……やる事はやったっていうのは秋穂ちゃんのこと?」
海未「………」
海未「……今まで、あの子の面倒を見るのに手一杯でした……」
海未「でも今は…もう、その必要もないので…」
花陽「……そっか」 花陽「海未ちゃん……私、秋穂ちゃんに会いたいの」
海未「……秋穂に?」
花陽「うん……」
海未「……なぜですか?」
海未「“あいどる”が生き返ったあと、秋穂は花陽……あなたのところに行ったと聞きましたが」
花陽「……一時は協力を仰がれて……一緒に行動してた」
花陽「でも、秋穂ちゃんはだんだんやる事言う事が過激になっていって…ついに私たちと意見が対立した…」
海未「………」
花陽「今、噂になってる組織があるの…」
花陽「“あいどる”と敵対する過激派組織…リーダーはその冷徹さから、氷の女王と呼ばれてるって…」
花陽「……この氷の女王って秋穂ちゃんじゃないのかな……?」
海未「………」 海未「……そうかもしれません」
海未「……秋穂の件ですが……今、あの子と連絡を取るのは私でも難しいんです」
花陽「……お願い海未ちゃん、私……秋穂ちゃんを説得したいの」
花陽「私たちの一派と秋穂ちゃん達の一派で意見が対立して…それ以来絶縁状態なんだ…」
海未「…武装蜂起を止める気ですか…?」
花陽「うん……止めた方がいいよ……絶対」
海未「…秋穂は説得されて止まるような子じゃありません…」
海未「……しかし……花陽の言う通り……止めないといけません……」
海未「……秋穂は……穂乃果に似て、1人で抱え込む子です……」
花陽「………」
海未「放っておいたら本当に命さえ投げ出すかもしれません……」 海未「……生まれた時から母親である雪穂はいなかった……」
海未「……幼少期に最愛の伯母を失った……」
海未「唯一の肉親である祖母とは会えなくなり……ずっとあの子は1人で戦い続けている」
海未「片親は誰かもわからない悪の象徴……あの子の境遇を察すると……私は……」
花陽「……だから秋穂ちゃんに何とかして」
海未「……いえ、秋穂を止めるのは無理です」
花陽「え?」
海未「ですが、秋穂の手を汚さない事は出来ます」
花陽「それって…」
海未「……もう一度、私たちμ'sが立ち上がるんです」 花陽「海未ちゃん……本気?」
花陽「無理だよ……もう……私たちじゃ」
海未「…!何を弱気になっているんですか花陽!」
海未「あなたはボノカ一派のリーダーなんですよ…?自信を持ってください!」
海未「……“あいどる”は世界を征服しました……もうあとは人類を滅ぼす以外にやる事がないッ!」
海未「“あいどる”の標的は私たちです……なぜ、μ'sを目の敵にするのかはわかりませんが……」
花陽「………」
海未「……思うんです……彼女ほどの権力があれば……いつでもμ'sを……私たち8人を殺せたはずではと……」
海未「それをしなかったのは…何か理由があるからじゃないかと…」
海未「……もし、彼女の暴走の原因が私たちにあるとすれば……それを解決するのは娘である秋穂ではなく、私たちμ'sだと思うんですッ!」
花陽「………」 花陽「」スッ
海未「………?」
花陽「」スタスタ
海未「花陽…?」
海未「どこに行くんですか花陽!」
花陽「」ピタッ
花陽「………海未ちゃん………もう無理だよ」
花陽「なるようにしかならないと思うんだ……」
海未「花陽…」
花陽「…やっぱり、私はリーダーに向いてない…」
海未「そんな事……ボノカ一派をここまで率いてきたのは間違いなくあなたです……」
花陽「………」 海未「花陽、今ここでくじけてどうするんですか…?」
海未「私たちが踏ん張らないと本当に世界は…」
花陽「……私には何もないから」
花陽「海未ちゃんみたいな包容力とか統率力とか……穂乃果ちゃんみたいなカリスマ性もない……」
海未「……そんな事ないです……スクールアイドル部の部長もやり遂げたじゃないですか……どうしたんですかいきなり……」
海未「花陽にしかない長所だってたくさん…」
花陽「……きっと、きっとね」
海未「……?」
花陽「きっと、“あいどる”は本当のアイドルになれなかったんだと思う……」
花陽「どこかで踏ん切りをつけて諦めていたけど……急に疎ましくなったんだと思う」 花陽「μ'sは…しっかりみんなで終わりって決めて…ちゃんとライブもやって…最後を迎えれた」
花陽「あの時の今が楽しくて…最高で…私たちはそれで満足だった…充実感もあったし…やり遂げたっていう達成感もあった…」
海未「………」
花陽「でも…本当にみんながみんなそうだったのかな…」
海未「……どういう事ですか?」
花陽「例えば…“あいどる”となった彼女はその後…虚無感に襲われたんじゃないのかな…」
海未「……虚無感?」
花陽「うん……まだまだやりたいって……一緒に歩みたいって……思ったんじゃないのかな……」
花陽「私、思うの…もしかしたら“あいどる”はどこかで……誰かに……中途半端に希望を持たせられたんじゃないのかな……って」
花陽「μ'sのリーダーは間違いなく穂乃果ちゃんだよ」
花陽「その事に疑問を持ったことがある?」
海未「そんな事…私は一度だってありません…」 花陽「そっか……そうだよね」
花陽「うん、私もないよ……間違いなくμ'sのリーダーは穂乃果ちゃんだもん……」
花陽「でもその事に納得がいかない人もいるって事だよ、多分」
花陽「リーダーをやって気づいたことがあるんだ…」
海未「気づいたこと……何ですか?」
花陽「………」
海未「……花陽?」
花陽「……“あいどる”の気持ちなんて誰にもわからないよ」
海未「それは…そうかもしれません…」
花陽「海未ちゃん……そうかもじゃなくて……そうなんだよ……」
花陽「わからないんだよね、誰にも……それは穂乃果ちゃんだって、海未ちゃんだって、絵里ちゃんにだってわからないよ……」
海未「………」
花陽「………」
花陽「……秋穂ちゃんに会わないと」 -数日後-
海未「………花陽の様子」
海未「何か……」
海未「…………」
ガラッ
海未「……!」
こころ「海未さんッ!」
海未「こ、こころちゃん…?」
海未「どうしたんですかいったい、こんなところで…」
こころ「こっちです!」ヒョイヒョイ
海未「え?」
こころ「ついてきてください!」グイッ
海未「え!?ちょっと…!こころちゃん…!」 タッタッタッ!
海未「ちょ、ちょっとこころちゃん…!どこに連れて行ってるんですか…!?」
こころ「海未さんに会いたがってる人がいるんです!」
海未「あ、会いたがってる人…!?」
海未「…ッ!それにしたって…!いったいどこまで…!」
こころ「あとちょっとです!」グイッ!
海未「わっ…!」ヨロッ
こころ「あ…」
「あっ…!」
「危ない…!」パシッ
海未「……あ、ありがとうございます……って……」
海未「絵里…?」
絵里「大丈夫、海未…?」 こころ「ごめんなさい海未さん…私が引っ張りすぎたから…」
海未「いえ…大丈夫です、単に私が足を引っ掛けただけですから」
海未「……それにしても……絵里、帰っていたんですね」
絵里「えぇ…つい先日ね」
曜「東京に帰ってくるまで2年ぐらいかかりましたもんね〜…」
海未「……あの、そちらの方は?」
曜「……あっ、そうだ!海未さんとは初対面ですもんね!」
曜「初めまして!私は渡辺曜って言います!」
曜「そうですね、絵里さんの………絵里さんのお供してます!」
絵里「……連れ人」
海未「そ、そうですか…」
海未「園田海未です、よろしくお願いします」
曜「はいっ!存じてます!」 海未「しかし……ここまで来るのは大変だったんじゃないですか?」
こころ「そうですね…移動は全部徒歩なので正直疲れました〜…」
絵里「私の都合上、新幹線や電車といった公共の乗り物は無理だったから…」
曜「でも4人で固まって歩いてたら、どのみち目立っちゃいましたね」
絵里「なるべく人のいない道を来たから大丈夫とは思うけど………」
海未「あの……4人ではなく3人では?」
曜「…え?」
海未「絵里に曜にこころちゃん…3人ですよね?」
こころ「……あれ?」
絵里「そう言えば……」
曜「1人足りないような……」
こころ「…………ッ!」
こころ「ここあ……!ここあがいないです……!」
海未「えっ!?」 ・
・
・
ここあ「あれ〜…」
ここあ「もしかして…迷ったか」
ここあ「この辺あんまり来ないから道ほとんどわかんないや…」
グ~
ここあ「〜〜〜ッ」
ここあ「お腹減った〜…」スタスタ
ここあ「……ん!」ピタッ
ここあ「ラーメン屋さん……食べた〜い……」
ここあ「でもお金な〜い……」
ここあ「はぁ……お姉ちゃんたちどこだ〜……」 ここあ「海未さんの実家どこって言ってたっけ……」
ここあ「う〜ん」
ここあ「………あっ、そうだ!」
ここあ「せっかくここまで来たんだし…にこお姉ちゃんを探しちゃおう!」
老婆「!」
グ~
ここあ「もしかしたら何か手がかりがあるかもしれないし……しかしお腹減った〜……」
老婆「無料」
ここあ「…え?」
老婆「今ならラーメン無料」
ここあ「えぇ…」
老婆「中にいる娘に、店の前にいた老婆に無料と言われたと言いなさい」
ここあ「……ほ、本当に?無料?」
老婆「無料」 ここあ「(なんか怪しいけど…)」
グ~
ここあ「(もう限界だし…いいや!入っちゃえ!)」
ガラッ
ここあ「………ありゃ?」
ここあ「………あの〜!」
・・・シーン
ここあ「全然お客さんいないじゃん……店員さんもいない」
ここあ「というか話の娘さんがいない…」
ダッダッダッダ
ここあ「!」
主人「へい!すみません遅くなって!」
ここあ「……あれ?」
主人「へい?」 ここあ「私、娘さんが中にいるって聞いたんだけど」
主人「娘さん…?…あ〜!はいはい娘!」
主人「そこに!」
ここあ「そこ?」キョロキョロ
ここあ「……どこ?」
主人「そこっすよ!ってほらほら漫画読んでないで反応してあげてよ!」
主人「秋穂ちゃん!」
ここあ「秋穂?」
秋穂「」パタンッ
秋穂「……」
ここあ「うわっ…!?」
秋穂「……なに?」 ここあ「い、いつからそこに…!」
主人「入店した時からいたっすよ」
ここあ「………う、嘘〜」
秋穂「それで、私に何か用?」
ここあ「あっ…えーと、ラーメン無料って店前にいたおばあちゃんに言われたんだけど」
秋穂「………作ってあげて」
主人「へいっ!」
秋穂「………」スッ
秋穂「………」ペラッ
ここあ「(あ、ありゃ〜…また漫画読み始めちゃった)」 ギィ…
ここあ「……よいしょっと」
秋穂「」ペラッ
ここあ「……なんか、無料の割に人いないね〜」
秋穂「………」
秋穂「」ジッ
ここあ「……な、なに?」
秋穂「………」ペラッ
ここあ「……!?(む、無視……!?)」
ここあ「(なんかすっごい冷ややか…!)」 主人「へいっお待ち!」
ドンッ!
ここあ「お〜!美味しそう〜!」
ここあ「お姉ちゃんを探す景気付けに…!」
ここあ「いっただっきま〜す!」
ここあ「ズルズル!」
秋穂「………」ジッ
ここあ「……ん、ん?」
秋穂「いや、美味しそうに食べるなと思って」
ここあ「あっ、うん!美味しい!」 秋穂「あなた……」
ここあ「ふぇ?ズルズル」
秋穂「どこかで……会ったことある?」
ここあ「……わたひ?にゃいとモグモグおおうズルズルけど……」
秋穂「…ごめん、食べてる最中に話しかけて…」
秋穂「食べてからでいいや…」
ここあ「うん、ズルズル」
ここあ「(…なんだ、案外普通に喋るじゃん…)」 ゴクッ…ゴクッ…
ここあ「はぁ〜!美味しかった!」
ここあ「ご馳走様でした!」
秋穂「………あのさ」
ここあ「ん?あぁ、なんだっけ?」フキフキ
秋穂「さっきお姉ちゃんって言ってたけど、そのお姉ちゃんの名前って…」
ここあ「にこ、矢澤にこだよ」
ここあ「……え?もしかして、お姉ちゃんを知ってるの?」
秋穂「………」 ここあ「……あれ、待てよ?そういえば私もどこかで君の声を聞いたことある気が」
ここあ「ん〜…と…」
秋穂「………」
ここあ「どこでだっけ……」
ここあ「……ぶそ……武装……あっ!」
秋穂「………」
ここあ「思い出した!もしかして……」
ここあ「……いや、そんなわけないか〜!」
秋穂「……そうだよ」
ここあ「え!?」
秋穂「私だよ……私が……氷の女王」 ここあ「氷の……女王……」
秋穂「………どうする?ラーメン、まだ食べる?」
ここあ「……い、いや!もういいお腹いっぱい!」
秋穂「そっ…」
秋穂「………おばあちゃんから無料で食べる事を許されたって事はあなたは白って事だ」
秋穂「………でも、そっか………にこおばちゃんの……」
ここあ「……えっ?にこおばちゃん?」
秋穂「いや、なんでもないの……忘れて」
ここあ「……??」 秋穂「……もう帰れば?」
ここあ「えっ…あ、あぁ…そうしようかなぁ…」
主人「えっ!?」
ここあ「え!?」
主人「い、いいのかい秋穂ちゃん!?せっかく仲間になれそうな子なのにッ!」
秋穂「………」
主人「チャンポン達が使えない今、戦力補強は急務だろう?」
ここあ「(チャンポン…?長崎の?)」
秋穂「………いらない」
秋穂「……ねぇ」
ここあ「んっ!?な、なに?」
秋穂「………にこおばちゃんなら凛おばちゃん達と一緒にいるはずだよ」
ここあ「えっ!?やっぱりあなたお姉ちゃんを…!」
ここあ「……お、お姉ちゃんは今どこに?」
秋穂「……緩いボノカ一派のことなんて知らないもん……」
ここあ「……緩い?」
主人「………そうか」
主人「……さっ、食ったなら帰った!帰った!」ドンッ
ここあ「……え、えぇ!ちょ、ちょ〜〜!」
ガラッ、バタンッ
秋穂「………はぁ」 ガララッ
主人「ふぅ…ようやく帰った」
秋穂「……」ペラッ
主人「……氷の女王ねぇ」
主人「誰が言い出したか知らねぇがそんな子じゃないんだがなぁ」
秋穂「……」ペラッ
主人「伯母さんの友達の妹を死地に連れ込むのは抵抗があったんだろう?」
秋穂「……別に……そんなんじゃ……ない」ペラッ
主人「……フッ」
秋穂「」パタンッ
主人「!」
秋穂「アジトに戻る、しばらくここには来れないから…お店も閉めといて」
主人「あいよ」
秋穂「よろしく…」
ガラッ、バタンッ
主人「………非情になりきれてねぇんだよなぁ、女王」 バタンッ
老婆「いらなかったかい?」
秋穂「……ごめんなさい、せっかく勧誘してくれたのに」
老婆「にこの妹なら真っ白だし、いい戦力になると思ったんだがねぇ」
秋穂「………白なのは間違いないけど」
老婆「………気が引けたか?」
秋穂「………アジトに戻るね」
老婆「秋穂」
秋穂「………なーに?」
老婆「……穂乃果は生きてる」
秋穂「…………」
秋穂「………聞き飽きたよ」
秋穂「……生きてるならなんで帰ってこないの……?」
老婆「………」
秋穂「もういいよ、そんな同情は…」スタスタ トボトボ
ここあ「……あの子、お姉ちゃんの事知ってそうだったけど」
「ここあーー!!」
ここあ「!」
こころ「ここあ!」
ここあ「お姉ちゃん!なんでここに?」
こころ「なんでここにって…あなたを探してたのよ!」
ここあ「そっか…ごめんね」
こころ「皆さん心配してくれてるんだから、さっ…行きましょ」
ここあ「……うん」
こころ「………?」 ・
・
・
海未「こころちゃんだけで探しに行かせてよかったんですか?」
曜「やっぱり私も行きましょうか?」
絵里「いや……こころちゃんももう大人なんだし、大丈夫よ」
絵里「………本題に入りましょう」
海未「………はい」
絵里「………単刀直入に聞くわ」
絵里「氷の女王は……秋穂ね……?」
海未「………おそらく………いや」
海未「きっと、秋穂です…」
絵里「……そうよね」 絵里「武装蜂起の話は知ってる…?」
海未「聞きました…知っています」
絵里「……私には、秋穂が大勢の都民を扇動して、自分や人の命を粗末にするとは……どうしても思えない」
海未「………あの子が変わったのは………全部、私のせいです」
絵里「海未のせいじゃないわ、そう……あの子に取り巻く環境の全てが……あの子を変えたのね」
海未「……もし、こんな事がなければ……ただの……普通の愛らしい女の子に育ったはずなんです、秋穂は……」
絵里「………あの子が見てきた現実は………あまりにも残酷すぎたのよ………」
絵里「…物心がつく前から、彼女は戦い続けてる」
海未「……その緊張の糸はいつ切れてもおかしくなかった……私がもっと愛を注いでいれば……」
絵里「海未は充分なほど愛情を持って育ててきた、秋穂もそれは理解してるはずよ」
絵里「……ただ、あの子にとって……穂乃果の穴は何人でも埋めることが出来ないのよ……」
海未「………」 絵里「………秋穂に会わせてちょうだい」
海未「………」
絵里「きっとどこかにアジトがあるはず……海未、あなたなら知ってるんじゃないの?」
海未「……花陽にも聞かれましたが……すみません、私も……知らないんです」
絵里「………花陽………?」
絵里「花陽がここに来たの…!?」ガッ
海未「…!」
海未「え、絵里…?は、はい…先日1人で」
絵里「………ダメ、花陽に秋穂を会わせてはダメ!」
海未「え、え…?」
海未「なぜですか…?」
絵里「………」 絵里「あのパレード…“あいどる”が暗殺されたあの日…私は、裏路地に入りこむ花陽を見たの…」
海未「えっ…?あの日、花陽もパレードに来ていたという事ですか?」
絵里「……」コクッ
絵里「“あいどる”は…暗殺される直前に私に花を見せた…」
海未「……花?」
絵里「……思いたくはないけど」
絵里「花陽が……“あいどる”かもしれない……」
海未「…花陽が…“あいどる”…?」 絵里「いや…花陽だけじゃない…」
絵里「海未……もしかしたら……穂乃果は生きているかもしれない」
海未「ッ!?」
海未「穂乃果が…生きている?」
絵里「えぇ…ラジオから聞いた事のないフレーズが出てきた…あれは血の大晦日の前に録音したものじゃない」
海未「……穂乃果が生きているなら希望が!」
絵里「いや……おかしいのよ……」
海未「…え?」
絵里「だってありえないじゃない…!」
絵里「あの大爆発の中生きてるなんて……あそこから助かる可能性なんて0に近い…いや、0なのよ!?」
海未「……」
絵里「本当に穂乃果が生きているとすれば……穂乃果は……最初から私たち側ではなかったのかもしれない」
海未「いえ……そんなはず」 海未「……本当にそうだとしたら、“あいどる”は2人いるという事に……」
絵里「その線は十二分にありえるわ」
絵里「海未……穂乃果から……“あいどる”は複数人いるかもと仄めかされたことはない……?」
海未「そんなことッ!」
海未「…ッ!」
・
・
・
海未『つまり穂乃果は“あいどる”は一人ではなく何人か…複数人存在していると言いたいんですか?』
穂乃果『……どうかな、あくまでなんとなく感じただけだから……私も断言は出来ない」
穂乃果「けど何かしらの違和感は事実だし、その線もあると私は思うな』
・
・
・
海未「………」
絵里「……あるのね」 海未「確かにありました…!ありましたが…」
絵里「ことりも行方をくらましてるんじゃないの?」
海未「え?」
絵里「……“あいどる”があの日示した、花の意味……」
絵里「自ずと答えが導かれるわ……」
絵里「……Printempsが……“あいどる”」
曜「………あの、Printempsって確かμ'sのユニットですよね」
曜「Printempsと花って何か関係があるんですか?」
絵里「……Printempsは花のイメージが強い」
曜「……なんか……うーん……どうでしょう、海未さん……?」
海未「絵里、それは……」 「..もう出なくなったの..?だらしないね..」パンパン
「ゆ..ゆる..し..」(ガクッ >>46
必要とあらば身体を捧げるくらいはやりそう 秋穂のビジュアルは実写版に伴えば平愛梨か
あのカンナ格好良かったなー 海未「…それはありえません」
絵里「……!」
絵里「……なんでそう思うの?」
海未「……感です」
絵里「感……?」
絵里「……海未らしくないわね」
海未「らしくないのは絵里ですよ……」
海未「疑心暗鬼になる気持ちもわかります…ですが、ありえません」
海未「…はっきり言います…μ'sに“あいどる”はいませんん…!」 絵里「……どうして、そう言い切れるの?」
海未「……恥ずかしながら昔、ことりを“あいどる”と疑った事があります……」
絵里「………」
海未「でも、私はあの時確信したんです……」
絵里「……あの時?」
海未「はい……2019年、“あいどる”を止めるためにμ'sが再集結したあの時」
海未「誰1人として私たちを陥れようと……嵌めようと考えてる人間はいなかった……」
海未「……目を見ればわかるんです」
海未「……私たちには切っても切れない縁がある」
海未「絵里も本当は分かっているでしょう?」
絵里「………ごめん」
絵里「早計だった、私が……間違ってた……」 海未「……さっき、ことりの行方がわからないと絵里は言いましたが」
絵里「えぇ…」
海未「ことりは、理事長と一緒に海外へと発ちました」
海未「……絵里は血の大晦日のあと、すぐに“あいどる”から追われる身となったので……伝えそびれていましたが……」
絵里「なんでことりは海外に…?」
海未「PTSD…ストレス障害の疑いがあると…聞きましたが」
絵里「………そう………だったのね」
絵里「……仕方ないわ、そうなるのが……普通よ」
海未「……理事長もついているので……無事だとは思いますが……」 ガラッ
絵里「!」
こころ「皆さんお騒がせしました〜、見つかりました」
ここあ「すみません、迷っちゃってて…!」
海未「ここあちゃん…いえ、無事で何よりです」
絵里「変な人とかに声掛けられなかった?大丈夫だった?」
ここあ「あ〜…ラーメン食べた」
海未「ラーメン?」
ここあ「あっ!そうだっ、あのね!」
絵里「?…どうしたの?」
ここあ「私…氷の女王に会った!」
絵里「!?」
海未「……えっ」 絵里「ここあちゃん、それは…本当…?」
ここあ「うん、自分で言ってたもん、氷の女王だって」
海未「……外見はどんな感じでしたか?」
ここあ「えっと〜…だいぶイメージと違ったな〜…」
ここあ「思ってたより幼くて、割と可愛らしい顔つきで、身長は160弱ぐらいかな?あ、あとキャップ被ってた」
絵里「……間違いない」
海未「秋穂です……」
絵里「ここあちゃん、どこで氷の女王に会ったの?」
ここあ「さっき言ったラーメン屋さんだよ?」
絵里「氷の女王はまだいる?」
ここあ「えっ…どうだろう…私、先に出たから」
海未「……ここあちゃん、そこに案内してください」 ガラッ
主人「らっしゃい!」
主人「!」
絵里「………遅かったわね」
コツ…コツ…
絵里「氷の女王はどこ?」
主人「……なんのことですかねぇ?」
絵里「とぼけないでっ!私たちはあの子に会わないといけないの!」
海未「お願いします…秋穂の居場所を教えてください!」
主人「……園田海未に絢瀬絵里、秋穂ちゃんに会って……何をする気で?」
絵里「決まってるでしょ、説得するのよ」
主人「…………本当に彼女はそれを望んでいるのかい?」
海未「えっ…?」 @annkokuno_kishi
∩
_( ⌒) ∩__
//,. ノ ̄\ / .)E)
/i"/ /|_|i_トil_| / / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|ii.l/ /> <{. / / <ハセカラ靉の超超超臭いまんこ舐めて〜!
|i|i_/''' ヮ''丿i_/ \_____
i|/ ,ク ム"/ /
|( ヽ -====-\
ゞヽ 三 ) ))
γ⌒ヽ \ヽ ノ /´ `ヽ
| ヽ \ )____{ /、/ |
| ! ヽ i Y | !
| / `ヽ,c、 ,.イ ! /
| / \ (i)ソ /! /
/ ) ー―''⌒ー‐‐'' ( ヽ、
cccnノ´ ヽnoo) 主人「いつまでも保護者面するのはやめた方がいいですぜ」
主人「彼女のためにならん」
海未「……それは……そうかもしれませんが……」
絵里「……いいえ、全然そんな事ない」
海未「…!」
絵里「いい?私たちはあの子の行く末を未守る義務があるの」
絵里「あの子に傷一つでもつけさせてしまったら、穂乃果に顔を合わせられないわ」
海未「絵里……」
絵里「言いなさい、秋穂のアジトを」
主人「………知らねぇな」
絵里「…ッ!言いなさいよッ!」 主人「勘違いしないでくれよ、言わないんじゃねぇ、知らねぇんだ」
絵里「……なんですって?」
主人「あくまで俺は彼女の協力者だ、それ以上でも以下でもねぇ」
主人「アジトの場所までは知らねぇよ」
絵里「……なら、何か他に秋穂について知っていることはないの?」
主人「ねぇな…」
海未「……ッ」
主人「おっと、ここを張り込んでも無駄ですぜ、もう彼女は来ないだろうからな」
絵里「……本当でしょうね?」
主人「嘘をついてるように見えますかい?」
絵里「…………」
海未「…………」
絵里「………くそッ」クルッ
主人「……またのお越しを」 ガララッ、バタンッ
曜「!」
曜「絵里さん!どうでした?」
絵里「……」フリフリ
曜「そうですか…」
海未「……秋穂」
絵里「…………」
絵里「…ここあちゃん、氷の女王は何か言ってなかった?」
ここあ「えっ…うーん…」
ここあ「……特になにも」
絵里「……そう」
こころ「……本当に?何かないの?会話とか……」
ここあ「え〜、覚えてないよ〜…」
ここあ「……会話……会話ぁ……」
ここあ「………あっ、長崎ちゃんぽん」
海未「長崎ちゃんぽん…?」 ここあ「そうだ!ちゃんぽん!」
絵里「ちゃんぽん……?」
ここあ「なんて言ってたっけ……確か……チャンポン達が使えない今……戦力補強はうんぬんかんぬん……」
絵里「チャンポン……戦力補強……」
絵里「………!」
絵里「お手柄よッ!ここあちゃんっ!」ガシッ
ここあ「へ?」
海未「絵里…?」
絵里「タイマフィアと秋穂に接点があるとすれば……いける!秋穂に会えるかもしれないわ!」
海未「ほ、本当ですか?」
絵里「……ハラショー、なんとかなりそうね……!」 一応プランタンへの疑惑は晴れた…と言っていいのだろうか ・
・
・
公野「ふふふふふ〜ん♪」ジュー
ガララッ
公野「!」
公野「いらっしゃ〜い」
ハターキ「は〜お腹減った!」
公野「先生!お一人?」
ハターキ「いいえ、あれ?何をしてるの2人とも、早く入りなさいよ」
ことり「は、はい…」
公野「…!ことり…!」
ことり「えっ…あ、神様…?」
ハターキ「あら?お知り合い?」
ことり「はい、昔に色々と…」
ハターキ「って、なにしてるの…梨子ちゃんも入りなさいよ」
梨子「あっ、はい…ありがとうございます」
公野「……先生、可愛いお供だね」
ハターキ「そうでしょ、使える子たちなの」 ジュー
ハターキ「」モグモグッ
ことり「……神様は……こんなところで何を?」
公野「ん〜…?見ての通りお店構えてんの」
公野「こういうの、ちょっと興味あってさ…」
ハターキ「ももとカワ2本ずーつ!」
公野「は〜い」
梨子「先生、食べ過ぎじゃないですか…?」
ハターキ「大丈夫大丈夫!あなた達も何か食べなさい」
梨子「は、はい…」
ハターキ「そうだ、GODとことりちゃんは顔見知りみたいだけど梨子ちゃんは初対面なんでしょ?」
ハターキ「ご挨拶しときなさい」
梨子「あっ…はい…私、桜内…」
公野「桜内梨子ちゃんでしょ?知ってるよ」
梨子「え?な、なんで…」
ことり「神様はなんでか初対面でもわかるんだ…人の名前とか性格が…」
ことり「昔、私たちもびっくりしたもん…」
梨子「……す、すごいですね」
公野「なはは!まーね!」 ことり「あはは…神様、機嫌いいですね…」
公野「え?……あー、まぁ……機嫌良いっていうよりテンションおかしいのかもね」
ジュー
公野「…世界のトップがあんなんじゃ…もう先は長くないしね…」
ことり「………」
公野「名前や性格当てるなんて特技、今じゃなんの意味もないからね」
公野「……それよか」
公野「ことりは今まで何してたの?」
ことり「えっ…わ、私ですか?」
ことり「私は……」 ことり「ずっと、逃げてたんです…」
ことり「私は…穂乃果ちゃんと海未ちゃんに支えられて生きてきたから…」
ことり「穂乃果ちゃんを欠いたあの時に……現実から目を背けて、海外に逃げたんです……」
ことり「みんなに任せて……秋穂ちゃんや海未ちゃんの気持ちなんて考えずに……自分だけ逃げたんです……!」
ハターキ「……モグモグ」
公野「………ま、別に普通だよ」
公野「絵里や海未のメンタルがおかしいんだよ」
ことり「……でも」
公野「普通はそれぐらいナーバスになるのよ、気にしなさんな」
ことり「………神様」
ハターキ「……今となってはそう言えても、当時は本当に言葉では表せないほどのストレスを抱えてたって事もあるしね……」
ことり「先生……」
ことり「……ありがとうございます」 公野「で、梨子はなんで先生と?」
梨子「私は…昔…友達と情報収集していると急に拉致されて…」
公野「ダイヤと花丸とで穂乃果の情報を集めてたんでしょ?」
梨子「そ、そうです…よく知ってますね…」
梨子「……それで拉致されて……でもダイヤさんと花丸ちゃんがなんとか私だけでもって……逃がしてくれて……」
梨子「途方にくれてた時にあいどるの追っ手から逃げてることりさんと出会ったんです…」
ことり「梨子ちゃんと一緒に逃亡生活を続けてて…限界になった時に先生が拾ってくれたんです…」
梨子「先生はいち早くアイドルが悪だと気づいていたんです…」
公野「……へぇ」 公野「しかし、先生はよく“あいどる”に取り込まれませんでしたね」
ハターキ「だって見るからに胡散臭いでしょ」
ことり「でも、実際問題…“あいどる”に心酔する人はたくさんいますよ…?」
ハターキ「人間、不安な事が多いんだよ…何かに支えられていないと、酔っ払ってないと…やってられないのよ…」
梨子「……つまり、先生は何かに酔っ払ってると?」
ハターキ「え…?うん、梨子ちゃんと一緒」
梨子「……音楽ですか」
公野「なるほどねぇ…そう考えながらも“あいどる”に勘付かれずに上手く取り入ってるって…」
公野「世渡り上手ですね」
ハターキ「うんうん!という事で、酔っ払い繋がりでお酒飲んでもいいかな?」
ことり&梨子「駄目ですっ!」
ハターキ「……ね?」
公野「ね…?とは…」 ハターキ「梨子ちゃんは作曲センスに長けてるし、ことりちゃんもデザイナーとしての実績がある」
ハターキ「有能な子たちなんだけど…ちょっと怖いところがあってねぇ…」
梨子「こわっ…!別に怖くなんて!先生のためを思って言ってるんです!」
公野「ん〜でも、ことりは優しくないですか?」
ハターキ「そう、ことりちゃんは優しい方なんだけど…」
ハターキ「」チラッ
梨子「〜〜!なんで私を見るんですか〜!」
ハターキ「だって、ね〜!」
ことり「あはは…」
公野「……ま、この後もお仕事あるんでしょ?ここはマネージャー達の言う事聞いといた方がいいんじゃないですか?」
ハターキ「……仕方ないわね」 公野「ま、私も…先生にはお世話になってるから、あんまり強くは言えないんだけどね」
ことり「お世話…?」
公野「歌詞ノートのリークとか…ま、いろいろ」
公野「……そんな事よりことり、あなたこれからどうするの?」
ことり「えっ…?」
公野「先生に付き添ってるだけでいいの?」
公野「世界の終わりを、このまま何もせずに待ってるだけでいいの?」
ことり「……私は」
公野「……μ'sにしか、あいつは止められない」
梨子「……神様、ことりさんにはトラウマがあります」
ハターキ「……梨子ちゃん、そんなのみんなある」
梨子「!」
ハターキ「みんなあるけど、どこかで割り切らないと前に進めないのよ」
梨子「………そうですよね」 ことり「……神様はどうしたらいいと思いますか?」
公野「わ、私?」
公野「……いいの?私に聞いて?」
ことり「え…?」
公野「……昔から、答えはあんたの近くにいたでしょ」
ことり「………」
ことり「海未ちゃんやみんなにばっかり頼っていられない……私も何かやらないと……って」
ことり「でも……私には……」
公野「……あんたの幼馴染は世界中から極悪人と呼ばれながら……地球を守ろうとした」
ことり「………穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃんっ……」
公野「あの子のやる事に付き合って、後悔した事ある?」
ことり「……ない!ないですっ…!」
公野「……だよね」 公野「先生、ことりをお借りしてもいいですか?」
ハターキ「え?……えぇ、まぁ……仕方ないわね」
ハターキ「正直、ことりちゃんがいなくなると苦しいけど、そのぶん梨子ちゃんに頑張ってもらいましょう」
梨子「え…?」
ハターキ「いいわよね?」
梨子「…は、はい!頑張ります!」
公野「……梨子は……近いうちに仲間に会えると思う」
梨子「……仲間に会う前にまず、ダイヤさんと花丸ちゃんを……」
公野「……その2人も含めて会えるって、近々」
梨子「え…ほ、本当ですか?」
公野「うむ!神様を信じなさい!」 ことり「あの…神様、私たちはこれから何をするんですか…?」
公野「“あいどる”を撃つ!」
ことり「………」
公野「……ま、あんまり乗り気にはなれないよね」
ことり「いえ、そんな…」
公野「……私は、昔みたいにことりに笑って欲しいけどな」
ことり「……私にとって、穂乃果ちゃんは太陽みたいな存在だったんです」
公野「……太陽が無くなったら人間は生きれないもんね」
公野「………確証が持ててないから、言うか言わないか………迷ってたんだけど」
ことり「……なんですか?」
公野「ことりのモチベーション上げるために言う」
公野「……ことり、あのね」
ことり「は、はい…?」
公野「穂乃果は」 よくみたらスクフェスのDLボイスなんだな
どう繋がっていくのか楽しみだ どっかで聞いた事あるなと思ってたけどスクフェスか
とりあえずことりは大丈夫そうで安心した ・
・
・
スタスタ
曜「絵里さん…タイ語喋れるんですね」
絵里「多少ね」
ピタッ
下っ端「ボスはここだ」
絵里「案内ありがとう、曜…行くわよ」
曜「私も入っていいんですか?」
絵里「別に入るくらいならいいわよ、行きましょ」
曜「そうですね…行きましょう」
ガチャ 絵里「…チャンポン…」
チャンポン「……ゼェゼェ」
チャンポン「……エリーチカ……か」
絵里「……老いたわねチャンポン」
チャンポン「お前は……牙が抜けたな」
絵里「……えぇ、そうかもね」
チャンポン「かつては弾丸が当たらなかった……あのエリーチカも……ハァハァ」
チャンポン「今ではただの娘に成り下がったか……」
チャンポン「そんなお前では……ハァハァ……世界は救えんな……」
絵里「………」 チャンポン「しかし……親友に再開した気分だよ……」
絵里「……私はそんな呑気なこと思えないわ」
チャンポン「フッ……釣れないやつだな」
絵里「時間がないの……」
チャンポン「……ある意味、私にも時間がない……」
チャンポン「もういつ…迎えが来ても…おかしくないのでね…ゼェゼェ」
チャンポン「だからこそ……お前に頼みたいことがある、エリーチカ……」
絵里「……頼みたいこと?」
チャンポン「あぁ…」 チャンポン「私が……ある女の子のファンでね……」
チャンポン「昔のお前と同じだよ、エリーチカ……」
チャンポン「肝が……据わった少女でね……」
絵里「………」
チャンポン「……聞けば彼女はテロリストホノカの姪っ子らしいじゃないか……」
絵里「秋穂……」
チャンポン「エリーチカ……お前が止めてやれ……彼女……何をしでかすか……わからないぞ……」
絵里「……チャンポン、彼女のアジトの場所を教えて」
チャンポン「……彼女は今、アジトを転々としている」
チャンポン「だが……おそらく……今は……ここに……いるはずだ……」スッ
絵里「」スッ 絵里「………そこまで遠くないわね」
チャンポン「……彼女は今、氷の女王と呼ばれている」
絵里「………そうらしいわね」
チャンポン「誰か……止めてやれ……今の彼女は……人の命も、自分の命を投げ出すこともいとわない……」
絵里「……あなたは何が彼女をそこまで変えたと思う?」
チャンポン「……心優しい少女だった」
チャンポン「ただ……変わらずにはいられなかったのだろう……強大な敵に立ち向かうには甘えた心は捨てなければいけなかったんだろう……」
絵里「………」
チャンポン「頼んだぞ……エリー……チ……カ……」
チャンポン「…」
チャンポン「」
絵里「…………任せて」 スタスタ
曜「絵里さん!これからどうするんですか?」
絵里「……私は、氷の女王のところに行く」
曜「私も一緒に…」
絵里「いいえ、アジトには私1人で行くわ」
絵里「……曜、あなたは神田明神に行って希に海未と合流するよう言っておいて」
曜「わ、わかりました…」
絵里「……お願いね」ダダッ
曜「絵里さん、気をつけてくださいねー!」フリフリッ
絵里「えぇ!」フリフリッ 絶対に次スレ立ってること気づいてない奴多数いるよな ウーー!!ウーー!!
男A「侵入者!侵入者だ!」
男B「侵入者を取り押さえろ!」
男C「うおおおおおぉ!!!」
絵里「」サッ
男C「うおっ!」ドサッ
絵里「……何よこれ、手荒い歓迎ね」
絵里「教えなさいッ!秋穂は……氷の女王はどこ!」
男D「黙れッ!」
男A「動くなッ!」
スチャッ スチャッ スチャッ スチャッ
絵里「…………」
男A「その場で、そのまま手を上げろ」
絵里「……」サッ 男A「……名を名乗れ」
絵里「……氷の女王に、絵里が来たと伝えなさい」
男A「あ…?」
ザワッ…
男B「絵里……?」
男C「絵里ってあの…絢瀬絵里か…?」
ザワザワッ…
男A「……ッ!黙れッ!嘘をつくな!」
男E「……そうだ……そうだ!デタラメを言うな!」
絵里「……物分かりの悪い子たち……ね!」ダッ!
男I「逃げた!」
男A「ッ!撃てぇー!」
絵里「………くっ!」
「待ってッッッ!」
男A「!?」クルッ
絵里「……この声」
ザッ…
秋穂「………」
絵里「……ハァハァ……秋穂……」 男F「弾薬はそっちやっとけよぉー!」
男G「火薬はこんなもんか?」
ガヤガヤ…
絵里「……いっぱしのテロ集団ね」
秋穂「……」
絵里「……秋穂、あなた何をやってるの?」
秋穂「……」
絵里「……どこで武器を調達したの?」
秋穂「……小原家とで」
絵里「……まさかとは思っていたけど、本当にあなたがこんな事をするなんて、思ってもみなかったわ……」
秋穂「絵里おばさんこそ……生きてるとは思わなかった……」 絵里「……えぇ、なんとか……東京に帰って来たのよ」
秋穂「あの大きな壁を越えて、東京に侵入した人がいるって……噂では聞いてたけど……絵里おばさんだったんだ……」
絵里「……海未から聞いたわ、なんで花陽の一派から離れたの?」
秋穂「……花陽おばさん達のやってる事は、生ぬるい」
秋穂「……不当に逮捕された人たちを1人1人逃がしたり、食力不足の街に物資を届けたり……」
秋穂「なんの意味があるの……それ?」
絵里「………私には、間違った事とは思えないけど」
秋穂「じゃあ聞くけど、絵里おばさん…それで何か変わるの…?世界は救える…?」
絵里「……そういう地道な活動が……」
秋穂「……助けた連中と家族のお寒い再会劇なんていらないもん」 絵里「……それは、あなたが穂乃果や雪穂と会えないから妬んでるのよ、嫉妬や恨みの類い」
秋穂「……!」
秋穂「なにそれ…?」
秋穂「なんなの……」ワナワナ…
秋穂「喧嘩売りに来たなら帰ってよ!!!」
絵里「……あなたが何をしようが、それはあなたの勝手」
絵里「ただ、そうやって人を蔑むのはよくないわ」
秋穂「………再会した時の御涙頂戴はもう見飽きたよ………」
秋穂「私には……メソメソしてる暇なんかないの」
絵里「…………」 絵里「……本当に武装蜂起する気?」
秋穂「当たり前だよ……もう止められない」
絵里「……なぜ、8月3日なの?」
秋穂「………」
絵里「………」
秋穂「……誕生日」
秋穂「穂乃果おばちゃんの……誕生日……」
絵里「……そんな事、穂乃果が望んでると思う?」
秋穂「……絵里おばさん、説得しにきたの……?」
秋穂「……そんなのいらない、説得するなら帰って」 絵里「……なんで命を大切にしないの?」
秋穂「……我慢ならないじゃない」
秋穂「絵里おばさんも知ってるでしょ?2035年のあの“あいどる”の復活劇のあと…世界各国にウィルスがばら撒かれた…」
秋穂「その結果、世界で数十億という人が亡くなった……」
秋穂「……家族や恋人や友達を失った人たちが私の元に集まった」
秋穂「彼らは“あいどる”を倒すことだけを考えて生きてきた……」
秋穂「……そんな彼らを……親衛隊や“あいどる”は虫ケラのように殺した」
秋穂「………みんな、私をかばって………」
秋穂「………私だけ生き残るなんて不公平、そうでしょ?」
絵里「………」 秋穂「……中国マフィアは全滅……タイマフィアもチャンポンを残してほぼ壊滅……私に協力して……死んだ」
秋穂「……愛民党の本部を襲撃して……殺されたの」
絵里「………チャンポンも、今さっき死んだわ」
秋穂「……!」
秋穂「………そう」
絵里「秋穂…言っておくけど、本当にあなたが8月3日に武装蜂起を決行したら、間違いなく彼らの二の舞いになるわ」
秋穂「…………」
絵里「…………計画は中止しなさい」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています