善子「漆黒の魔獣」
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ザアアアアアアアアアア…
タッタッタッタッタ…
善子「もう!なんでいつもこうなるのよ!ほんとツイてないわね!」タッタッタッ
ブロロロロロロ…
バシャーン!
善子「ふぎゃっ!」
ブロロロロロロ…
善子「…」ポタポタ
善子「ええい!元から濡れてるんだから泥水浴びたところで一緒よ!」ダッ
タッタッタッタッタッ… ―
――
―――
―――――
――――――
〜数十分前〜
ツギハーウシブセイリグチー…
ブロロロロロロ…プシュー
善子「…」
善子(今日は曜さんがいないから、帰り道が静かね…)
善子(Aqoursのレッスンの後に水泳部の練習って…全く、どんな体力してるのかしら?)
善子(いくら大会が近いからとはいえ、無理して体壊さないといいけど…)
ハッシャシマース、ゴチュウイクダサーイ
ブロロロロロロ…キィー!
善子「わっ!」ガタンッ
善子「な、なにっ!?」
アナウンス「只今車両に異常が発生しました、しばらくそのままでお待ちください」
善子「えっ!?」 アナウンス「確認しましたところ、当バスにてエンジントラブルが確認されました」
アナウンス「走行不可能なため、大変申し訳ありませんが停留所にて次のバスをお待ちください」
善子(う、嘘でしょ…?次のバスってことは…)ゴクリ
善子「…」スマホチラッ
善子「やっぱり一時間後じゃなーい!!!」ガーン!
善子「うぅ…この距離だったら歩いて帰ったほうがギリギリ早いわね…はぁ…」
(5分後)
善子「やっぱりバスを待った方がよかったかしら…全然進んでる気がしないわ…」トボトボ
善子「大体何よエンジントラブルって!?ちゃんとメンテナンスしなさいよね!」プンスコ
…ポツッ
善子「ん?」
ポツッ、ポツッポツッ…パラパラパラ…
善子「雨!?今日は一日中晴れだって言ってたじゃない!?」
ザアアアアアアアアアア
善子「あー!もうっ!!!」ダッ ―――――
――――
―――
――
―
タッタッタッタッタッ…
善子「ハッ…ハッ…」バシャバシャ
善子(皮肉にもこっちの方が早く帰れることになりそうね…)
善子「ハッ…ハッ……わっ!」バシャーン
善子「いてて…こ、転ぶのなんて慣れっこよ!」スクッ
ミィー…
善子「…ん?」
善子(今、確かに猫の鳴き声が聞こえたような…)
ミィー…ミィー…
善子「やっぱり気のせいじゃない!」キョロキョロ 善子「…!あのダンボール箱かしら!」タッタッタッ
子猫「ミィー…ミィー…」
善子「やっぱり…なになに、『心の優しい方、拾ってあげてください』…?」
善子「なんか腹立つわねこの文章、勝手に捨てておいてよくもまあ…」
子猫「ミィー…」
善子「…あなたもツイてないのね、でもね、生きていればそのうちきっといいことあるわよ」
善子(…生きてればね)
子猫「ミィー…」
善子「…じゃあねっ」ダッ
タッタッタッタッタッ…
善子「ハッ…ハッ…」バシャバシャ
善子「…」ピタッ
タッタッタッタッタッ… 〜津島家〜
ガチャッ
善子「ただいま…」
善子ママ「おかえりなさい善子。はい、タオル…あら?」
モゾモゾ…
善子「あのね、ママ…」 善子ママ「なるほどねぇ、それで連れてきちゃったと…」
善子ママ「でもね善子、うちは…」
善子「分かってる!うちではペットは飼えないって!でも…」
善子ママ「…でも?」
善子「うぅ…」ウルウル
善子ママ「…まあ、拾ってきちゃったもんはしょうがないわね、少しの間うちで面倒見ましょ」
善子「ママ!」パァ
善子ママ「きっとお腹も空いてるでしょうし、とりあえずママがミルクを温めてくるわ」
善子ママ「善子はその子をよく拭いたら毛布を持ってきてちょうだい」
善子「うん!わかった!」 善子ママ「一応少しは飲んでくれたけど、あんまり食欲がないわね…」
善子ママ「今日はもう病院が閉まっちゃったから、明日ママが連れて行くわ」
善子「だ、大丈夫なの…?」
善子ママ「ええ、きっと大丈夫だから信じましょう」
善子ママ「だから、今日はこの子のそばに居てあげなさい」
善子「うん…」 〜その日の夜〜
善子「…」
善子(うぅ…眠れない…)
善子「…」チラッ
子猫「…」ブルブル
善子「…」スクッ
スタスタ ヒョイッ
善子(さっきからずっと震えが止まってない…)
ギュッ
善子「だめよ、勝手に死んだりしちゃ、そんなこと絶対ヨハネが許さないんだからね…」
善子「お願いだから…」ヒシッ
子猫「…ミィ」ブルブル 〜翌朝〜
チュンチュン
善子(ん…朝?)
善子(そういえば昨日、あの子を抱いたまま寝ちゃって…)
ペロッ
善子「ひゃうっ!?」
善子(な、なに!?今のザラッとした感触は…!?)
善子「…あっ!」
子猫「ミィー」ペロペロ
善子「震えも止まって、昨日より元気になってる…ママー!」ダッ 善子ママ「うん、ミルクもちゃんと飲んでるし、大分調子良さそうね」
善子ママ「一応病院には連れて行くけど、これならきっと大丈夫よ」
善子「はぁ…よかったぁ…」
善子ママ「さてと、それじゃあ早速支度しなくちゃ…善子、学校行かなくていいの?」
善子「えっ!?…あー!もうこんな時間!バスに乗り遅れちゃう!」ドタバタ
善子ママ「ちょっと!そんなに慌てたら…」
善子「ふぎゃっ!」ズテーン
善子ママ「いわんこっちゃない」
子猫「ミィー」
善子「なんでこうなるのよ…」ヒリヒリ 〜放課後〜
善子(よし、とっとと帰るわよっ!)ササッ
ルビィ「あ、善子ちゃーん」
善子「だからヨハネだってば!」ピタッ
花丸「もはや条件反射で言うようになってるずら」
善子「オホンッ!…この私に何か用かしら、リトルデーモン?」
ルビィ「今日はAqoursの練習もお休みだし、松月に寄っていこうと思って」
花丸「善子ちゃんもお菓子食べに行こうよ」
善子「…今日のヨハネはとっても忙しいの、だから先に帰らせてもらうわっ!」ピュー
ルビィ「あ、行っちゃった」
花丸「いつもなら『リア充イベント!』とか言って喜んで着いていきそうなのに…それじゃあ二人で行こっか、ルビイちゃん」
ルビィ「うん!」 善子「ただいま!」ガチャッ
善子ママ「おかえりなさい」
善子「どうだった?」
善子ママ「ママの見立て通り、特に問題なかったわ」
善子「そっか…フフッ」ツンツン
子猫「ミィー」
善子ママ「それより善子、大事なこと忘れてない?」
善子「えっ?」
善子ママ「この子をこれからどうするかってことよ」
善子「あっ…」
善子ママ「少し面倒みるとは言ったけど、せいぜい一週間が限界ね…今日も病院連れて行くときにご近所さんと鉢合わないかヒヤヒヤしたわ」
善子ママ「もしバレたりしたら、色々と面倒なことになるでしょうね…」
善子「うぅ…」
善子ママ「うーん、善子のお友達に飼ってくれそうな子とかいないかしら?」
善子「友達…」
子猫「ミィー」 キーンコーンカーンコーン
花丸「う〜ん、やっと授業終わったずら〜」
ルビィ「練習行こっか、花丸ちゃん」
花丸「うん」
善子「待ちなさい!はなまルビィ!」
ルビィ「あ、善子ちゃんも早く行こうよ」
花丸「そうだよ、というかその呼び方やめて欲しいずら」
ルビィ「でもルビィは花丸ちゃんと一緒なら、ちょっと嬉しいかも♪」
花丸「むむむ、確かにそう言われるとおらも悪い気はしないずら」
善子「ってぇ!人の話を聞きなさいよ!」
花丸「はいはい、堕天使さまが何の用ずら?」
ルビィ「あはは…」
善子「うっ…なんだかどんどん扱いが適当になってくるわね…ちょっと二人に頼みたいことがあるのよ…」
はなまルビィ「「頼みたいこと?」」 善子「…というわけで、とりあえず今はうちで面倒見てる状態なの」
ルビィ(善子ちゃん、やっぱり優しいなぁ)
花丸(堕天使とか悪魔とは程遠い行動ずら)
善子「それでね、二人に頼みってのは、その…」
ルビィ「その子を飼えないか、ってこと?」
善子「なんでわかったの!?もしかして、能力者(サイキック)…!?」
花丸「いやいや、そこまで話せば流石に誰でも分かるし、なんかいつもと微妙にジャンルが違うずら」
善子「そ、それもそうね…そういうわけで、どうかしら…?うちではペットを飼うことが出来ないの」
ルビィ「うーん、うちはどうかなぁ」
花丸「おらも家の人に聞いてみないと、なんともいえないかな」 善子「うぐ…一応飼える環境とはいっても、そう簡単にはいかないわよね…」
ルビィ「誰も猫アレルギーは持ってないし、多分大丈夫だと思うけど…」
花丸「うちもまだおらが生まれる前に猫を飼ってたらしいから、その辺りは同じく大丈夫だよ」
善子「そう、それなら良かったわ…」
花丸「とにかく、今日は帰ってから聞いてみるね」
ルビィ「ルビィもお家に帰ったらお願いしてみるよ」
善子「ありがとう…」
ルビィ「うゅ…まずはおねえちゃんに相談してみないと」
善子「おねえちゃん…?ダイヤ…!?」ピクッ 善子「ルビィ!ストップ!やっぱりあなたの家で飼うことは出来ないわ!」
ルビィ「ええっ!?なんでぇ!?」
善子「ダイヤのことを完全に忘れてた…あのダイヤが絶対に認めてくれるはずがないわ」
善子「きっと『猫ぉ?そんなものに現を抜かして練習がおろそかになったらどうするんですのぉ?大体善子さん、あなたは普段の素行もただでさえ悪く…クドクド』なんて説教が始まるに決まってるわ!」
ルビィ「えぇ…そんなことないと思うけど…」
花丸(善子ちゃん、バカ枠としてしょっちゅう怒られるから、ダイヤさんに対して反射的に身構えるようになってるずら)
善子「この間もちょっと廊下で儀式してただけなのに、生徒会室に呼び出されたのよ!」プンプン
花丸「いやいや、廊下で何してるの善子ちゃん」 善子「とにかく、ダイヤにあの子の存在を知られたらまずいわ!だから黒澤家はナシ!」
ルビィ「う〜ん…じゃあ」チラッ
花丸「えっ、おら?」
善子「花丸!もうあなたしか居ないわ!」クワッ
花丸「そ、そんな風に迫られても〜…」タジタジ
善子「やっぱりお寺といったら猫よ!昔からそういうイメージあるじゃない!」
花丸「どっちかっていうと、それは神社なような…」
善子「私が毎日あなたの家に行って、あの子の面倒をみるから迷惑は掛けないわ!だからなんとかして!お願い!」
花丸「えぇ〜逆に迷惑だよぉ〜…」 〜翌日〜
花丸「ふぅ…」ガララッ
善子「花丸っ!」
花丸「うわっ!びっくりした!」ビクッ
ルビィ「あ、善子ちゃんおはよう」
善子「ヨハネよっ!…それで、どうだった?」
花丸「ああ、うん、別に飼ってもいいよって言われたよ」
善子「ほんと!?」パアア
ルビィ「良かったね、善子ちゃん!」
花丸「その代わり、ちゃんと自分で面倒見るように釘刺されちゃったずら」
善子「ええ、このヨハネが責任を持つわ!それじゃあ今日の放課後に連れていくわね!」
善子「はっ!いけない、あんまり騒いでこのことがダイヤにバレたりでもしたら…」キョロキョロ
花丸「何もそこまで用心しなくてもいいずら」
ルビィ(流石におねえちゃんがかわいそうになってきたなぁ…) 〜国木田家〜
善子「すいませーん」ドンドン
善子(まさか家にインターホンがないとは…ちょっと信じられないわ)
ガララッ
花丸「あ、善子ちゃんいらっしゃい、どうぞ上がって」
善子「あら、ルビィはもう来てたのね」
ルビィ「うん、ルビィは花丸ちゃんとご近所さんだから」
善子「そういえばそうだったわね、おじゃましまーす」 善子「さ、ここがあなたの新しい家よ、出てらっしゃい」パカッ
子猫「ミィー」
ルビィ「うわ〜かわいい〜♥」
花丸「小さくてふわふわしてて…とっても美味しそうずら〜」
善子「コラー!あんたなんてこと言うのよー!」
花丸「えへへ、冗談だよ冗談〜」
善子「全く…あんたが食い気の話をすると全部本気に聞こえるのよ…あー心臓に悪い」
花丸(やっぱり善子ちゃんがたじろぐ姿が一番おいしいなぁ)
ルビィ(善子ちゃん、完全に遊ばれてる…) ルビィ「それにしても、本当にまだ小さいね」
善子「ええ、多分まだ生まれてから2週間くらいしか経ってないと思うわ」
子猫「…」ピョンッ
ルビィ「わっ、飛び出た!」
子猫「…」キョロキョロ
子猫「…」テクテク
花丸「凄いね、初めて来た場所なのにこの子全然物怖じしないずら」
善子「…不幸を乗り越えるためにはね、いかなるときもどんと構えてなきゃいけないものなのよ」
花丸「うわ、善子ちゃんが初めて説得力ありそうなこと言ったずら」
善子「ちょっとー!初めてってどういうことよー!」プンスカ
ルビィ「まあまあ二人とも…そういえば善子ちゃん、この子の名前はもう決めたの?」 善子「ええ、勿論既に決めてあるわ」
善子「その名も…」
はなまルビィ「「その名も…?」」
善子「スフィンクスよっ!」ババーン
花丸「えぇ…なんでその名前にしたの…?」
善子「だって、神話に出てくるし、響きがかっこいいじゃない!」
花丸(神話って言ってもエジプト神話だし、善子ちゃんの設定がよくわかんないずら)
ルビィ「あはは、善子ちゃんらしいかも」
善子「ふふん」ドヤッ
花丸「別に誰も褒めてないずら」
スフィンクス「ミィー」 善子「フードもよし、トイレもよし…それじゃ花丸、明日からよろしくね」
花丸「うん、ごはんは朝と夕方にあげればいいんだよね」
善子「何言ってるの?明日から毎日来るからって意味でのよろしくよ?」
花丸「ええっ!?あれって本気で言ってたの!?」
善子「あったりまえじゃない!堕天使に二言はないわ!」ババーン
花丸「まあ、別にいいけど…」
花丸(朝っぱらから騒がしくなりそうずら)
ルビィ「いいなぁ、楽しそう」
善子「あら、勿論ルビィも来ていいのよ?」
ルビィ「本当!?」
花丸「それは善子ちゃんじゃなくてマルのセリフずら」ジトー
善子「細かいことを気にしたら負けよっ!」
スフィンクス「zzz…」スピー ・・・
善子「すいませーん」ドンドン
ガララッ
花丸「もう、別にノックしないで入ってきていいのに」
善子「うう…そうは言っても他所様の家でそれはなかなか慣れないわよ…」
花丸「どうせ鍵もかけてないんだし、気にしなくていいずら」
善子(それもどうなのかしら…)
ルビィ「あ、善子ちゃんおはよう!」
善子「ヨハネよ…さあ、我がリトルデーモン・スフィンクス!待ちかねたでしょう!このヨハネ様から直々に給餌の時間よっ!」
花丸「もうさっきあげちゃったずら」
スフィンクス「ハグハグ」 善子「ちょっ…なんでよっ!」
花丸「善子ちゃんがいつもより遅いのがいけないずら」
ルビィ「スフィンクスちゃん、お腹すいてそうだったもんね」
善子「うぐっ…そ、それは…」
花丸ママ「あら、善子ちゃん来てたのね」
善子「あ、おはようございます」ペコリ
花丸(あ、流石にお母さん相手には訂正しないんだ)
花丸ママ「今日もごはん用意していったから、みんな食べちゃいなさい」
善子「ええと、なんかいつもすみません…」
花丸ママ「いいのよ別に、どうせ作る手間は大して変わらないんだから」 全員「「「いただきまーす!」」」
善子「…それにしてもあんた、よく朝っぱらからそんなに食べれるわね…」
花丸「え?そんなこと無いと思うけど」モグモグ
善子「いやいや、片手に収まってないじゃないそのお茶碗」
花丸「これくらい食べないとお昼まで活動できないずら」ゴクン
善子「とても女子高生とは思えないわ…」
ルビィ(花丸ちゃん、相変わらず喋りながらなのに器用に食べるなぁ)モグモグ 全員「「「ごちそうさまでしたー!」」」
花丸「おなかいっぱいずら〜」
善子「そりゃあれだけ食べればね…」
ルビィ「そういえば善子ちゃん、どうして今日はいつもより遅かったの?」
善子「ああ、それはね…今朝これを探してたの」ヒョイ
ルビィ「ええと、猫じゃらし?」
善子「そうよ!悪魔といったら儀式、猫といったら猫じゃらしよ!」
善子「うちの周りになかったから、わざわざ近くの河川敷まで行ったのよ」
善子「すぐ見つかるものだと思ってたけど、なかなか出てこなくて困ったわ」
ルビィ「そっか、それで今日は遅れちゃったんだ」
花丸「別に猫じゃらしなんてうちの庭に腐るほど生えてたのに」
善子「うぐ…人の苦労を打ち砕く発言をよくもそんな安々と…」 善子「まあいいわ…気を取り直して…!」サッ
スフィンクス「zzz…」
善子「…」フリフリ
スフィンクス「…!」ピクッ
スフィンクス「…」スクッ
花丸「おお」
ルビィ「おめめがまん丸だぁ」
善子「さあ、我がリトルデーモンスフィンクスよ!その本能を解放させなさいっ!」フリフリ
スフィンクス「…」ジリジリ
スフィンクス「…!!!」ピョーン
ルビ丸「「跳んだ!!」」 善子「そうよ!それこそがあなたの真のすがt」
スフィンクス「♪」ガシィ
ルビ丸「「あ」」
善子(え…なんで手に)
スフィンクス「♪」ケリケリケリケリ
善子「いだだだだ!!!ちょっ…こらっ!やめなさい!」
ルビィ「おー」
花丸「主人の手で遊んでるずら」
善子「もー!なんでこうなるのよー!!!」
スフィンクス「♪」ガジガジ 善子「ゼエ、ゼエ…やっと離れたわ…」
花丸「遊ぶどころか完全に遊ばれてたずら」
ルビィ「そーれ、それそれ♪」フリフリ
スフィンクス「!」パシッ パシッ
善子「な、なんでルビィだと普通に遊んでいるのよ…」
花丸「さっきまるも試してみたけど、遊ばれてるのは善子ちゃんだけだったよ」
善子「な、なんですってぇ…」グデェ
花丸ママ「あら、まだ居たの?学校行かなくて大丈夫?」
善子「えっ」
花丸「わわっ!もうこんな時間だよ!」
ルビィ「ピギィイイ!は、早く行かなくちゃ!!」バタバタ
花丸「行ってきまーす!」ダッ
よしルビ「「お邪魔しましたー!」」ダダッ
花丸ママ「いってらっしゃ〜い」
スフィンクス「?」キョトン 花丸「はぁ…はぁ…ま、まってぇ」タッタッタッ
善子「へばってる場合じゃないわよずら丸!とにかく走りなさい!」タッタッタッ
ルビィ「よ、善子ちゃん、いま何時ぃ?」タッタッタッ
善子「今はそんなこと確認してる余裕ないわ!」タッタッタッ
ルビィ「えぇ〜…」タッタッタッ
善子「よし、まだ校門が開いてるわ!ギリギリ間に合って…」バッ
ダイヤ「ませんわよ?」
善子「ふべっ!」ツルッ ズサー ルビィ「お、おねえちゃん…」
花丸「はぁ…はぁ…やっと着いたずら…あ」
ダイヤ「あらあら、3人揃って遅刻とは随分仲がよろしいのですね」ニコッ
ルビィ「あわわ…」
花丸(なんかまずい空気ずら)
善子「うぐぐ…そ、そうなのよ〜…じゃあ私達はこれで…」ソソッ
ダイヤ「お待ちなさいっ!」クワッ
善子「」ビクッ
ルビィ(善子ちゃんが動けなくなっちゃったよぉ)
花丸(さながら神様に睨まれた堕天使ってとこずら) ダイヤ「何事もなかったかのように去ろうとするとはいい度胸ですわね、全く」テクテク
ダイヤ「ん…レトルトパウチに、『猫の飼い方』…?」
善子「えっ!?」チラッ
善子(し、しまったぁ〜!急いで出発したからかばん開けっ放しで、しかも転んだせいで全部中身が出てるぅ〜!)ガビーン
善子(よりにもよって、なんでこんな時に不幸体質が発動するのよ!これじゃ最近猫を飼い始めましたって言ってるようなもんじゃない!)
善子(ダイヤにだけはあのことがバレてはいけないわ!ここは何か言い訳を…)
ダイヤ「…とにかく、3人とも放課後に生徒会室まで来ること」
ダイヤ「早く教室に行きなさい、そろそろホームルームが始まる時間ですわ」スタスタ
善子「あ、はい…(助かったの…?)」ヘタッ
花丸「行っちゃった…」
ルビィ「おねえちゃん…」 〜放課後〜
善子「うぅ…緊張する…」
花丸「別に遅刻の理由を言いに行くだけだからそんなに気を張る必要ないずら」モグモグ
善子「いくらなんでもあんたは落ち着きすぎでしょ!」
善子(とりあえず言い訳は考えたわ…後は臆さないで突っ切るだけよ…!)
ルビィ「…」 コンコン
三人「「「失礼しまーす」」」
ガララッ
ダイヤ「お待ちしておりましたわ、立ち話もなんですからどうぞ座ってくださいまし」
善子「はあ」
ダイヤ「さて、まず今朝遅刻した理由を聞きたいところですが、私が知りたいのは別のことです」
ダイヤ「単刀直入に聞きます、あなたたち、何か隠し事をしてますわね?」キッ
善子「へっ!?」ビクッ
善子(まさか今朝の一件だけで悟られたっていうの!?)
善子「ええと…それはその…」アタフタ
善子(くうぅ…まずは遅刻の言い訳をするつもりだったのに…まさか先にそこを突っ込まれるとは…)
花丸(善子ちゃん、完全に動揺してるずら) ダイヤ「どうしたんですの?何かやましいことでも?」ジッ
善子(な、何かうまい言葉を…)
ルビィ「おねえちゃん!」
善子「!?」
ダイヤ「ルビィ?」
花丸「…」
ルビィ「あのね!ルビィたち、実は猫さんを飼ってるの!」
善子(ちょっ、ルビィィィ!!!) ダイヤ「なるほど、それで今朝の善子さんの持ち物…それで、どこで飼っているんですの?」
ルビィ「うん、花丸ちゃんのお家で飼ってるよ」
善子(お、終わった…)
ダイヤ「そう…そういうことでしたら、隠し立てせずに言ってくれればよいのに」
善子「…へ?」
ダイヤ「隠し事はそれだけですか?」
ルビィ「うん」
ダイヤ「全く、妙にコソコソするからつい勘繰ってしまいましたわ」 ダイヤ「最近ルビィがやたら早く家を出てたのも、そのためだったのですのね」
善子「お、怒らないの…?」
ダイヤ「…?なんのことですの?」
善子「いや…私たちが猫を飼っていること…」
ダイヤ「はあ?なんで私がそんなことを怒らなければならないんですの?」
ダイヤ「別にあなた達が何を飼っていようが、法に触れてない限りはとやかく言う権利はありませんわ」
善子「…」ポカーン
花丸(なんとなく予想出来た展開ずら) ダイヤ「大切な命には変わりありませんから、きちんと育てるのですよ」
ルビィ「うん!」
花丸「はい!」
善子(うぅ…なんか心配して損したわ…)ハァー
ダイヤ「さあ、もう用件は済みましたから練習へ行きn…そういえば今朝遅刻した理由を聞いてなかったですわね」
ルビィ「あっ…」
花丸「えっと…」
善子「ああ!それならその猫と遊んでたらうっかり遅刻しちゃったのよ!」ケラケラ
ルビ丸((あ)) ダイヤ「猫と遊んでて遅刻した…ですか…」ゴゴゴゴ
善子(…ん?)
花丸(あちゃー、安心しきって完全にさっき考えた言い訳を忘れてるずら)
ルビィ「あわわ…」
ダイヤ「よくもそんな理由で遅れてヘラヘラしてられますわね!善子さん!」クワッ
善子「ひっ!?」ビクッ
ダイヤ「罰として今日の練習は特別メニュー!お覚悟なさい!」クワワッ
三人「「「そ、そんなぁ〜」」」
ダイヤ「もしも今後猫を理由に遅刻しようものなら、その度に特別メニューを追加しますわ!」
ダイヤ「さあ!早くお行きなさい!」ビシッ
三人「「「し、失礼しました〜…」」」ガララッ ダイヤ「全く、気が緩んでいる証拠ですわ」ハァー
ダイヤ「しかし、いつも善子さんからやたら警戒されてるような気がするのですが、気のせいでしょうか」
鞠莉「あら〜?その辺りはちゃんと気づいていたのね〜」ヒョコッ
ダイヤ「ちょっ…鞠莉さん!?いきなり現れないでください!」ビクッ
鞠莉「ダイヤはね、いつもちょ〜っと怒り過ぎなのよね〜」
ダイヤ「そんなことありません、私は然るべき対応をしているだけです」
ダイヤ「たまたま素行の悪い善子さんに対して、その頻度が高くなってしまっているに過ぎませんわ」
鞠莉「ワオ!やっぱりそんなこと言っちゃう!?やっぱりダイヤは硬度10のカチコチ石頭さんね!」ケラケラ
ダイヤ「なっ、石頭…」ゴゴゴゴ
鞠莉「わー!ダイヤが怒ったー!浦の星が倒壊するー♪」ダッ
ダイヤ「こら!待ちなさい、このシャイニー娘!」ダッ 〜屋上〜
花丸「はぁ…はぁ…善子ちゃんのせいでとんだとばっちりにあってるずら」
善子「何よ、遅刻したのは全員一緒でしょ…」
ルビィ「でもあの言い方じゃ絶対おねえちゃん怒るよぉ…」
果南「ほらほら、おしゃべりしてると集中力切れるよ〜」
善子「ぐっ…なんでよりにもよって監視役がこの人なのよ…」プルプル
ルビィ「多分一番ストイックそうだからじゃないかな…おねえちゃんだったら絶対そういう人選ぶもん…」プルプル
花丸「も、もう無理…」プルプル
ガチャ
千歌「こんちかー!…ってうわっ!何やってんの!?」
曜「わー!なんか楽しそうだねっー!」
梨子「えぇ…?」 果南「お、3人とも来たね、ダイヤと鞠莉は今日来れないから先にいつもの練習始めてていいよ」
千歌「ええと…果南ちゃんたちは何してるの?」
果南「ああ、これ?これは黒澤式超体幹トレーニングだって」
果南「今朝学校を遅刻したペナルティらしいんだけど、その監視役を頼まれちゃったんだよね」
梨子「なるほど…」
果南「いやぁ、一年生たちも災難だよね〜…あ、ほらそこ!姿勢が乱れてるよ!」ピシッ
善子「お、鬼…」グヌヌ
曜「流石果南ちゃん、ノリノリだね〜」
千歌「…とりあえずストレッチしようか」
梨子「そうだね…」
果南「はいそこまで!じゃあ今のをもう10セットいってみようか!」
3人「「「ひえぇ〜…」」」 ・・・
果南「はい、今日の練習終わり!お疲れ様!」
ようちかりこ「「「お疲れ様でしたー!」」」
よしまルビィ「「「」」」チーン
梨子「うわぁ、3人とも完全にダウンしてる…」
曜「普通の練習に加えて特別メニューもやったから流石にね」
果南「あはは、ちょっと厳しくしすぎちゃったかな?」
千歌「それにしても、今日はなんで3人揃って遅刻したりしたの?」
善子「スフィン…クス…」
千歌「え?」
善子「魔獣スフィンクスと闇の遊戯を行ったが故、運命の刻は過ぎたり…」ガクリ
曜「わかった?」
梨子「全然」 花丸「…猫と遊んでいたら遅刻したずら」
梨子「ああ、そういうこと…」
曜「猫って野良の?」
花丸「ううん、飼ってるよ」
千歌「ええ!?猫なんて飼ってたの!?」
ルビィ「うん、今花丸ちゃんのお家にいるんだ」
千歌「いいないいなー!私も見たい―!」
善子「良いでしょう、我がリトルデーモン・スフィンクスの姿をその目に焼き付けなさい!」バッ
曜「あ、復活した」 善子「そうと決まれば、そのままずら丸の家まで向かうわよ!」ギラン
花丸「だからそれは善子ちゃんのセリフではないずら」
梨子「急に押しかけたりして大丈夫?」
花丸「大丈夫だよ、どうせルビィちゃんと善子ちゃんがこのあと来ることになってたから」
曜「それじゃあお言葉に甘えてお邪魔するであります!」
千歌「やったー!あ、果南ちゃんも行こうよ!」
果南「え、私もいいの?」
花丸「勿論いいよ、今日のことは一生許さないけど」
果南「えぇ…」
ルビィ(おねえちゃんのせいで果南さんが花丸ちゃんに怨まれてるよぉ)
善子(AZALEAの危機ね…) 〜国木田家〜
善子「いでよ!我がリトルデーモン・スフィンクス!」ガララッ
花丸「やかましいずら」ペシッ
スフィンクス「ミャー」トテトテ
千歌「かわいいー!♥」
梨子「ほんとにまだ小さいんだね」
花丸「まだ生まれてから1ヶ月も経ってないみたい」
曜「黒猫かー…なんか善子ちゃんっぽいね!」 善子「それだけじゃないわ…この子はね、オッドアイなのよっ!」ババーン
千歌「オッドアイ?」ナデナデ
花丸「左右で目の色が違うんだよ」
梨子「あ、確かに右が青で、左が緑なんだね」
果南「ますます善子っぽいね」クスッ
善子「ふふん」
花丸「別に善子ちゃんが得意気になることじゃないずら」ジトー
曜「それにしても、花丸ちゃん家くらい広ければ、スフィンクスも退屈しなそうだね!」
花丸「うーん、それはあんまり関係なさそうかな」 果南「ん?広いほうが走り回ったりしやすそうだけど…」
ルビィ「スフィンクスちゃん、善子ちゃんが来る時間以外は基本おとなしくしてるらしいんです」
花丸「いつもあの座布団の上で座ってるか寝てるずら」
果南「ほほう、それはなかなかの忠誠心…」
善子「よし、今日こそは普通に遊…って、痛いからやめなさいってば!」
千歌「あはは!善子ちゃん遊ばれてる!」ケラケラ
スフィンクス「♪」ガジガジ
果南「…なのかな?」アハハ
花丸「とてもそうは思えないずら」 〜数ヵ月後〜
善子「ふふ…今日もこの時がやってきましたね…」
善子「今日こそ…今日こそ見せなさい…あなたの真の力を!」
スフィンクス「…」
ルビィ「…ゴクリ」
花丸「…」モグモグ
善子「さあ…行くわよ…!」
スフィンクス「!」 善子「お手!!!!」バッ
シーン
スフィンクス「…」トテトテ
スフィンクス「♪」スリスリ
善子「だからなんでよっ!!!」
花丸「いや無理に決まってるずら」
ルビィ「うーん、やっぱり猫さんには難しいのかも」
善子「スフィンクスはヨハネのリトルデーモンなのよ!だから無理なことなんてあんまりないはずよ!」
花丸「そんな無茶な…」
スフィンクス「zzz…」ゴロゴロ 花丸ママ「あなたたち、そろそろ学校行かないと遅刻するわよ?」ガラッ
ルビィ「あ、もうこんな時間だね」
花丸「特別メニューはもう勘弁ずら」
善子「ほら、もう学校行くから降ろすわよ」ヒョイ
スフィンクス「ンニャ…」ポケー
花丸ママ「いってらっしゃ〜い」
三人「「「いってきま〜す!」」」
スフィンクス「zzz...」スピー ワイワイ ガヤガヤ ニギニギ
先生「はーい静かに、それでは朝のホームルームを始めます」
先生「今日は皆さんに連絡事項があります」
先生「最近、この内浦周辺で野犬の被害が出ているそうです」
ザワザワ...ザワザワ...
先生「目撃情報によるとその野犬は、長毛の大型犬で、ペットショップにも売られている犬種とのことです」
先生「とにかく危険ですので、見つけても絶対に近づいたりせず、しばらくは複数人で帰るように心がけてください」
ザワザワ...ザワザワ... 善子(ペットショップで売られてる...つまり誰かに捨てられたってことよね)
善子(ほんと、人間って勝手な生き物ね...)
善子(...もしあの時にスフィンクスを拾ってなかったら...野良猫にでもなってたのかしら...)
花丸「おーい」
善子(...)
花丸「善子ちゃんてばー!」 善子「うわっ!何よっ!?」ビクッ
ルビィ「善子ちゃん、今日は一時間目から移動教室だよ」
花丸「早く行かないと遅れちゃうずら」
善子「あっ、忘れてた!早く準備しないと...」スカッ
ドサァ...
ルビィ「あ、かばんの中身が全部...」
善子「だからなんでこうなるのよ...」シクシク
花丸「やれやれずら...」 〜放課後〜
花丸「ただいま〜」ガララッ
スフィンクス「ニャーン」
善子「よしよーし、ご主人さまのお帰りだぞー」ナデナデ
スフィンクス「ゴロゴロ...」
善子「しっかしあんた、今日もずっとこの座布団の上にいたのね」
ルビィ「お気に入りなのはいいけど、流石に飽きちゃわないかなぁ」
花丸「えー、おらは別にいいと思うけどなぁ」
スフィンクス「ンニャー」スリスリ 善子「う〜ん…」ブツブツ
ルビィ(善子ちゃん、急に考え込んでどうしたんだろ?)
花丸(なんかまたろくでもないこと言い出しそうずら)
善子「よし!決めたわ!この子の城を用意するわよ!」
ルビィ「お城ぉ!?」
花丸「やっぱり変なこと言い出したずら〜」
善子「変なこととは何よ!…猫といったら高い所に登るもの、この子はこんな地べたの座布団なんかにいつまでも収めるようなタマじゃないわ」 花丸「それで、城って具体的にどんなの?」
善子「それは…こんなのよ!」スマホ
花丸「これは…」
ルビィ「あ、キャットタワーってやつだね」
花丸「城って言うほど大層なものでもないずら」
善子「うっさいわね!その辺は別になんだっていいのよ!」
ルビィ「でもこれ、結構なお値段…」
花丸「おらも今月は本を買っちゃったから、もうお小遣い残ってないよ」
善子「うぐ…私も儀式道具を買ってしまったせいで…」
ルビィ「う〜ん、どうしようか」
???「それだったら作ってみてはどうじゃ?」 善子「何奴っ!?」クルッ
花丸「あ、おじいちゃん」
ルビィ「こんにちは」
花丸爺「いらっしゃい、二人とも」
善子「お邪魔してます」ペコリ
花丸「それよりもおじいちゃん、自分たちで作るってまさか」
花丸爺「無論、そのままの意味じゃよ」
ルビィ「えぇっ!?そんなことルビィたちに出来るかなぁ?」
花丸爺「それをちょっと見せてみなさい」
善子「あ、はい」 花丸爺「ふむ、木の板なら納屋に残ってるし、柱には裏の竹林の竹を使うと良いじゃろう」
花丸爺「簡単なもんでよければそれで作れるぞ」
花丸「でも、流石にまる達だけじゃ…」
花丸爺「安心せい、わしも手伝う」
善子「本当ですか!?ありがとうございます!」
ルビィ「よかったね、スフィンクスちゃん!」
スフィンクス「?」キョトン
花丸爺「それじゃあ早速、今度の日曜日にでも作るかの」
三人「「「はーい!」」」 〜黒澤家〜
ルビィ「ふんふふーん♪」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「あ、おねえちゃん!どうしたの?」
ダイヤ「猫のお世話はきちんと出来ていますか?」
ルビィ「うん!毎日ごはんあげたり遊んであげたして、おかげでルビィもお寝坊しなくなったんだ!」
ダイヤ「そう、それはよかったですわね」フフ ルビィ「えへへ〜、今度の日曜日にね、スフィンクスちゃんにお城を作ってあげることになったの!」
ダイヤ「お城…ですか」
ルビィ「あ、キャットタワーのことだよ!はいこれ!」スマホ
ダイヤ「ふむ…」
ルビィ「スフィンクスちゃんが喜ぶもの、作れるといいな〜」
ダイヤ「なるほど…ルビィ、ちょっと」
ルビィ「ん、なあにおねえちゃん?」 〜日曜日〜
善子「堕天使ヨハネ、ここに降臨!」ガララッ
花丸爺「やあ、おはよう善子ちゃん」
善子「あ、おはようございます」ペコリ
花丸爺「みんなならもう、納屋で道具の準備をしてるよ」カキカキ
善子「ありがとうございます」
善子(ん?みんな…?) 花丸「あ、善子ちゃんきたよ」
ルビィ「おはよう、善子ちゃん!」
善子「ヨハネよっ!…早速準備に励んでいるようね、リトルデーモン」
ダイヤ「くだらないこと言っていないで、早くあなたも手伝いなさい」
善子「げぇっ!?だ、ダイヤ!?」
ダイヤ「人の顔を見て『げぇっ!?』とはなんですか、失礼な」
善子「な、なんであなたがここに…」
ルビィ「ルビィが今日のこと話したらね、おねえちゃんも是非手伝いたいって」
花丸「ダイヤさんなら頼りになるし、人数が多いに越したことはないずら」
ダイヤ「ということで、今日はよろしくお願いします」
善子「うぅ…はいぃ…」 ルビィ「そういえばおねえちゃん、まだスフィンクスちゃんのこと見てなかったよね?」
ダイヤ「そうですわね、折角ですから一度お目にかかりたいですわ」
善子「そう!?それなら今すぐ…」
花丸(あ、元気になった)
ダイヤ「準備が終わったあと、にしましょうね?」
善子「アッ、ソウデスネ…」
花丸(またしぼんだずら) 花丸「この部屋ずら」ガララッ
スフィンクス「ンニャー」トテトテ
善子「おー我がリトルデーモン・スフィンクスよ」ナデナデ
ダイヤ「へぇー、これが…」
スフィンクス「!」ビクッ
スフィンクス「フシャアアアアア!!!」シュタッ
よしまルビィ「「「!?」」」
ダイヤ「んなっ…」 ルビィ「す、スフィンクスちゃんが…」
花丸「ダイヤさんに威嚇してるずら…!」
善子「や、やめなさい!!!」ヒョイ
スフィンクス「ヴヴヴヴヴヴ…」
花丸「今まで誰にも威嚇したことなかったのに…」
善子(コラー!余計なこと言うんじゃないわよー!!!)
ルビィ「お、おねえちゃん…」オロオロ
ダイヤ「…」プルプル 花丸「ダイヤさん、大丈夫?」
ダイヤ「ええ、大丈夫です…それでは行きましょうか…」ズーン
ダイヤ「…」ユラァ〜
花丸「ずらぁ…」
ルビィ「どうしよぉ…」
善子「スフィンクス!なんてことするのよ!」
スフィンクス「…」プイ
善子(うぅ、今日一日どう過ごせばいいのよ…) 〜竹林〜
花丸爺「さて、全員揃ったところでそろそろ始めるぞ」
全員「「「「はーい」」」」
ダイヤ「本日は、何卒よろしくお願いしますわ」ペコリ
花丸爺「ほほほ、なにもそんなに畏まらんでもよいぞ」
ルビィ(おねえちゃん、持ち直したみたいでよかったぁ)
花丸(流石は網元の長女ずら)
善子(平然としているのが逆に恐いわ…)
花丸爺「今日はこれを基に作業してもらおうかの」ペラ
ダイヤ「これは…設計図でしょうか」
花丸爺「そうじゃ」
善子「あ、さっきこれを書いていたんですね」
花丸爺「まずは材料になる竹を切り倒すぞ」 ・・・
花丸爺「ふむ、この竹で良いじゃろう…みんな、危ないからこっち側に立っていなさい」
全員「「「「はーい」」」」
花丸爺「…」ギコギコ
ルビィ「すごーい、おじいちゃんはやい!」
ダイヤ「とても手際がよいのですね」
花丸「いつもやってるからね」
善子「一刀両断…かっこいい!」
花丸「一刀ではないずら」
花丸爺「そろそろ倒れるぞー」ギコギコ ビュオオオオオオ
竹「あーらよっと」グラッ
善子「ん...ってのわあああああ!!!!!」サッ
バターン
花丸爺「だ、大丈夫か善子ちゃん!?」
ダイヤ「なんとまあ...」
花丸「竹がピンポイントに善子ちゃんの居た位置に倒れたずら...」
ルビィ「こわいよぉ...」
善子「これもまた...我が運命(さだめ)...」ブルブル
花丸(震えながらも悟ってるずら) 花丸爺「それではこの材料を、設計図通りの大きさに切り分ける作業にはいるぞ」
花丸爺「二人一組になって作業を進めるんじゃ」
善子「それじゃあ...」
花丸「一緒にやろうか、ルビィちゃん」
ルビィ「うん♪」
善子「え”っ!?、ってことは...」チラッ
ダイヤ「よろしくお願いしますわ、善子さん」
善子(な、なんでよ...)ヘナヘナ
花丸(善子ちゃんには少しダイヤさん耐性をつけさせた方がいいずら)
ルビィ(おねえちゃん、善子ちゃんと仲良くなれるといいなぁ) ・・・
ルビィ「すごいよ花丸ちゃん!すいすい切れてる!」
花丸「えへへ、昨日読んだ大工の本にコツが書いてあったんだ」ギコギコ
花丸爺「ふむ、こっちは問題なさそうじゃな」ギコギコ
花丸爺「それに比べてあっちは...」チラッ
ダイヤ「全然切れてませんわよ、善子さん!それに曲がっていますわ!」
善子「う、うっさいわね!わかってるわよ!」ギコギコ
ダイヤ「しっかり見ないとまっすぐ切れませんわよ?もっと集中なさい!」
花丸爺「なかなか大変そうじゃな」ハハハ ダイヤ「やっと一つ切り終わりましたわね」
善子「なんかどっと疲れたわ...次は...痛っ!」チクリ
ダイヤ「どうしたんですの!?」
善子「ああ、木のトゲが指に刺さっちゃったみたい」
ダイヤ「あなたって人はつくづく...って、血が出てるじゃありませんか!?」
善子「こ、このくらい平気よ」
ダイヤ「そういうわけにはいきませんわ、ちょっと来なさい」グイッ
善子「えっ、ちょっとぉ!?」 ジャー キュッ
善子「別に、ここまでしなくてもよかったのに」
ダイヤ「仮にもスクールアイドルの手、傷跡が残ったりでもしたら大変ですわ」フキフキ
善子「...」
ダイヤ「これでよし、と」絆創膏ペタリ
善子「...ダイヤ」
ダイヤ「なんですか?」
善子「そ、その...ありがと...///」
ダイヤ「フフ...どういたしまして」ニコッ
ダイヤ「それでは作業に戻りますわよ、早くしないと日が暮れてしまいますわ」スタスタ
善子「あっ!ちょっと待ってよぉ!」ダダッ ・・・
花丸爺「...よし、これで完成じゃ」
ルビィ「わーい!」キャッキャッ
ダイヤ「皆さん、お疲れさまでした」
善子「クク...これで我がリトルデーモン・スフィンクスにも一つ箔がつくわね...」
花丸「まる、もうお腹ぺこぺこずらぁ〜」
花丸爺「さ、これをみんなで運んでしまおう」
全員「「「「はーい!」」」」 〜国木田家〜
花丸爺「これでよしっと、設置完了じゃ」
善子「さあ、あなたの城よ、スフィンクス」
スフィンクス「...」クンクン
ルビ丸「「...ゴクリ」」
スフィンクス「...」ウロウロ
シュタッ
三人「「「登った!!!」」」
ルビィ「スフィンクスちゃん、気に入ってくれたんだね!よかったぁ」
善子「誇らしいわよ!我がしもべ!」ホクホク
スフィンクス「ニャオーン」ドヤッ
花丸「主人の変なところが移ってるずらぁ〜」アハハ
花丸爺「ほっほっほ、よかったのう」 ダイヤ「...」チラッ
花丸「ダイヤさん、何もそこまで離れなくても...」
ダイヤ「で、ですが...」
ルビィ「き、きっとさっきはびっくりしただけだから、ね?」
ダイヤ「...ええ」テクテク
ダイヤ「...」ソォ~
スフィンクス「...」クンクン
花丸「おお!威嚇しないずら!」
ダイヤ「!」パアァ
スフィンクス「」プイッ
ダイヤ「なっ...」ガーン ルビィ「ああっ...」ガックシ
善子「き、きっとそのうち慣れるわよ!ね?」アセアセ
ダイヤ「ええ、そうだといいですわね...」ズーン
花丸「そ、そろそろご飯の時間ずら!今日はみんなも食べていってよ!」ダッ
善子「ええっ!?悪いわね!じゃあ準備を手伝わせてもらうわっ!」ダッ
ルビィ「おねえちゃん、何ごとも忍耐だよ!がんばルビィ!」ダッ
ダイヤ「ええ、そうですわね...」トボトボ
スフィンクス「...」クシクシ
花丸爺「大変じゃのう」シミジミ ・・・
全員「「「「ごちそうさまでした!」」」」
ダイヤ「さ、帰りますわよルビィ」
ルビィ「うん!ばいばい、花丸ちゃん!」
花丸「またね〜」
善子「さて、私も...あれっ!?」
ルビィ「ん、どうかしたの善子ちゃん?」
善子「ない!お守りがないのよ!」オロオロ
花丸「お守りって...あ、いつもかばんに付けてたやつ?」
善子「それよ!パパがくれた大切なものなの!」 善子「もしかしてさっきの竹林の中に...探しに行かなくちゃ!」ダッ
花丸爺「待ちなさい!外はもう真っ暗じゃよ!」
ダイヤ「終バスの時間も迫ってますわ」
善子「うぅ...」
花丸「とりあえず家の中とその周りはおらが探しておくから、それでも見つからなかった明るくなってから探そう?」
善子「...ありがとう、お願いさせてもらうわ...」
スフィンクス「...」チラッ 〜翌朝〜
ピリリリリリ
善子(ん...こんな朝早くから電話...?)
スッ
善子「んん、もしもしぃ...?」
花丸「大変だよ善子ちゃん!スフィンクスがいなくなっちゃった!」
善子「え...な、なんですって!?」
花丸「朝起きたらいつもの場所にいなくて...家の中を探してもだめだったずら!」
花丸「今までこんなこと一回もなかったのに...」
善子「わ、わかった!とにかくすぐに向かうわ!」バッ 〜国木田家〜
善子「花丸!」
花丸「よ、善子ちゃん...」
善子「その様子だと...」
花丸「うん、家の外も探したけど見つからなくて...ルビィちゃんとおじいちゃんには道路の方を探してもらってるけど...」
ルビィ「だめだぁ〜全然見つからなかったよぉ〜」トボトボ
花丸爺「一体どこに行ってしまったやら...」トボトボ 花丸「まだ探していないのは...」
善子「昨日の竹林...!広いから手分けして探しましょう!」ダダッ
花丸「うん!」ダダッ
ルビィ「急ごう!」ダダッ
花丸爺「ひぃ〜年寄りには堪えるわい」タッタッ 善子「スフィンクス〜!どこなの〜!出てきなさい〜!」ダッダッダッ
善子「もう...急にどうしたってのよ全く...」
ガサガサッ
善子「!」ピタッ
善子「今、確かにあそこの草むらが...」
ガササッ
善子「やっぱり気のせいじゃないわ!」ダダッ
ガサッガサッ
善子「そんなところに隠れてたのね、全く悪い子だわ」フゥ-
善子「さ、早く出てらっしゃい、おうちに帰りましょう」
グルルルル...
善子「...え?」 きゃあああああああああ!!!!!
花丸爺「今の声は...」
ルビィ「善子ちゃん!?」
花丸「急がなきゃ...!」 善子「ひっ...何よ、あんた一体なんなのよ...」ブルブル
野犬「グルルルルルル...」
善子(まさか...いつかのHRで言われてたのはコイツなの!?)
善子(確かに長毛でペットショップでも見たことあるけど、なんだか薄汚い...)
善子(目立つ傷もいくつかあるわね...)
野犬「...」ジリジリ
善子「や、やめなさい...私なんか食べてもおいしくないわよ...絶対お腹壊すんだから...」ブルブル
善子(はは、犬相手に何言ってるのかしら私、とうとうおかしくなったのね) 善子(そもそもペットショップに売られている犬なのに、どうやったらこんなに凶暴になるのかしら?)
野犬「!」バッ
善子(ああ、だめだ...コイツ本気で襲いかかってくるみたい...)
善子(時間の流れがゆっくりに感じるわ...)
善子(やられるなら、せめて痛みのないように...)
野犬「バウッ!」 タタタタッ ビューン! ドンッ! ザクッ!
野犬「ギャインッ!」ズサーッ
善子「...!?な、何が起こったの!?」
ピョーン シュタッ
スフィンクス「ヴヴヴヴヴヴ...」
善子「す、スフィンクス!?」
スフィンクス「...」
善子「あなたが助けてくれたの...?というか今までどこに...」
野犬「...」スクッ
善子「!」ビクッ
スフィンクス「フシャアアアア!!!!!」 野犬「グルルルルルル...」
善子「だ、だめよスフィンクス!こんなヤツ相手にしたらケガじゃ済まないわ!」ブルブル
スフィンクス「マ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"オ”.....」
野犬「...」ジリジリ
スフィンクス「ヴヴヴヴヴ...」
善子「お願い...お願いだから...」
野犬「バウバウッ!」
スフィンクス「ミ"ャ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!」シュバッ
善子「だめえええええええ!!!!!」
ガブゥッ! スフィンクス「ミギャアアアア!!!」
善子「あ...ああ...」ヘタッ
スフィンクス「フシャアアアア!!!!」ザクッ
野犬「ギャンッ!」ブンッ
スフィンクス「ギャッ!」ドサッ
スフィンクス「フー...フー...」ヨロッ...
野犬「ガルルルルル...」
善子「お願い...お願いだから...もうやめてええええええええ!!!!」 花丸爺「こらああああ!!!その子から離れんかああああ!!!」ダダダダダッ
花丸爺「せいっ!」ブンッ
野犬「!」シュバッ
タッタッタッタッ.....
花丸爺「はぁ...はぁ...逃げおったか...善子ちゃん、ケガは!?」
善子「わ、私は大丈夫です...けど、スフィンクスが......スフィンクス...?」 スフィンクス「...」カプ
スフィンクス「...」ヨロヨロ
善子「これは私のお守り...!もしかして、あなた今までこれを探して...!」
スフィンクス「」ドサッ
善子「スフィンクス!」
ルビィ「善子ちゃん!大丈夫!?」ダダダッ
花丸「一体何があったのっ!?」ダダダッ
善子「私のせいで...スフィンクスが...」
花丸「ひ、酷いケガずら...」
花丸爺「とにかく急いで家まで運ぶんじゃ!」
善子「は、はい!」ダダッ ルビィ「大変だぁ...もしもし、おねえちゃん!?」
・・・
プルルルルル...プルルルルル...
花丸爺「クソッ、こんな時間じゃどこの病院もつながらんわい!」ガチャン
善子「スフィンクスぅ...」
スフィンクス「フーッ...フーッ...」
ビビーッ!ビビ-ッ!
花丸爺「なんじゃこの非常事態に!」ガララッ
ダイヤ「おじいさんっ!」
花丸爺「ダイヤちゃん!どうしてここに!」
ダイヤ「ルビィから事情は聞きました!黒澤グループの動物病院に緊急手術の要請をしましたので早く車に!」 花丸爺「そういうことらしい!善子ちゃん、早く乗りなさい!」
善子「はい!」タタタッ
ルビィ「おねえちゃん...ありがとう...」ハァハァ
花丸「ま、まる達もいくずら...」ヒィヒィ
ダイヤ「それでは急いで車に!」
花丸爺「わしはここで待ってるよ...腰が抜けてしまったわい」ヘナヘナ
ダイヤ「わかりました!」
バタンッ ブロロロロロロ
花丸爺「なんとか間に合ってくれぃ...」 〜手術室前〜
獣医「それではお嬢様、ここでお待ちください」
ダイヤ「わかりました、頼みましたわよ」
ウィーン
ルビィ「スフィンクスちゃん...」
善子「うぐっ...スフィンクスぅ...スフィンクスぅ...」グスッ
ダイヤ「...」
善子「私のせいで...スフィンクスが死んじゃうよぉ...」
花丸「そ、そんなことないよ!きっと大丈夫!」 善子「もう無理よぉ...あなたも見たでしょあの傷を...」
善子「私をかばったばかりに...あんなことにぃ...」
花丸「...」
善子「私がお守りを失くしたりしなければ、こんなことにはならなかったはずよ...」
善子「...いえ、そもそも私と出会わなければ、スフィンクスがこんな酷い目には...」
花丸「そ、そんな...」
善子「私の不幸体質なんかに巻き込んだばっかりにぃ...」
善子「スフィンクス...ごめんなさいぃ...」グスッ
ルビィ「善子ちゃん...」
ダイヤ「...」 善子「うぅ...ひっぐ...」
ダイヤ「...」スゥー...
ダイヤ「津島善子っ!!!」
善子「!」ビクッ
ルビ丸「「!」」
ダイヤ「あなたは何ですか!?あの子の主、そうでしょう!?」
ダイヤ「それなのになんですかこの有様は!それでもあの子の主ですか!」
善子「うぅ...」グスッ ダイヤ「スフィンクスは自分の傷と今も闘っているのです!それを主のあなたが信じなくて誰が信じるというのですか!?」
ダイヤ「だから...!」
ギュッ
ダイヤ「あの子が生きて帰るのを待ちましょう、願いはきっと届くはずですわ...!」
善子「うぐぅ...ダイヤぁ...ごめんなさぁい...ありがとぅ...」ポロポロ
花丸「ダイヤさん...!」
ルビィ「やっぱりおねえちゃんだ...!」
善子(だめよ、勝手に死んだりしちゃ、そんなこと絶対ヨハネが許さないんだからね…)ギュッ
善子(生きて帰ってきなさい...スフィンクス...!)
スフィンクス「...」ピクッ ・・・
ウィーン
獣医「ふぅ、これで手術は終了です」
ダイヤ「それで、容態は!?」
獣医「何とか一命を取り留めました。あんな傷を負っていたのに、すごい生命力ですよ」
ルビィ「や、やったぁ!」
花丸「これで一安心ずらぁ...」
善子「よかったぁ...本当によかったぁ...うええええええん...」
ダイヤ「ほら、せっかく無事だったんだからもっと笑ったらどうですの?」ナデナデ
善子「だって...だってぇ...」ポロポロ
ダイヤ「フフフ...」ホロリ 一命を取り留めたスフィンクスは、驚異的なスピードで回復していった。療養中、ご飯を食べる量が明らかにいつもより多かったのは、それだけ傷の治癒に栄養が必要だったってことかしら?
そして、私達を襲ったあの犬が捕まって、保健所で殺処分された報せを聞いた。それを聞いて安心はしたけど、なんだか喜べない。あの犬に付いていた傷が、未だに頭から離れないでいる。
そして――― ダッダッダッダッ
善子「堕天使ヨハネ!今日も降臨!」ガララッ
善子「待ちわびたでしょう、我がしもべスフィンクスよ!私から直々に給餌を」
ダイヤ「もうあげましたわよ?」
スフィンクス「zzz」スピー
善子「ってぇ!?なんでよぉ!?」
ダイヤ「もの欲しそうにしていたもので、つい」オホホ
善子「というか、なんでアンタの膝の上で寝てるのよ...」ワナワナ
ダイヤ「私がここに座っていたら、この子から乗ってきたものでして」ナデナデ
花丸「今まで善子ちゃんの膝の上しか乗らなかったのに...」
ルビィ「やっぱりおねえちゃんはすごいなぁ」 善子「いいからその子をこっちに寄越しなさいよ...」プルプル
ダイヤ「寄越しなさいですって、怖いでちゅね〜サファイアちゃん♪」ナデナデ
善子「変な名前つけんなー!」プンスカ
スフィンクス「...」スクッ
シュタッ
ダイヤ「あら、もう降りてしまうんですの?」
善子「偉いわ...!それでこそ私のしもべ!」 スフィンクス「...」トテトテ
善子「さあ...!こっちへいらっしゃい!」
スフィンクス「!」ピョーン
善子(そう、あなたは結局私の下に帰ってくる運命なのよ...!)
ガシィ!
善子(ん...この感じどこかで...)
スフィンクス「♪」ケリケリケリケリ
善子「いだだだだ!!!!やめなさい!!!だからなんでこうなるのよ〜〜!!!!」
スフィンクス「♪」ガジガジ
おわり スレタイからしてファンタジー系の話になると思いきや…
善子は捨て猫を拾う話似合うな、乙! 1作目2作目と作風が違いすぎて草
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