その部屋のカップルは、二人が別れるまで1年ほどは覗いたし、その後、男に新しい彼女ができてからも覗いた。
新しい彼女は初めのうちは必ず電気を消させていたが、2ヶ月もすると明るくても平気になり、やがて積極的にもなる。
そんな変化を、結局3年ほど見続けたが、白いものを見たのは1度きりだった。
一瞬、人かと思ったくらいだから、人と同じくらいの高さで、細長かった。
くびれもないような、ぼんやり細長い、雲みたいな白いものだった。

他に、住人が寝たあとのベランダに立つ人型のものを見たり、留守の部屋から話し声が聞こえたりもしたが、一番怖かったのは、DVかと思うような乱暴なセックスをする男とその彼女を見たことかもしれない。
あとは、彼女が入浴中に部屋を物色する彼氏とか。

まぁ、でも、一番怖いのは、夜は覗き昼間は仕事という生活を、何年間も続けた自分かもしれない。