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【小説】スナック眞緒物語2【日向坂応援】
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0001走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/01/10(金) 22:44:54.99ID:U0+3vSxe0
宮田愛萌さんのブログや「ひらがな推し」やでネタにされている架空空間「スナック眞緒」を舞台とした小説のスレです。

なお、「ひらがな推し」や宮田ブログでの「スナック真緒」での井口真緒さんと宮田愛萌さんはひらがなメンバーとは別人格という設定ですが、
ここではひらがなメンバーであるのかないのかというのは曖昧にします。
タイトルと冒頭と末尾の文は、宮田愛萌さんがブログで書いているのをテンプレとして使いました。
原案や参照にしたものがある場合には、その小説が完了したとき必ず明記します。

前スレ 【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】
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0057走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/12(水) 23:22:25.50ID:sfC6WHEQ0
スナック眞緒物語♯9(その21)
「そこまで言うのなら、参考になるかどうかは保証できないが、俺なりに応えてやる。
ただし、本と言っても範囲が広すぎるから、文学に限定して言うことにする。オメーが想定しているのもそんなところだろ。
で、だ。文学的感受性をいくばくか備えた奴の思春期の読書を考えてみたらいい。特定の作家に魂を奪われたひとときを思い出すだろ」
愛萌はうなずく。
「誰でもいいんだけど、死後70年も経っても読まれている作家として太宰治がいるな。その太宰にいかれた奴がいるとする。
寝ても覚めても、太宰、太宰、太宰と言って、じめじめした下手な太宰の文章まで真似てしまう」
「太宰治って、東大仏文科卒で、先輩じゃないんですか?」
「バッキャーロー、太宰の頃の東大仏文は無試験だ。そのときには金があれば誰でも入れた。東北のボンボンだったから太宰は入れた」
「はい、はい、分かりました。続きをどうぞ」
「酒をあおりアル中になったり、女にちょっかいをかけたりするようなことまで真似してしまう」
「その『奴』という人がアルコール依存症になったというのは分かる気もしますが、
女性にちょっかいをかけるというのはどんなことしたんですか?」(続く)
0058走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/12(水) 23:24:41.10ID:sfC6WHEQ0
スナック眞緒物語♯9(その22)
「たとえば、桜桃忌に三鷹くんだりまで行って、太宰ファンの女に『一緒に死んでくれません』と言ってナンパするとかだな」
「うわ〜、そんな突飛なことしていたんですか?で、その『奴』という人の成果はどうだったんですか?」
「すべて空振りだったな、不思議なことに」
そりゃそうでしょ、はなから失敗するようにしか思えないけど、と愛萌は心の中で冷笑する。
「ともかく、その『奴』という人は狐に取り憑かれたように太宰治に傾倒したということですね」
「誰かに傾倒したことがない人間というのは、一生、学問や芸術とは無縁の人間だな」
「でも、『文学もいいけどね、それを読むと自分が壊れそうで怖い』とか言う人にも出会ったことがありますよ」
「そりゃー馬鹿の言い草だ。何がおかしいかが分かるか?
ないものが壊れたり、失われたりすることはない。そんな人間には確固とした自分なんてものはない。
せいぜいその場その場で移り変わる感覚的な反応をしているか、
もしくは批評家の意見を借りてきて、それを自分の意見のような顔をして言っているだけだ。
己というのは誰かに傾倒するところから始まる。徹底的に模倣することから始めるしかねえんだ。
あらゆる独創は模倣から始まる。それは如何ともしがたいっつうことだ」
あれ?いつもと違って真面目に話している。(続く)
0059走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/13(木) 23:23:39.80ID:93FGMEVq0
スナック眞緒物語♯9(その23)
「少し整理させてください。独創的になるためには誰かを模倣しなければならない。
誰かを模倣するためには誰かに傾倒しなければならない。
そして誰かに傾倒するためには、半ば嫌々の修養のための読書ではなく、趣味や娯楽で本を読むことが最も効率がいいということですね」
「まあ、そんなところだ」
「そういう一時的な傾倒というのは思春期に特徴的なものですよね。
やはり思春期には感受性が鋭敏だからですか?」
「それも確かにあるが、もっと大きな原因がある。
今では若者はポケモンgoに見向きはしないのに、やっている老人は多い。なぜかを考えたことがあるか?」
「お年を召された方というのは時間があり余っているからじゃないんですか?」
「もっと大きな要因がある。それは一種の侵略だ」
「侵略?」
「年寄りたちは今までにああいうeゲームを体験していなかった。
だから、未知の感情に驚いて、心が侵略されているんだ。
思春期における読書というのも同じようなもんだ。若造の未発達な個性により強力な作家の個性が侵略しているつぅわけだ。
だから、あまり本を読んだことのない奴はもっと歳を取ってから、そういうことが起こることもある。
何も知らない無垢な処女が抵抗できず犯されているのと同じようなもんだな」
そんな下卑た譬えはいらないのに、やっぱりそこに行くか。言わずに済ませるということはできないものなのかなあ。(続く)
0060走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/15(土) 22:27:01.34ID:3CZ2GEBc0
スナック眞緒物語♯9(その24)
「話を元に戻しましょ。その『奴』という人が太宰治に傾倒したというお話でしたよね」
「太宰に傾倒したその奴は全然自分というものを持っていなかったが、太宰を通してものを見るようにできるようになる。
太宰のように見、太宰のように感じ、太宰のように判断する一つの視点を自分の中に導入することで、
太宰の人生観を己の内部に移植することで、今まで何に対しても自分の判断を持っていなかったが、
何についてもある程度の判断やある程度の見方ができるようになったつぅわけだ。そうなると太宰一人じゃ済まなくなる」
「そういうものなんですか?」
「だって、オメーよ、太宰に傾倒し真似をし始めたら、太宰に影響を与えた人間が気になるだろ」
「そうですかね?」
「オメー、好きな男ができたら、その男の親や兄弟や友人が気にならんか?」
「そう言われればそうですかね」 (続く)
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