>>247
[つづき]
「我々は、百年以上にわたって、その準備をしてきた。強力な兵器も十分にある。広島の何万倍も威力があるのだ。」
{ほうほう。}
「我々の侵攻はもうすぐ始まるのだ。覚悟しろよ。」
{そりゃえらいこっちゃ!}
『それはがいなことやが、あんたはなにしに来とるん?』とじじい。
ちょっと話に慣れてきた。
「私は地球の偵察に来ているのだ」
『どのくらいおるん?』
「もう、50年にもなるかな。」
『地球のことはようわかったかな?』
「わかった!」
『たとえば?』
「地球の大部分は、デュナイトという物質でできているのだ。知っていたか?」
{ほうほう。たしかにそういう石は地下にある。}
じじいは、彼といろいろと話しをしました。
さまざまなことを詳しく知っており、特に、自然科学についての知識が豊富で、じじいには理解できない話も多かったそうです。
『いつまで地球におりなさるんか?』
「来週には金星に帰る。車が迎えに来るのだ。」
{車?くるま?}
「おまえも一緒に来るか?」
『いや、わし、まだ結婚しとらんけん・・・』
理由になっていない。
「そうか。だが金星人のおなごはいいぞ!お前もすぐに金星人だ!」
じじいは、相手を刺激しないようにやんわりと話をきりあげました。
「いやいや、なかなか有意義な会話だったな。また会おう。」
そういうと、その金星人は、悠然と山道を下っていったそうです。

「世の中にはいろんなもんがおるわいね。あのひとは金星に無事に帰れたんかのう。奥さんも子供もおるゆうとったが。」
じじいは、空を見上げて言いました。