0001家 ◆YmvLytuhUo (やわらか銀行)2017/12/24(日) 11:50:07.32ID:qIBxeNS0
「ねえ、天使って本当にいると思う?」
「え? ……何よ、いきなり」
「ううん、ちょっと気になって」
「…いるんじゃないの? 私もほら、堕天使だし」
「クスッ……そうだね」
「ちょっ…あんた信じてないわね!」
「あははっ、そんなことないよ……ただ」
「ただ?」
「少しだけ、懐かしくなったの」
「……?」
─そう、あの時の大切な……
ヨハネ「……で、何しに来たのよ」
シスター「…あのですね、天界や天使のあれやこれやを吹き込んでいたら来るに決まっているでしょう」
ヨハネ「世話になっている以上、ある程度の事情は話しておくのが筋なんじゃないの」
シスター「一理ありますが、先程の会話はそれに必要なものではないでしょうに」
ヨハネ「私を知るという意味では必要よね?」
シスター「屁理屈ばかり……」
ヨハネ「機転が利くって言って欲しいわ」
ヨハネ「それにその子は絶対に秘密を守るわ…私にはその確信がある」
シスター「…ですから、守る守らないの問題ではなく……」
ルビィ「あの、お姉…シスターさん」
シスター「……何ですか」
ルビィ「ルビィ、絶対に他の誰にも言いません……だから、あの、ヨハネちゃんのこと…」
シスター「…………ああもう、勝手にしてください」
ルビィ「あ、ありがとうございます!」ペコリ
シスター「ただ、誓った以上約束は守ってもらいますからね」
シスター「そこの貴女も……分かってますよね? 私がみなまで言わなくとも」
ヨハネ「ええ、責任は私が持つわ」
シスター「ならいいでしょう……では私は一度帰りますので」
シスター「全く、損ですね本当に……」フワッ
ルビィ「行っちゃった…」
ヨハネ「…ありがとうルビィ、庇ってくれて」
ルビィ「ううん、でも……良かったのかなぁ?」
ヨハネ「言ったでしょ、私に出来ることならなんでも協力するって、それに貴女には知る権利がある」
ヨハネ「だから、いいのよ」
ルビィ「そうなの?」
ヨハネ「そうなの、だからルビィが気にすることないわ」
ヨハネ「それは私がどうにかする問題だから」
ルビィ「……うん、分かった」
ヨハネ「はい、じゃあこの話は終わりね」
ヨハネ「続きは今度にしましょ、そろそろ夕飯の時間だろうしね」
ルビィ「えへへっそうだね、ルビィお腹空いちゃった」
ルビィ「行ってくるね」
ヨハネ「ええ、いってらっしゃい」
ヨハネ「……」
ヨハネ「……入れ込み過ぎ、か」
ヨハネ「確かにこれじゃ、そう思われても仕方ないかもね」
0112名無しで叶える物語(庭)2017/12/31(日) 02:30:24.47ID:rHuyvWN0
ほ
0114名無しで叶える物語(庭)2017/12/31(日) 10:59:21.15ID:rHuyvWN0
ほ
─それから数週間後…
ルビィ「〜♪」パタパタ
ヨハネ「……ねえ」
ルビィ「ん〜?」
ヨハネ「なんか最近はずいぶん機嫌がいいみたいだけど?」
ルビィ「えっ、そうかなぁ」ニコニコ
ヨハネ「いや全然誤魔化せてないから」
ルビィ「えへへっ…」
ヨハネ「もう、なんなのよ…」
ルビィ「フフッ…あのね、もう少しでルビィの誕生日なんだぁ」
ヨハネ「誕生日? ……ああ、それで機嫌がいいのね」
ルビィ「うん、楽しみだなぁ…」
ヨハネ「……ふーん?」
ヨハネ「…ねえ、一つ言いかしら? いや…私は全然そういうつもりじゃないんだけどね」
ルビィ「?」
ヨハネ「ルビィって誕生日に何か欲しいものとかあるの?」
ルビィ「欲しいもの? うーん……わからないや」
ヨハネ「どうして?」
ルビィ「いっぱいあるからどれが一番欲しいのか分からなくて」
ヨハネ「ああ…なるほどね」
ルビィ「でも」
ヨハネ「?」
ルビィ「ルビィのために送られるプレゼントなら、なんでも嬉しいよ」ニコッ
ヨハネ「……そう…なんでも、ね」
ヨハネ「わかったわ、楽しみに待ってなさい」フフッ
ルビィ「ヨハネちゃん…?」キョトン
シスター「──で、それを聞かされたところで私にどうしろっていうんですか」
ヨハネ「…いや、決めたのはいいんだけど……その、私お金持ってなくて」
シスター「働けばいいでしょう」
ヨハネ「あんた絶対わざと言ってるわよね……この見た目で働けるわけないじゃない」
シスター「ふむ、まあそうですね」
ヨハネ「白々しい…」
シスター「それで? 下界での仕事が無理ならどうするおつもりで?」
ヨハネ「いや、だからその…それをどうにかしてほしくて上司であるあんたに頼みに来たのよ」
シスター「仕事を貰いにですか」
ヨハネ「ええ、だからお願い…」ペコ
シスター「……まあ労働の対価に下界の金銭を用意することは難しくないでしょうけど」
ヨハネ「本当に!?」
シスター「嘘をついてどうするんですか」
ヨハネ「そうよね…」ホッ
シスター「その代わり、必死に働いてもらいますよ……ええ必死に」
ヨハネ「やっぱりね、それくらい覚悟はしてるわよ」
シスター「へえ、そうですか?」
シスター「では丸二日ほどこき使っても大丈夫そうですね」ニコ
ヨハネ「……え? いや、あのルビィの誕生日三日後なんだけど…」
シスター「ではいってらっしゃい」スッ
ヨハネ「ちょっ…! 人の話は最後までええええぇぇぇぇ……!」ヒュウウウウウ
キランッ
シスター「……さてと、押し付ける雑用でも集めてきましょうかね」
シスター「……」
シスター「それにしても…」
シスター「彼女がそこまでルビィさんにこだわる理由は一体何なのでしょうか」
シスター「…まさか、まーた余計な私情が入っているのでは…」
シスター「いや、流石に考えすぎですかね」
0127名無しで叶える物語(庭)2018/01/01(月) 12:53:08.13ID:7BzzYoZe
あけおめ
今年もよろしく
─そして…
ルビィ「わあ! クマさんのぬいぐるみだぁ! これ貰っていいの?」
ヨハネ「ええ、私からの誕生日プレゼントよ」
ルビィ「ありがとうヨハネちゃん! ルビィ大事にするね」ギュー
ヨハネ「……ん」
ヨハネ(ああ……疲れた…)
ルビィ「あっそうだ、ルビィねお菓子貰ったんだけどヨハネちゃんも……」
ヨハネ「……」スゥースゥー
ルビィ「…あれ? 寝ちゃったの?」
「まあここしばらくは働きづめでしたからね」
ルビィ「わわっ! シスターさん」
シスター「どうも、お誕生日おめでとうございます」
ルビィ「あ、ありがとう」
シスター「…そのクマのぬいぐるみですけども」
ルビィ「え?」
シスター「貴女のために彼女が働いて買ったものなんですよ」
シスター「彼女はお金なんて持ち合わせていませんでしたからね」
ルビィ「じゃあ、最近ヨハネちゃんがいなかったのも……」
シスター「そういうことです」
ルビィ「そっか、そうだったんだ…」
シスター「では、用件はそれだけですのでこれで…」
ルビィ「あ、あの! シスターさん」
シスター「何でしょうか?」
ルビィ「ありがとうございました」ペコリ
シスター「? 私は何もしていませんが」
ルビィ「ルビィにこのことを教えてくれたから、それにシスターさんもきっと色々頑張ってくれたんだよね?」
シスター「……」
ルビィ「だから、ありがとう」ニコッ
シスター「…まあ一応受け取っておきますか」クス
シスター「どういたしましてルビィさん、また会いましょう」フワッ
─
ルビィ「……えへへっ」
ルビィ「ありがとうヨハネちゃん」ギュゥ
ヨハネ「…………ん…」スヤ
ほんま代わり映えしないな
おんなじことばっかやっててよく飽きないもんだ
0138名無しで叶える物語(茸)2018/01/03(水) 04:47:55.42ID:ypYqi1hu
保守(disってくる人は無視して頑張ってくれ、雰囲気が好きだ)
二ヶ月後……
─11月某日、ルビィの部屋
ルビィ「……やっと出来た!!」
ヨハネ「どれどれ……へえ、いいじゃない」
ルビィ「本当!?」
ヨハネ「本当よ、素敵な衣装だと思うわ」
ルビィ「良かったぁ…」
ヨハネ「合間を縫って少しづつ進めていったからね、手間をかけた分とても良くなってるわよ」
ヨハネ「きっとルビィに似合うと……」
ルビィ「じゃあヨハネちゃん、はいこれ!」
ヨハネ「……え? 私? どうして?」キョトン
ルビィ「ルビィに誕生日プレゼントくれたから、そのお返しにって」
ルビィ「ルビィが出来ることってこれくらいしかないから」エヘヘ
ヨハネ「……でも、こんなの割に合わないわよ」
ルビィ「ヨハネちゃんに貰って欲しいの」
ヨハネ「ルビィ……」
ルビィ「駄目?」
ヨハネ「駄目なんて言ってないわよ、寧ろすごく嬉しいわ」
ヨハネ「ありがとねルビィ…大切にする」ギュッ
ルビィ「うん!」ニコッ
─
ヨハネ「それにしても」
ヨハネ「……三ヶ月かあ」
ルビィ「え?」
ヨハネ「私がルビィと出会ってから、もう三ヶ月」
ルビィ「…そんなに前だったんだ」
ヨハネ「ええ、あっという間よね」
ヨハネ「私ね、正直こんな関係はすぐに終わるものかと思ってたわ」
ルビィ「うん、ルビィも」
ルビィ「ルビィもね、本当は夢なんじゃないかなぁってそう思ってたの」
ヨハネ「フフッ…ルビィからすれば不思議な体験だものね」
ルビィ「でも今は夢じゃなくて良かったなぁって」
ヨハネ「そう…」
ルビィ「うん」
ルビィ「……ねえ、ヨハネちゃんは」
ヨハネ「なに?」
ルビィ「今までどんな人を見てきたの?」
ヨハネ「そうね、お婆さんとか若い女の人とか、主婦とか…そんな感じ」
ヨハネ「逆に今まで、あまり子供には目をつけていなかったかも」
ルビィ「でも今はルビィと同じくらいの女の子だよね? どうして?」
ヨハネ「それは……そうね」
ヨハネ「きっと…似てると思ったから」
ルビィ「似てる? ヨハネちゃんとその女の子が?」
ヨハネ「ええ、多分ね」
ルビィ「へえ〜…」
ヨハネ「……堕天使、ヨハネ」
ルビィ「え?」
ヨハネ「ううん、何でもないわ……ねえ私も聞いていい? ルビィのこと」
ヨハネ「ルビィが大好きなスクールアイドルの話、今日も聞かせて」
ルビィ「うんいいよ! あのね、今日はね──」
ヨハネ(ルビィったら凄く楽しそうね)クス
ヨハネ(……うん…やっぱり、よく似てる)