希「占いの秋!うーそ!占いは年中やって――」 [無断転載禁止]©2ch.net
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穂乃果「ほんと?!」
希「え?」
穂乃果「ほんとに占いの秋なの?!秋だったらよく当たるとかあるの?!」
希「いや、穂乃果ちゃん、あんな…」
穂乃果「じゃあじゃあ!穂乃果占ってもらってもいい?」
希「え?うん、それはいいけど…」
穂乃果「やったあ!えっとね、うちで今秋の新作和菓子を考えてるんだけど――」
――― 希「――つまり、えりちやみんなは毎年この時期に安請け合いして無理するウチを気づかってこんなことしたんやね」
絵里「そうね」
希「でも…ただ休ませたいんやったらなんでパーティーなん?」
絵里「…終わりの区切りと、あとは打ち上げ…かな」
絵里「希の為とはいえ、隠し続けるのはみんな多少なりともストレスでしょうから明確な区切りがあった方がいいと思ったの」
絵里「だからパーっと楽しいイベントで終わればいいかな、って」
希「ふぅん…」
希「表向きの理由はわかったよ…それで?」
絵里「な、なに?」
希「えりちがパーティーをしたかった本当の理由はなに?」
絵里「!?」 絵里「……へぇ、調子出てきたんじゃない?」
希「お陰さんで♪」
絵里「まあいいわ…これは私の勘だから合ってるかどうかはわからないけど…」
希「うんうん♪」
絵里「希って寂しがりやさんよね?」
希「な…っ?!」
絵里「誰かと別れて家路につく時、希の表情がスッと変わることがあるのよね」
希「そ、そんな…」
絵里「それで色々考えたんだけど…希はひとりが嫌なんじゃなくて、ひとりでご飯食べるのが嫌なんじゃないかな、って思ったの」
希「…」 希「…そんなこと、ない」
絵里「あら、当たっちゃった?」
希「そんなことないって言ったんやけど?」
絵里「だって図星を突かれたときのリアクションがワンパターンだもの」
希「むぅ…」
絵里「そもそもなんでこんなことで嘘つくのよ?意味ないでしょう?」
希「だって、恥ずかしいやん…」
絵里「なにが?」
希「いっつも飄々としててしたり顔のウチが、実はそんなんとか…」
絵里「プッ!…クククッ…」
希「わ、笑うことないでしょ!」 絵里「それ、もうとっくにバレてるわよ?」
希「はぁ?!」
絵里「……希、他人はね、自分が思ってるより結構賢くて、自分は自分が思ってるより結構間抜けなものよ」
希「……」
絵里「みんな知ってて、でもあなたが強がるから、どうしてあげることも出来なくてやきもきするのよ」
絵里「だから私が余計なお世話をかって出たってわけ」
絵里「私は希に壮大な「余計なお世話」をしてもらったものね。そのお返しとしては、かわいいものでしょう?」クスクス
希「えりち…」 絵里「だからね、希。あなたはもっとワガママを言っていいの」
絵里「私たち仲間でしょう?もうあなたひとりが「ひとりでお留守番できる良い子」にならなくてもいいのよ」
希「!」
絵里「お互いワガママを言って、みんなで叶えて…無理なことは断る、それでいいじゃない」
絵里「ひとりでご飯食べるのが嫌なら誰か誘えばいい」
希「……」
絵里「希の部屋でサプライズパーティーやりたければ希に内緒でみんな誘えばいいのよ!」
希「や、それは困るわ」 希「もう…せっかくのいい話が台無しやん」クスクス
絵里「ふふっ…」
絵里「――ねぇ、覚えてる?私の目的。「ほぼ」って言ってたの」
希「そういえば…」
絵里「今日、もうひとつだけワガママを言っていいかしら?」
希「それは内容によるなぁ」
絵里「私の最後の目的はね…希、あなたに今日ゆっくりぐっすり休んでもらうこと」
希「っ…」
絵里「そのための手伝いがいるなら何でも言って欲しいの…どうかしら?」
希「…!!……べ、別に…なにも…」
絵里「あるのね?!」 絵里「さあ、言って♪何でもやるわよ♪」ウキウキ
希「…ウチなんにも言ってないんやけど…」
絵里「そういうのもういいから♪はやく♪」
希「…」
絵里「わくわく」
希「……」
絵里「わくわく」
希「…あの」
絵里「なに?!」
希「「わくわく」って口に出すのやめて」
絵里「わ、わかったわ…」 希「あのな…」
絵里「」
希「……今日、寝るときな?その……」
絵里「」
希「……真顔もやめて」
絵里「えぇ〜…」 希「ンン…ッ!えっと…いいかな?」
絵里「ええ」
希「今日、寝るときに…」
絵里「うん」
希「手を…」
絵里「?」
希「……手を、繋いでいて欲しい、んやけど……///」
絵里「手を?」
希「あ、無理やったら別に…」
絵里「そんなことでいいの?いいわよ」
希「あ、ありがと///」 絵里「なんだったらひざまくらや腕まくらでもいいし、いっそ私を抱きまくらにしてもいいのよ?」
希「や、それは…手だけで十分やから…」
絵里「そう?まあ、確かにああいうのって逆に寝にくいものね」
希「?!えりち、誰かにしてもらったことあるん?」
絵里「いや、ないけど…亜里沙がそう言ってたから」
希「…あ、ああ、そういう…」
絵里「さ、そうと決まったらさっそく寝ましょうか」ウキウキ
希「寝るって言っといて元気やなぁ…はは…」 希(そっか…そういうことやったんか…)
希(いつも秋は占いばっかりやってたから「占いの秋!」なんて言ってたけど…ウチが自分でそうしてただけやったんやな…)
希(ほんのちょっとのことで、誰とでも、何でも出来る季節やったんやね)
希(こんなに楽しい秋は久しぶりやん♪)
希(…気付かせてくれたみんなに感謝やね)
希(それと…) 絵里「――の、希?もういいわよ…!」
希「そう?ほな、消すね」
絵里「ま、豆球ね!豆球…」
希「わかっとるよ」クスッ
絵里「わ、笑わないでよ…」
希「笑ってないよ。…じゃあ…えっと、手…いいかな?」
絵里「え、ええ…」ギュッ
希(しまらんなぁ…終わりくらいカッコ良くしてくれてもいいのに…)
希(ま、いっか…えりちらしいし)ギュッ
希「えりち」
絵里「ん?」
希「おやすみ」ギュ
絵里「ええ、おやすみなさい」ギュ
おしまい ちょっと思い付いたので後で少し続きのおまけを書きます おまけ
絵里「――ねぇ」
希「」
絵里「ねぇ、希」
希「」
絵里「まだ起きてる?」ギュッ
希「……えりち…まだ寝んの?ゆっくりぐっすり休んで欲しい言ってたクセに」
絵里「ご、ごめんなさい…ちょっと思い出して…」
希「なにを?」
絵里「明日の朝ごはん、私が作るから」
希「……わかった、お願いな」ギュッ 絵里「お弁当も作るわね」
希「ふふっ…ありがとな」
希「わー、そしたら明日は朝と昼はえりち作で、夜はにこっち作かぁ」
希「一日中誰かの作ったご飯食べるなんてすっごい久しぶりやなぁ…♪」
絵里「ふふっ…にこ様々ね」
希「ほんとやね」 希「――でもなんでこんなに作ってくれたんやろ?確かに楽にはなるけど…」
絵里「知りたい?」
希「えりち知ってるん?」
絵里「ええ、以前にこに聞いたことあるの。「お母さまと一緒に食事出来ないのは寂しくない?」って」
希(…なんの話?) 絵里「そうしたらにこは「ぜ〜んぜん」だって」
絵里「にこが言うには、自分が作る時はその人が食べる時の事を考えてたっぷり愛情を込めて作るんですって」
絵里「そして相手が作った料理を食べるときは作った時の事を考えながらしっかり感謝して食べる」
絵里「そうすることで、たとえ一人で食べていても料理を通じて相手の愛情を感じられるから独りじゃないでしょ、って」
希「…」 希(そっか…確かに、にこっちのことやから
「バランス悪いわね〜!ちゃんと野菜も食べろっての!」
とか考えながら作ったんやろね…って考えるだけでちょっと楽しくなるな)
絵里「だからきっと、あの料理も希が一人の食事が寂しくないようにって愛情たっぷり込めて作ってくれたんだと思うわよ?」
希「そっか…なるほどなぁ。でも、よくにこっちがそんな話えりちにしたやんね。いつの間にそんなに仲良くなったん?」
絵里「この間、亜里沙をひとりで留守番させる時に寂しくないかな?って思ったから、にこはどうなの?って聞いてみたら話してくれたのよ」
希「へぇ〜」 絵里「でもこの話、誰にも言っちゃ駄目だからね、って。あくまでも亜里沙ちゃんを安心させるためだけに使いなさいって言ってた」
希「…は?」
絵里「ひょっとしたら少し恥ずかしいのかもね。だから私が話したことはにこには内緒ね?」
希「え、ちょっ…ええ?」
絵里「さ、明日もあるし、そろそろ本当に寝ましょうか」
希(マジか、こいつ…) 希「え、えりち!」
絵里「なに?」
希「……ウチが、手を繋いで寝てってお願いしたこと、誰にも言ったらあかんよ?」
絵里「ええ、わかったわ」
希「絶対によ?絶対にやからね?」
絵里「ふふっ、大丈夫よ。私、口は堅い方だもの」
希「絶対絶対!絶っ〜対に!や か ら ね !」ギリギリ
絵里「い、痛い痛い!希、手痛いから!わかった!わかったわよ、もう!」 希「…大丈夫かなぁ…?」
絵里「まったく、希は心配性なんだから…」クスクス
希「誰のせいよ…まったく…」
絵里「はいはい、じゃ寝るわよ。おやすみなさい」
希「おやすみ〜」
絵里(ふふ、希ったら…恥ずかしがっちゃって)
絵里(でも、約束は約束だものね。ちゃんと守らなきゃ)
絵里(……にこにだけは言ってもいいわよね?)
おしまい 乙!
深く考えてなかったけど占いの秋ってこういうことかーと納得させられた
面白かった 乙でした、おまけでその後もいろいろ想像できて良かったです
μ'sみんな出てくるけど、あまりそこで広げすぎなかったのも読み易かった かしこいようでかしこくないところもあって面白かったわ
確かに絵里は口止めしても誰かしらに言っちゃいそう デーデッデー
優しい世界とほのかな百合風味な文がとっても素敵だった
隙を見せなすぎて、頑張りすぎた希ちゃんも一休み一休み、時には誰かに頼ることもとても大事だね
秋の可能性は無限だから、俺もなにかしてみたいな
とても良いssを読ませてくれて、有能(家)本当にありがとう >>120
わかる
でもそこが可愛い所で、癖になる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています