>>287
眠ってしまっていた彼は、しばらくたって物音で目をさました。
押入れの中から、ふすまをかきむしるようなガリガリという音がする。
そうかと思うと、窓ガラスがゆっくりと開き、小さな影がカーテンの向こうでゆらめいた。
キャキャキャ、という甲高い、しかし押し殺したような笑い声がする。
金縛りかと思ったが体は動く。
彼は、勇気をふりしぼって「だれだーっ!」と叫んだ。
ギヤヤー、と部屋中に響きわたる叫び声。
カーテンがぐらぐらと揺れて、ばさりと落ちた。
グェェと叫びながら、うごめくカーテン。