「真姫ちゃん」

からり、と扉が開けられた。

鍵盤を叩く手を止める。

「やはり、ここにいたのですね。教室にいないのでどこにいるのかと思いましたが…」

「凛ちゃんと花陽ちゃんから、真姫ちゃんお昼休みはお弁当を食べた後は音楽室にいるって聞いたから、来てみたの」

海未と、その脇に控えたことり。

凛や花陽はたびたび私のピアノを聴きにきてくれるけれど、この二人がーーというか、あの二人以外の誰かが訪ねてきたのは初めてだ。

「真姫。今、少し話をよいですか?」

いつもの、凛々しくも綺麗な笑顔。

ことりは静かに後ろに続き、後ろ手に扉を閉める。

いい伴侶ね。