石じじいの話です。

じじいと私の故郷は犬神憑きの本場ですが、これについては、以前、いくつかの話を書きました。
まだ、追加の情報がメモにあったので書きます。以前の話と食い違う点もあります。
注意しなければならないのは:現在、犬神筋、犬神憑きの話はまったく絶えて存在しません。また、この文章には、かつて存在した差別を再燃させ増長させる意図はありません。
それでは、
犬神憑きの悲劇には以下のようなものもあった。
a. 男性が、嫁にしたいという女性の親から「嫁入り先の方位が悪い」という理由で反対されたという。
●これは、方位による吉兆という迷信で、犬神筋とは関係ないかもしれませんが、その「におい」がする話です。まあ、方位が悪いというのは無理やりの理由で、実はもっと経済的な、人的な理由での反対だったのでしょう。
b. 村人数人が、「だれそれによって犬神をつけられた」と騒ぎ立てて、その犬神憑き現象が村全体に感染したこともあったという。
c. ある家の嫁の乳が出なくなったのは、犬神筋の夫人からの「電波」をうけて精神的なショックを受けたのではないか?と考えられたことがあった。●電波という唯物論的視点が混じっています(笑)。
d. ある犬神筋の一家が、その息子をのぞいて全員が薩摩へ逃亡したことがあった。
一人残っていた息子に、逃亡の理由を尋ねると:
「私の一家は、昔から犬神持ちと言われて、他の人々から迷惑がられていた。私の母親がこのことを非常に気に病んでいた。そのため、今回、一家で別の地へ移ろうということになったのだ。」と。
[つづく]