ヨハネ「私が出会った」ルビィ「天使」
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「ねえ、天使って本当にいると思う?」
「え? ……何よ、いきなり」
「ううん、ちょっと気になって」
「…いるんじゃないの? 私もほら、堕天使だし」
「クスッ……そうだね」
「ちょっ…あんた信じてないわね!」
「あははっ、そんなことないよ……ただ」
「ただ?」
「少しだけ、懐かしくなったの」
「……?」
─そう、あの時の大切な…… ─黒澤家
ルビィ(11)「…………」ゴロン
ルビィ「……はぁーっ…」
ルビィ「今日で夏休みも終わりなんだぁ……」
ルビィ「……うぅーん…」ゴロゴロ ダイヤ「…何をしているの、だらしない」ガチャ
ルビィ「あっお姉ちゃん」
ダイヤ「休みとはいえ、明日から学校でしょう? もっとしゃんとしなさい」
ルビィ「えー、でも……」
ダイヤ「はあ…なら、せめて外に出るくらいはすれば? 部屋でだらけているよりは大分マシですし」
ルビィ「お外…?」 ダイヤ「休みの間ずっと部屋に籠っているというのも退屈でしょう?」
ルビィ「それは……ぅん」
ダイヤ「とにかく、まずはそのだらしのない恰好をどうにかしなさい」
ルビィ「はーい…」
ダイヤ「もう…じゃあ私はこれから用事があるから行きますわね」
ルビィ「うん、いってらっしゃい」フリフリ ─バタン
ルビィ「……お外かあ」
ルビィ「でも、何したらいいんだろう」
ルビィ「うーん……うーん……」
ルビィ「…まあいいや、アイスでも買いにいこう」 昨日天使はいると思いますかとか言いながらエホバのおばさん来たわ ─
ルビィ「アイス〜アイス〜」スタスタ
ガサッ
ルビィ「?」ピタッ
ルビィ「……」ジーッ
シーン…
ルビィ「……気のせいかなぁ?」スタスタ
………カサッ アリガトウゴザイマシター
ルビィ「アイスおいしいなぁ」ペロペロ
ルビィ「〜♪」ペロペロ
ガサッ
ルビィ「……? またあの木から…」ジー
ガサガサッ!
ルビィ「!?」ビクッ ルビィ「な、なんだろう…何か、いるのかなぁ」ジーッ
キランッ
ルビィ「…? あれ、羽……?」
ガササッ!
「嘘!? ……えっ…いや、ちょっと待って…………あっ」ツルッ
ルビィ「え!?」
「いやああああああ!落ちるううううううう!!」ヒュウウウウウ
ドンッ ?「いっっ…たぁ〜……ああもう、最悪……」スリスリ
?「何なのよもう……ん?」
ルビィ「……」
?「……何よ」ジッ
ルビィ「…………ピ」
?「…ぴ?」
ルビィ「ピギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」
?「わああああああああああああああ!!」ビクゥ ?「ちょ、ちょっといきなり大声出さないでよ! ビックリするでしょ!?」
ルビィ「き、木の上から…女の子が…」アワワ
?「え? ……あー、私のせいか」
ザワザワ ナニナニ? ドウシタノ?
?「げ……面倒くさそうなことになってきたわね……」
?「ねえ、ちょっとそこのあんた」
ルビィ「……ぇ?」
?「場所変えるわよ、付いてきて」パシッ
ルビィ「ええっ!?」
?「いいから来るの!」タッ ─
?「ふぅー……ま、ここまで走れば大丈夫よね」
ルビィ「な、なんでぇ……」ハァハァ
?「私、ああいう人が集まったりするのって苦手なのよ」
ルビィ「うぅっ……アイスも落としちゃったし……」グスッ
?「……いやそれは…悪かったわよ」 ルビィ「……ひぐっ……ルビィの……」
?(あっ、やば……)
?「ど、どうしよう…なにか代わりになるもの………あっ」
?「そ、そうだこれあげるわ」ハイッ
ルビィ「……さっきの羽?」
?「私、食べ物とかは持ってないけど、それならいくらでもあるから」 ルビィ「あ、ありがとう…」
ルビィ「…綺麗な羽だね」ニコッ
?「ふーん、そうなの? 私にはよく分からないけど」
ルビィ「うん、キラキラしてて……すっごく綺麗」
?「…………そう、それなら別に、いいんだけど」フイッ ルビィ「……あの」
?「ん、なに?」
ルビィ「あなたの名前はなんていうの?」
?「え? ……ああ、そういえばまだ言ってなかったわね」
?「名前、名前ねえ…何にしようかしら……うーん……“アレ”にしましょうかね」
ルビィ「……?」
ヨハネ「…決めた、ヨハネでいいわよ」 ルビィ「ヨハネちゃん?」
ヨハネ(ちゃん付け……ま、仕方ないか)
ヨハネ「ええ、あんたの名前はなんていうの?」
ルビィ「ルビィはね、ルビィっていうの」
ヨハネ「ふーん、ルビィか……宝石名なんて変わってるわね」
ヨハネ(私が言えたことでもないけど) ルビィ「ねえヨハネちゃん、ヨハネちゃんはどうして木の上なんかにいたの?」
ヨハネ「いたというか、なんというか……」
ルビィ「?」
ヨハネ「…いやまあ、正確には飛んでる最中に木に引っかかっただけなんだけど」
ルビィ「飛ぶ?」
ヨハネ「ええ、私天使だから」
ルビィ「……え?」 ルビィ「……天使?」
ヨハネ「そう、天使」
ルビィ「天使って……あの天使さん?」
ヨハネ「どれを指してるのか知らないけど、まあその天使でしょうね」
ルビィ「……」
ヨハネ「……」
ルビィ「ええええええええええええ!!?」
ヨハネ「ちょっ…だから静かにしてって!」 ルビィ「そんなこと言われても!」
ヨハネ「一応今の姿は人間なんだから! 誰かにバレたらまずいのよ!」
ルビィ「そ、そうなの?」
ヨハネ「そうよ!」
ルビィ「えっ、でも……それじゃあ、どうしてルビィには教えてくれたの?」
ヨハネ「それは……つい口が滑ったというか…いや、そっちのほうが都合がいいから別にいいんだけど」
ルビィ「???」 ヨハネ「…とにかく! このことは誰にも言っちゃ駄目だからね、分かった!?」ガシッ
ルビィ「う、うん…」
ヨハネ「ならいいわ、それじゃ…私そろそろ行くから」
ルビィ「え? 行くってどこに……」
ヨハネ「フフッ…“また後で”会いましょうね、ルビィ」タッ
ルビィ「! ま、待ってヨハネちゃん!」
ルビィ「……行っちゃった」 …………
ヨハネ「─ふぅ……とは言ったものの」
ヨハネ「どこに行くかなんて決めてないのよねえ」
「嘘ばかり、彼女の後をつけるためにわざとああ言ったのでしょう?」
ヨハネ「だってそうしないとルビィの家分からないし」
「いやはやストーカーとは恐れ入りますね……あわよくば、そのまま彼女の家に寄生でもするつもりでしたか?」
ヨハネ「はあ? 人聞きの悪いこと言わないでよ、私はただ寝泊まりする場所が欲しいだけで…………って!!」
?「…ですからそれを寄生って言うんです」
ヨハネ「何であんたがこんなところにいるのよ!!」 ?「ああ…嫌でも部下の面倒を見ないといけないのが、上司の辛いところですからねえ…」
ヨハネ「つまり……仕事ってこと」
天使「ええまあ、上層部への報告もそれなりに必要なので」
ヨハネ「…鬱陶しいわね」
天使「貴女が余計なことをしなければ、こんなことにはならなかったんですけどね」
ヨハネ「は? 余計なこと? ちょっとあんたねえ……」
天使「まあそれはそれとして──先ほどの彼女との会話ですが……」 ヨハネ「! …聞いてたの」
天使「仕事ですから、さて…で、とりあえず結論から申し上げますと…」
天使「刑が長くなるとみて間違いないですね」
ヨハネ「……あっそ」
天使「子供とはいえ、人間に正体をあっさりバラしたわけですから」
ヨハネ「……期間は?」
天使「現在が約4ヶ月間の天界追放ですから……うーん、6ヶ月に延長ってところでしょうかね」 ヨハネ「半年、か」
天使「これでもかなりの恩情ですよ、私が寄生の件も報告すればこれどころでは済みませんからね」
ヨハネ「報告しないの? ……どういう風の吹き回し?」
天使「いえね、先程の彼女……黒澤ルビィさん」
天使「私の観察対象の妹さんなんですよ、なので一応様子見しておこうかと……貴女に対して僅かな好意もあるみたいですし」
ヨハネ「嘘、あの子があんたの……? はぁーっ…私ってつくづく運が悪いわね」
天使「まさか、今回に限ってはとても幸運なのでは?」
ヨハネ「……」 天使「ふむ…まあいいでしょう、とりあえず報告は以上です」
天使「それでは私は天界に戻りますので……あっ、とその前に一つ言い忘れていました」クルッ
ヨハネ「……なによ」
天使「ええ…貴女が彼女に名乗った、そのヨハネという名前のことですけれども」
ヨハネ「─!」
天使「確か、貴女の観察対象が名乗っていた名ではありませんでしたか? 流石に本名ではなかったはずですが」 ヨハネ「覚えていたのね……それが?」
天使「いいえ、別に? ただ─」
天使「入れ込み過ぎるのはどうかと…そう思っただけです」
ヨハネ「……」
天使「それではまた」フワッ ヨハネ「……警告にしても言い方ってものがあるでしょ」
ヨハネ「…………相変わらずホント性格悪い」
ヨハネ「……」フゥーッ
ヨハネ「私もさっさと行きましょ、ルビィを見失っちゃうわ」タッ
……
… 人間かと思ったら天使で善子ちゃんかと思ったらヨハネちゃんだった |c||^.-^||
||^.-^||b|三|c||^.-^||
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メノ∧/ノ ∧ l::ノ::リ lヽ/ ∧ ∧ l<l::::::/
.l"" o """ l:ノヽ:/ l/l "" _ """l::::lヽ:::l
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. ヽ_l_/ ヽ_l_/
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`-`-´ `-`-´ ─黒澤家
ルビィ「ただいまー」
ダイヤ「おかえりなさい、結構長い間外に出てましたのね?」
ルビィ「えへへっ…ちょっと色々あって」
ダイヤ「…あら? その羽、どうしたの?」
ルビィ「うーんとね、貰った」
ダイヤ「貰ったって、誰に?」
ルビィ「えーっと…………お友達、かなぁ」 ダイヤ「友達?」
ルビィ「うん、ルビィと同じくらいの女の子……ちょっと変わってたけど」
ダイヤ「そう、良かったわね」
ルビィ「うん」ニコ
ダイヤ「それと、そろそろお夕飯ですから手を洗ってきなさい」
ルビィ「はーい」 ─
ルビィ「ご飯美味しかったぁ」ガチャ
ヨハネ「あっ、やっと来た」
ルビィ「…………え?」
ヨハネ「こんばんわ、お邪魔してるわよ」
ルビィ「…………ピ」 ルビィ「ピギャ……っ……!」モゴモゴ
ヨハネ「はい静かに、ほら今は夜だから」
ルビィ「ぷはっ……な、なんでいるの?」
ヨハネ「言ったじゃない、また後で会いましょうって」
ルビィ「早すぎるよぉ……」 ヨハネ「冗談よ、本当はお願いがあってここにきたの」
ルビィ「お願い?」
ヨハネ「ええ、私をここに泊めてほしいのよ」
ルビィ「ヨハネちゃんがルビィの部屋に? どうして?」
ヨハネ「ん…私、今家から追い出されてるから」
ルビィ「ええっ!?」 ヨハネ「だから安心して休める場所が欲しいのよね」
ルビィ「で、でも追い出されたって……どうして?」
ヨハネ「…色々事情があるのよ」
ヨハネ「勿論ただでとは言わないわ、私に出来ることならなんでも協力するつもり…見返りとしてね」
ルビィ「…………」
ヨハネ「貴女にしか頼めないの……お願い」ペコリ ルビィ「……うん、わかった…いいよ」
ヨハネ「! ありがとう…」
ルビィ「えへへっ…これからよろしくねヨハネちゃん」
ヨハネ「ええよろしく…………ああそれと」
ルビィ「?」
ヨハネ「ちょっと外に出てくるわ…安心して、すぐに戻るから」 ルビィ「……? うん」
……
ルビィ「……天使さんがルビィの部屋にお泊まりかぁ…」
ルビィ「……なんか夢でも見ているみたい」クス ─
天使「どうも、こんばんわ」
ヨハネ「……許可は取ったわよ、これで問題ないでしょ?」
天使「相手の良心を利用したようにしか見えませんでしたが」
ヨハネ「一々そういう言い方するのやめてくれない? ……私だってそのことに対して何も思ってないわけじゃないわよ」
天使「…失礼、確かに後のことを考えずに貴女を追放したこちら側にも責任はありますね」
天使「分かりました、上には同居という形で取り合ってみます」 ヨハネ「…今回はやけに協力的ね」
天使「はあ…貴女こそ人聞きの悪いことを言わないでもらえますか?」
天使「私はただ、与えられた仕事に対して自分自身が正しいと思った判断を下しているだけです」
天使「今回のこともそれが正しいと思ったからそうした…それだけですよ」
ヨハネ「……悪かったわよ」 天使「分かって頂けたのならいいです、それでは……」
ヨハネ「ちょっと待って、一個だけいい?」
天使「…何ですか、こちらも暇ではないのですけど」
ヨハネ「あんた、自分の観察対象がルビィの姉だってそう言ったわよね」
天使「ええ、言いましたがそれが?」
ヨハネ「…似てなくない?」 天使「そっくりじゃないですか、ほら目の色とか」
ヨハネ「それだけじゃないの、あんたを見ても他にルビィとの共通点があるとは思えないし」
天使「見た目だけで判断しても仕方ないでしょう」
ヨハネ「いや、そうかもしれないけど…」
天使「用はそれだけですか? なら帰らせていただきますね」
ヨハネ「え、ちょっと待っ……」
天使「では後日に」フワッ 家のよしるびって環境、設定は変わるけどキャラの本質ずっと同じだから台詞まわしも予想できて正直飽きたよな
(乙ですおもしろい!) 同じ人が書いたら大枠はだいたい同じ性格になるのはしょうがないでしょ
要はそれが好みかどうかが問題なだけで保守 ──
ヨハネ「全く、少しはこっちに合わせてくれてもいいじゃない…」
ヨハネ「……はぁーっ…お待たせ、今戻ってきたわよ」
ヨハネ「? ……ルビィ?」
ルビィ「……ぅぅん…」スヤスヤ
ヨハネ「なんだ…寝ちゃったのね、まあ色々あったから無理もないか」クス ルビィ「……」スゥースゥー
ヨハネ「……ごめんなさい、色々巻き込んで」
ヨハネ「でもね、一目見たときから…今私が頼れるとしたら、きっと貴女だけだってそう思ってしまったから」
ヨハネ「…まあ、それも全部私の都合なんだけどね……だから先に謝っておくわ」
ヨハネ「ごめんなさい、それと…改めてよろしくね」ナデナデ
ルビィ「……ぇへへ……」
ヨハネ「フフッ…おやすみなさい、ルビィ」 ─翌日
「ルビィ、ルビィ……」
ルビィ「……ん…」
ヨハネ「起きて、ほらもう朝よ」ユサユサ
ルビィ「……ヨハネちゃん?」パチ
ヨハネ「ええ、おはようルビィ」
ルビィ「うゅ……おぁよう…」ゴシゴシ ルビィ「ヨハネちゃんって早起きなんだね」
ヨハネ「そうかしら? いつもこんな感じよ、私は」
ルビィ「そうなの? ルビィは…もうちょっと寝ていたいかなぁ」
ヨハネ「……起きられなくなるわよ」
ルビィ「あはは……そうかも」 ヨハネ「ほら、分かったなら早くベッドから……」
コンコン
「ルビィ?」
ルビィ「お姉ちゃん?」
ヨハネ「げっ……それじゃ私用があるから!」ササッ ルビィ「えっ、ヨハネちゃん?」
ダイヤ「ルビィ、入りますわよ……あら?」ガチャ
ルビィ「お、おはようお姉ちゃん」
ダイヤ「…珍しいのね、ちゃんと起きているなんて」
ルビィ「そ、そうだね」エヘヘ ダイヤ「では朝御飯を食べに行きましょうか」
ルビィ「うん」
ダイヤ「……ああ、それと」
ルビィ「?」
ダイヤ「暑いのは分かるけど、窓は出かける前に閉めたほうがいいですわよ」
ルビィ「あっ……うんそうだね、あははっ…」 ─
ルビィ・ダイヤ「行ってきます」ガチャ
スタスタ……
ヨハネ「…………」コソッ
ヨハネ「…ようやく行ったわね」フゥーッ ヨハネ「それにしても危なかった……危うく大問題になるところだったわ」ホッ
ヨハネ「…今後も早起きはしておいた方が良さそうね」
ヨハネ「さてと、これからどうしましょ」
ヨハネ「話を聞く限りルビィは今日から学校だし、一緒にはいられないから……」
ヨハネ「うーん……」 ヨハネ「いや……でも、見るくらいならいいか」
ヨハネ「天使って本来それが仕事だしねっと、フフッ…さーて観察観察」フワッ
……
天使「…………やれやれ」タメイキ
天使「彼女は貴女の観察対象ではないし、そもそも追放されてるから仕事も何もあったものではないのですが……」
天使「まあ大目に見てあげましょうかね……あっ、でも減給はしておこうっと」サラサラ キーンコーンカーンコーン
ルビィ「……」スタスタ
ヨハネ「お疲れさま」
ルビィ「あっ、ヨハネちゃん」
ヨハネ「待ってたわ、一緒に帰りましょうか」
ルビィ「うん!」ニコッ スタスタ
ヨハネ「お姉さんの方はいないのね」
ルビィ「うん、お姉ちゃん中学生だし、お稽古とかもあるから」
ルビィ「それにね、お友達とも遊んだりするから、帰るときはあんまり一緒じゃないんだぁ」
ヨハネ「……そう、寂しくないの?」
ルビィ「……」
ヨハネ「…ごめん、嫌なことを聞いたわ、今のは忘れて」 ルビィ「……うん」
ヨハネ「…でも、安心してルビィ」
ルビィ「…?」
ヨハネ「今は私がいるから」ギュッ
ルビィ「! ヨハネちゃん、ありがとう」
ヨハネ「いいのよこれくらい」 ルビィ「ただいまー」
ヨハネ「ふぅ、家に誰もいないと大分気持ちが楽ね」
ルビィ「そうなの?」
ヨハネ「だって知らない人が自分の家で寝泊まりしてるなんて、そんなこと知られたら大事になるわよ」
ルビィ「あっ、そういえばそうだったね」
ヨハネ(……大丈夫かしら?) ─ルビィの部屋
ルビィ「ねえねえヨハネちゃん、気になってたんだけど」
ヨハネ「なにかしら?」
ルビィ「ヨハネちゃんって天使さんなんだよね?」
ヨハネ「ええ、そうだけど」
ルビィ「ヨハネちゃんの他にも天使さんっているの?」 ヨハネ「え? ああ、まあいるわよ、それこそ世界中にね」
ルビィ「世界!?」
ヨハネ「私たちの住んでいるところってここでは天国って呼び方がメジャーだけど」
ヨハネ「でもやっぱり規模を考えると天“界”のほうがしっくりくるわね、アレは国なんてレベルじゃないもの」
ルビィ「そんなにいるんだ……凄い…」 ルビィ「ねえ、どんな天使さんがいるの?」
ヨハネ「……いや、私って基本一人でいるからそんなに詳しくは知らないけど……でもそうね」
ヨハネ「…例えば、ルビィみたいな子はいるかもしれないわね」
ルビィ「? ルビィが?」 ヨハネ「言ってなかったけどこの私の姿…というか天界にいる天使の姿はみんな、下界で生きている人達がベースになっているの」
ルビィ「どういうこと?」
ヨハネ「聞いたことはない? いいことをした人は天国に行けて、逆に悪いことをした人は地獄に堕ちちゃうって」
ルビィ「うん、あるけど」
ヨハネ「それみたいなものよ、私たち天使は日頃からよい行いをしている人間を見定めて、その人の姿に自分も合わせているの」
ルビィ「うーん、なんとなく分かったけど…」 ルビィ「でも、なんのために?」
ヨハネ「……」
ヨハネ「いきなり死んでも向こうで不自由しないため」
ルビィ「!?」
ヨハネ「こんなご時世だもの、不慮の事故や病気…寿命とは関係ない形でその生涯を終えてしまう人は少なくないわ」
ヨハネ「人はね、死んだら魂だけの存在になるの…そこから天か地か、自分の行くべき場所へ向かうことになる…でもね」
ヨハネ「一方で唐突な死を受け入れられずに、怨念と化してこの世を彷徨うものもいるのよ」 ルビィ「……」
ヨハネ「そんな人たちを救済するのが私たちなの、行方を失ってしまった魂を導いてあげるのが私たちの役目」
ヨハネ「この体はいわば…第二の魂の入れ物、世の中の善人のために天界が用意したスペアなのよ」
ルビィ「じゃあ……ヨハネちゃんが今なっている女の子が死んじゃったら…?」
ヨハネ「この体とはさよならね、でもすぐに新しい候補を見つければいいだけの話よ」
ヨハネ「……まあ、私の場合そんなに簡単には割り切れないけど」 |c||σ.-σ|| ワクワク
メイ*σ _ σリ ドキドキ ルビィ「……大変なんだね」
ヨハネ「そうね…」
ヨハネ「さてと、一通り説明したところで話を戻すけど」
ヨハネ「さっき私がルビィみたいな天使がいるかもしれないって言ったのはそういう理由よ」
ヨハネ「だって貴女、いい子だもの」
ルビィ「そう、かなぁ」
ヨハネ「ええ」 ヨハネ「まあ直接会うことは出来ないと思うけどね、天使って基本的に人間と関わらないもの」
ルビィ「え? でもヨハネちゃんはルビィと一緒にいるよね?」
ヨハネ「……あー、それは……」
「それは彼女が他の天使と違って、悪い意味で特別だからですよ」
ルビィ「!?」
ヨハネ「…………はぁーっ…出たわよ…」
天使「どうも、こんばんは」 ルビィ「お、お姉ちゃん!?」
天使「いえ、違いますが」
ルビィ「えっ、でも……」
天使「先ほどそこの彼女から聞いたでしょう? 天使のことを」
ルビィ「天使って…あっ、じゃあお姉ちゃんの?」
天使「ええ、私は黒澤ダイヤ観察担当の天使です、一応そこの天使の上司にあたります」
シスター「名前はそうですね……まあシスターさんとでも呼んでください」 ルビィ「シスター…」
シスター「さん」
ルビィ「シスターさん」
シスター「はい、よろしくお願いします」ニコ
ヨハネ「安直な名前ね…」
シスター「貴女にだけは言われたくありませんよ」 ヨハネ「……で、何しに来たのよ」
シスター「…あのですね、天界や天使のあれやこれやを吹き込んでいたら来るに決まっているでしょう」
ヨハネ「世話になっている以上、ある程度の事情は話しておくのが筋なんじゃないの」
シスター「一理ありますが、先程の会話はそれに必要なものではないでしょうに」
ヨハネ「私を知るという意味では必要よね?」
シスター「屁理屈ばかり……」
ヨハネ「機転が利くって言って欲しいわ」 ヨハネ「それにその子は絶対に秘密を守るわ…私にはその確信がある」
シスター「…ですから、守る守らないの問題ではなく……」
ルビィ「あの、お姉…シスターさん」
シスター「……何ですか」
ルビィ「ルビィ、絶対に他の誰にも言いません……だから、あの、ヨハネちゃんのこと…」
シスター「…………ああもう、勝手にしてください」 ルビィ「あ、ありがとうございます!」ペコリ
シスター「ただ、誓った以上約束は守ってもらいますからね」
シスター「そこの貴女も……分かってますよね? 私がみなまで言わなくとも」
ヨハネ「ええ、責任は私が持つわ」
シスター「ならいいでしょう……では私は一度帰りますので」
シスター「全く、損ですね本当に……」フワッ ルビィ「行っちゃった…」
ヨハネ「…ありがとうルビィ、庇ってくれて」
ルビィ「ううん、でも……良かったのかなぁ?」
ヨハネ「言ったでしょ、私に出来ることならなんでも協力するって、それに貴女には知る権利がある」
ヨハネ「だから、いいのよ」
ルビィ「そうなの?」 ヨハネ「そうなの、だからルビィが気にすることないわ」
ヨハネ「それは私がどうにかする問題だから」
ルビィ「……うん、分かった」
ヨハネ「はい、じゃあこの話は終わりね」
ヨハネ「続きは今度にしましょ、そろそろ夕飯の時間だろうしね」
ルビィ「えへへっそうだね、ルビィお腹空いちゃった」 ルビィ「行ってくるね」
ヨハネ「ええ、いってらっしゃい」
ヨハネ「……」
ヨハネ「……入れ込み過ぎ、か」
ヨハネ「確かにこれじゃ、そう思われても仕方ないかもね」 ─それから数週間後…
ルビィ「〜♪」パタパタ
ヨハネ「……ねえ」
ルビィ「ん〜?」
ヨハネ「なんか最近はずいぶん機嫌がいいみたいだけど?」
ルビィ「えっ、そうかなぁ」ニコニコ
ヨハネ「いや全然誤魔化せてないから」 ルビィ「えへへっ…」
ヨハネ「もう、なんなのよ…」
ルビィ「フフッ…あのね、もう少しでルビィの誕生日なんだぁ」
ヨハネ「誕生日? ……ああ、それで機嫌がいいのね」
ルビィ「うん、楽しみだなぁ…」
ヨハネ「……ふーん?」 ヨハネ「…ねえ、一つ言いかしら? いや…私は全然そういうつもりじゃないんだけどね」
ルビィ「?」
ヨハネ「ルビィって誕生日に何か欲しいものとかあるの?」
ルビィ「欲しいもの? うーん……わからないや」
ヨハネ「どうして?」
ルビィ「いっぱいあるからどれが一番欲しいのか分からなくて」
ヨハネ「ああ…なるほどね」 ルビィ「でも」
ヨハネ「?」
ルビィ「ルビィのために送られるプレゼントなら、なんでも嬉しいよ」ニコッ
ヨハネ「……そう…なんでも、ね」
ヨハネ「わかったわ、楽しみに待ってなさい」フフッ
ルビィ「ヨハネちゃん…?」キョトン シスター「──で、それを聞かされたところで私にどうしろっていうんですか」
ヨハネ「…いや、決めたのはいいんだけど……その、私お金持ってなくて」
シスター「働けばいいでしょう」
ヨハネ「あんた絶対わざと言ってるわよね……この見た目で働けるわけないじゃない」
シスター「ふむ、まあそうですね」
ヨハネ「白々しい…」 シスター「それで? 下界での仕事が無理ならどうするおつもりで?」
ヨハネ「いや、だからその…それをどうにかしてほしくて上司であるあんたに頼みに来たのよ」
シスター「仕事を貰いにですか」
ヨハネ「ええ、だからお願い…」ペコ
シスター「……まあ労働の対価に下界の金銭を用意することは難しくないでしょうけど」
ヨハネ「本当に!?」
シスター「嘘をついてどうするんですか」
ヨハネ「そうよね…」ホッ シスター「その代わり、必死に働いてもらいますよ……ええ必死に」
ヨハネ「やっぱりね、それくらい覚悟はしてるわよ」
シスター「へえ、そうですか?」
シスター「では丸二日ほどこき使っても大丈夫そうですね」ニコ
ヨハネ「……え? いや、あのルビィの誕生日三日後なんだけど…」
シスター「ではいってらっしゃい」スッ ヨハネ「ちょっ…! 人の話は最後までええええぇぇぇぇ……!」ヒュウウウウウ
キランッ
シスター「……さてと、押し付ける雑用でも集めてきましょうかね」
シスター「……」
シスター「それにしても…」
シスター「彼女がそこまでルビィさんにこだわる理由は一体何なのでしょうか」
シスター「…まさか、まーた余計な私情が入っているのでは…」
シスター「いや、流石に考えすぎですかね」 ─そして…
ルビィ「わあ! クマさんのぬいぐるみだぁ! これ貰っていいの?」
ヨハネ「ええ、私からの誕生日プレゼントよ」
ルビィ「ありがとうヨハネちゃん! ルビィ大事にするね」ギュー
ヨハネ「……ん」
ヨハネ(ああ……疲れた…) ルビィ「あっそうだ、ルビィねお菓子貰ったんだけどヨハネちゃんも……」
ヨハネ「……」スゥースゥー
ルビィ「…あれ? 寝ちゃったの?」
「まあここしばらくは働きづめでしたからね」
ルビィ「わわっ! シスターさん」
シスター「どうも、お誕生日おめでとうございます」 ルビィ「あ、ありがとう」
シスター「…そのクマのぬいぐるみですけども」
ルビィ「え?」
シスター「貴女のために彼女が働いて買ったものなんですよ」
シスター「彼女はお金なんて持ち合わせていませんでしたからね」
ルビィ「じゃあ、最近ヨハネちゃんがいなかったのも……」
シスター「そういうことです」
ルビィ「そっか、そうだったんだ…」 シスター「では、用件はそれだけですのでこれで…」
ルビィ「あ、あの! シスターさん」
シスター「何でしょうか?」
ルビィ「ありがとうございました」ペコリ
シスター「? 私は何もしていませんが」
ルビィ「ルビィにこのことを教えてくれたから、それにシスターさんもきっと色々頑張ってくれたんだよね?」 シスター「……」
ルビィ「だから、ありがとう」ニコッ
シスター「…まあ一応受け取っておきますか」クス
シスター「どういたしましてルビィさん、また会いましょう」フワッ
─
ルビィ「……えへへっ」
ルビィ「ありがとうヨハネちゃん」ギュゥ
ヨハネ「…………ん…」スヤ ほんま代わり映えしないな
おんなじことばっかやっててよく飽きないもんだ 保守(disってくる人は無視して頑張ってくれ、雰囲気が好きだ) 二ヶ月後……
─11月某日、ルビィの部屋
ルビィ「……やっと出来た!!」
ヨハネ「どれどれ……へえ、いいじゃない」
ルビィ「本当!?」
ヨハネ「本当よ、素敵な衣装だと思うわ」 ルビィ「良かったぁ…」
ヨハネ「合間を縫って少しづつ進めていったからね、手間をかけた分とても良くなってるわよ」
ヨハネ「きっとルビィに似合うと……」
ルビィ「じゃあヨハネちゃん、はいこれ!」
ヨハネ「……え? 私? どうして?」キョトン ルビィ「ルビィに誕生日プレゼントくれたから、そのお返しにって」
ルビィ「ルビィが出来ることってこれくらいしかないから」エヘヘ
ヨハネ「……でも、こんなの割に合わないわよ」
ルビィ「ヨハネちゃんに貰って欲しいの」
ヨハネ「ルビィ……」 ルビィ「駄目?」
ヨハネ「駄目なんて言ってないわよ、寧ろすごく嬉しいわ」
ヨハネ「ありがとねルビィ…大切にする」ギュッ
ルビィ「うん!」ニコッ ─
ヨハネ「それにしても」
ヨハネ「……三ヶ月かあ」
ルビィ「え?」
ヨハネ「私がルビィと出会ってから、もう三ヶ月」
ルビィ「…そんなに前だったんだ」
ヨハネ「ええ、あっという間よね」 ヨハネ「私ね、正直こんな関係はすぐに終わるものかと思ってたわ」
ルビィ「うん、ルビィも」
ルビィ「ルビィもね、本当は夢なんじゃないかなぁってそう思ってたの」
ヨハネ「フフッ…ルビィからすれば不思議な体験だものね」
ルビィ「でも今は夢じゃなくて良かったなぁって」
ヨハネ「そう…」
ルビィ「うん」 ルビィ「……ねえ、ヨハネちゃんは」
ヨハネ「なに?」
ルビィ「今までどんな人を見てきたの?」
ヨハネ「そうね、お婆さんとか若い女の人とか、主婦とか…そんな感じ」
ヨハネ「逆に今まで、あまり子供には目をつけていなかったかも」
ルビィ「でも今はルビィと同じくらいの女の子だよね? どうして?」 ヨハネ「それは……そうね」
ヨハネ「きっと…似てると思ったから」
ルビィ「似てる? ヨハネちゃんとその女の子が?」
ヨハネ「ええ、多分ね」
ルビィ「へえ〜…」
ヨハネ「……堕天使、ヨハネ」 ルビィ「え?」
ヨハネ「ううん、何でもないわ……ねえ私も聞いていい? ルビィのこと」
ヨハネ「ルビィが大好きなスクールアイドルの話、今日も聞かせて」
ルビィ「うんいいよ! あのね、今日はね──」
ヨハネ(ルビィったら凄く楽しそうね)クス
ヨハネ(……うん…やっぱり、よく似てる) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています