ユニバーサル・スタジオ・ジャパンから、バスで5分足らずのところにある、大阪・舞洲サブ球場。
200人ほどのファンが詰めかけていたスタンドに、ちょっとしたざわめきが起こった。
「速っ? 149キロ?」

「こんな左ピッチャー、いるんや?」

「やっぱ、ソフトバンク、すげえな」──。

2017年9月19日、ウエスタン・リーグの対オリックス戦。
その六回、2番手としてマウンドに立ったのは、背番号「134」を背負った、線の細い、ひょろりとしたサウスポー・長谷川宙輝だった。先頭打者に中前打、続く打者にも四球で無死一、二塁のピンチ。
そんな中、スタンドの視線がスコアボードのスピードガン表示に釘付けになっていた。