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【小説】スナック眞緒物語2【日向坂応援】
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0001走り出す名無し(東京都)
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2020/01/10(金) 22:44:54.99ID:U0+3vSxe0
宮田愛萌さんのブログや「ひらがな推し」やでネタにされている架空空間「スナック眞緒」を舞台とした小説のスレです。

なお、「ひらがな推し」や宮田ブログでの「スナック真緒」での井口真緒さんと宮田愛萌さんはひらがなメンバーとは別人格という設定ですが、
ここではひらがなメンバーであるのかないのかというのは曖昧にします。
タイトルと冒頭と末尾の文は、宮田愛萌さんがブログで書いているのをテンプレとして使いました。
原案や参照にしたものがある場合には、その小説が完了したとき必ず明記します。

前スレ 【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】
https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1548508699/
0057走り出す名無し(東京都)
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2020/02/12(水) 23:22:25.50ID:sfC6WHEQ0
スナック眞緒物語♯9(その21)
「そこまで言うのなら、参考になるかどうかは保証できないが、俺なりに応えてやる。
ただし、本と言っても範囲が広すぎるから、文学に限定して言うことにする。オメーが想定しているのもそんなところだろ。
で、だ。文学的感受性をいくばくか備えた奴の思春期の読書を考えてみたらいい。特定の作家に魂を奪われたひとときを思い出すだろ」
愛萌はうなずく。
「誰でもいいんだけど、死後70年も経っても読まれている作家として太宰治がいるな。その太宰にいかれた奴がいるとする。
寝ても覚めても、太宰、太宰、太宰と言って、じめじめした下手な太宰の文章まで真似てしまう」
「太宰治って、東大仏文科卒で、先輩じゃないんですか?」
「バッキャーロー、太宰の頃の東大仏文は無試験だ。そのときには金があれば誰でも入れた。東北のボンボンだったから太宰は入れた」
「はい、はい、分かりました。続きをどうぞ」
「酒をあおりアル中になったり、女にちょっかいをかけたりするようなことまで真似してしまう」
「その『奴』という人がアルコール依存症になったというのは分かる気もしますが、
女性にちょっかいをかけるというのはどんなことしたんですか?」(続く)
0058走り出す名無し(東京都)
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2020/02/12(水) 23:24:41.10ID:sfC6WHEQ0
スナック眞緒物語♯9(その22)
「たとえば、桜桃忌に三鷹くんだりまで行って、太宰ファンの女に『一緒に死んでくれません』と言ってナンパするとかだな」
「うわ〜、そんな突飛なことしていたんですか?で、その『奴』という人の成果はどうだったんですか?」
「すべて空振りだったな、不思議なことに」
そりゃそうでしょ、はなから失敗するようにしか思えないけど、と愛萌は心の中で冷笑する。
「ともかく、その『奴』という人は狐に取り憑かれたように太宰治に傾倒したということですね」
「誰かに傾倒したことがない人間というのは、一生、学問や芸術とは無縁の人間だな」
「でも、『文学もいいけどね、それを読むと自分が壊れそうで怖い』とか言う人にも出会ったことがありますよ」
「そりゃー馬鹿の言い草だ。何がおかしいかが分かるか?
ないものが壊れたり、失われたりすることはない。そんな人間には確固とした自分なんてものはない。
せいぜいその場その場で移り変わる感覚的な反応をしているか、
もしくは批評家の意見を借りてきて、それを自分の意見のような顔をして言っているだけだ。
己というのは誰かに傾倒するところから始まる。徹底的に模倣することから始めるしかねえんだ。
あらゆる独創は模倣から始まる。それは如何ともしがたいっつうことだ」
あれ?いつもと違って真面目に話している。(続く)
0059走り出す名無し(東京都)
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2020/02/13(木) 23:23:39.80ID:93FGMEVq0
スナック眞緒物語♯9(その23)
「少し整理させてください。独創的になるためには誰かを模倣しなければならない。
誰かを模倣するためには誰かに傾倒しなければならない。
そして誰かに傾倒するためには、半ば嫌々の修養のための読書ではなく、趣味や娯楽で本を読むことが最も効率がいいということですね」
「まあ、そんなところだ」
「そういう一時的な傾倒というのは思春期に特徴的なものですよね。
やはり思春期には感受性が鋭敏だからですか?」
「それも確かにあるが、もっと大きな原因がある。
今では若者はポケモンgoに見向きはしないのに、やっている老人は多い。なぜかを考えたことがあるか?」
「お年を召された方というのは時間があり余っているからじゃないんですか?」
「もっと大きな要因がある。それは一種の侵略だ」
「侵略?」
「年寄りたちは今までにああいうeゲームを体験していなかった。
だから、未知の感情に驚いて、心が侵略されているんだ。
思春期における読書というのも同じようなもんだ。若造の未発達な個性により強力な作家の個性が侵略しているつぅわけだ。
だから、あまり本を読んだことのない奴はもっと歳を取ってから、そういうことが起こることもある。
何も知らない無垢な処女が抵抗できず犯されているのと同じようなもんだな」
そんな下卑た譬えはいらないのに、やっぱりそこに行くか。言わずに済ませるということはできないものなのかなあ。(続く)
0060走り出す名無し(東京都)
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2020/02/15(土) 22:27:01.34ID:3CZ2GEBc0
スナック眞緒物語♯9(その24)
「話を元に戻しましょ。その『奴』という人が太宰治に傾倒したというお話でしたよね」
「太宰に傾倒したその奴は全然自分というものを持っていなかったが、太宰を通してものを見るようにできるようになる。
太宰のように見、太宰のように感じ、太宰のように判断する一つの視点を自分の中に導入することで、
太宰の人生観を己の内部に移植することで、今まで何に対しても自分の判断を持っていなかったが、
何についてもある程度の判断やある程度の見方ができるようになったつぅわけだ。そうなると太宰一人じゃ済まなくなる」
「そういうものなんですか?」
「だって、オメーよ、太宰に傾倒し真似をし始めたら、太宰に影響を与えた人間が気になるだろ」
「そうですかね?」
「オメー、好きな男ができたら、その男の親や兄弟や友人が気にならんか?」
「そう言われればそうですかね」 (続く)
0061走り出す名無し(東京都)
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2020/02/15(土) 22:29:15.56ID:3CZ2GEBc0
スナック眞緒物語♯9(その25)
「そうすると井伏鱒二が気になってくる。井伏は大切な太宰の先生だった。特に、初期においては、井伏の影響が大きい。
そして、太宰が対称的な人間として、憎み、そして尊敬し、非常に複雑な感情を持っていた志賀直哉が気になってくる。
また、太宰と聞いただけでむかむかとして髪の毛が逆立つ変な男がいる。
そして、太宰のような人間にはなるまいとして、その文体だけでなく、肉体まで変えてしまい、最後は腹を掻っ捌いて死んだ変な男がいる」
「あ、それ、三島由紀夫ですね。でも太宰アンチの人も気になるんですか?」
「そのくらい太宰に関心があるんだから、興味を持つのは当然だろ。
また、太宰の青春期に決定的だった日本浪漫派時代に巡り合った太宰の親友に亀井勝一郎というのがいて、そいつも気になってくる。
そういう日本浪漫派運動を生み出した国文学者の折口信夫が気になってくる。
さらに、その師匠である柳田国男も気になってくる。
そして、そういう古典に対する強い傾斜を強要してくる同じ大学者の下で、違った道を歩み出した小林秀雄が気になってくる」
うわ〜、大学入試のため現代文の文学史で覚えた名前が次々に出てくる。(続く)
0062走り出す名無し(東京都)
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2020/02/16(日) 17:49:12.37ID:uN4sNkNc0
スナック眞緒物語♯9(その26)
「そういうことをしている間に太宰治がころっと落ち、代わりに小林秀雄が憑りつく。
小林のように見、小林のように感じ、小林のように判断することで、第二の視点を奴は自分の中に持とうとするんだ。
第二の人生観が、太宰とは違う第二の人生観が、奴の内部に共存しようとするつぅわけだ。
まあ、こいつに引っかかったら大変だな。
アルチュール・ランボーが気になってくる。アル中で乱暴者じゃねえぞ」
うわっ!イタいダジャレ。
「そのくらい知ってますよ」
「オメー、読んだことあんのか?原語でだぞ」
「はい、はい、続きをどうぞ」
「『酔いどれ船』や『地獄の季節』や『飾画』を原文から読もうとして、大学では仏文を奴は専攻する。
ポール・ヴァレリーが気になってくる。逆説を多用したレトリックや精緻な論理展開を徹底して模倣するようになる。
そして、ついにドストエフスキーに手を出してしまう。
そしてヴァレリーが憑りつき、さらに、ドストエフスキーも憑りつく。
こうして、一人、二人、三人、四人と奴の内部に一流の個性が、一流の人生観が共存し始める。
まあ、初心だった処女が慣れてくると次から次に男を取り換えていくのと同じだな」
ああ、またか・・・・。そんな下劣な譬えはホントいらないんですけど。(続く)
0063走り出す名無し(東京都)
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2020/02/17(月) 21:53:59.17ID:RTo0AtnK0
スナック眞緒物語♯9(その27)
「そうなることで、奴は初めて比較することを悟ってくる。
たとえば、太宰のこの繊細な感性は小林にはないんだな。小林のこの潔癖な一貫性は太宰にはないんだな。違うんだなということが分かってくる。
比較する力がようやく生み出されるようになったつぅわけだ。
そうして比較対照する力が身につくと、次に等級づける力も身についてくる。
たとえば、太宰のこの感性と小林のこの知性とをゆうゆうと合わせ持っているドストエフスキーは大きいんだな。
もっと広くて豊かで大きいんだな、一格上だなと、太宰と小林の上にドストエフスキーを置く。
そこから批評が始まり、それぞれの作家がいろんな能力や才能があることが分かってくる。
男を取っ換え引っ換えするようになって女の喜びを知ったかつての処女は、男を比べたりランク付けしたりするようになる。
今の男は前の男よりもテクニックはあるがサイズは小さいと思ったり、
テクニックとサイズの両方合わせ持った男が欲しいと思ったりするようになるのと同じだつぅわけだ」
うぅぅぅ・・・。その譬えがなんとなくは理解できる私自身が情けなくなるなあ。(続く)
0064走り出す名無し(東京都)
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2020/02/18(火) 23:33:35.56ID:nLaLVi5K0
スナック眞緒物語♯9(その28)
「こうして、一人、二人、三人、四人と相異なる一流の人生観が影響し合うことで、価値体系ができてくる。
これは太宰の系譜でもちょっと変態ぽいものだとして、太宰の下に位置づける。
これはしょせん小林の亜流だとして、小林の下に位置づける。
これはヴァレリーのレトリックを真似ているが、虚仮威しにすぎない。
これはドストエフスキーの形而上学を真似ているが、迫真性がなく図式的なものでしかない。
そういうふうに自分の中にできあがった価値体系にいろんな作家を配置していく。
この比較する力、等級づける力、位置づける力が独創性つぅことだ。
独創性をようやく奴は、持ち始めたつぅわけだ。
そのとき、何を読んでも前のように、カーっとのぼせ上らない自分にいつの間にか気づく。
広い読書というものが価値があるのは、知識をため込むことじゃねぇし、博覧強記であると他人から讃称されることでもねえ。
次から次にいろんな作家の影響を受けることで、どんなに優れている作家であっても、
その一人の作家に過度に支配されることがなくなり、自ずと独創性が現れてくるから価値があるんだ。
それが、本というのが趣味趣向だけでなく、全人格に影響するつぅことだ。
男を多数経験した女は、俺のように床上手で馬並みの男でさえも極度にはのめり込まなくなるのと同じようなもんだ」
うわっ!その最後の一言で今まで聞いていたことがすべて吹っ飛んでしまった。(続く)
0066走り出す名無し(東京都)
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2020/02/21(金) 22:23:47.05ID:MrZzqT320
スナック眞緒物語♯9(その29)
「まあ、オメーの場合はこれから数をこなしていくんだろうけどな」
「私、こう見えてもそこそこにはこなしていますよ」
「なぬ!オメー、いままで何人の男とヤッてきたんだ?」
「違います!!本の数のほうです!」
「なんだ。あんまりびっくりさせんな」
ん?デジャブのような?そうか、絶対にわざと間違えているな。
「こなしているとは言ってもまだまだ本を読む楽しみは残されてんだろ。俺にはもう期待することはあまりない。
なに読んでも予想がつき、途中でだいたいわかってしまう。もう人生が半ば終わったような感じだ」
「これからの希望とかはないんですか?」
「希望・・・か。今年、初詣に行ったとき、三つほど願ってきた」
「へ〜、どんなお願いしたんですか?」
「聞きたいか?」と源はほくそ笑む。
しまった!ろくでもないことを言いだす前触れだ。地雷を踏んでしまった。聞くんじゃなかった!
「あっ、でも、人の願掛けとかを聞くのはよくないことですね。聞かなくても大丈夫ですよ」(続く)
0067走り出す名無し(東京都)
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2020/02/21(金) 22:25:42.56ID:MrZzqT320
スナック眞緒物語♯9(その30)
愛萌の制止を無視して、源はしゃべり始める。
「一つ目は、この世界から憎しみが消えて戦争がなくなりますように」
あれ?予想と違う。
「二つ目は、この世界から貧困が消えて飢えや病気で亡くなる子供たちがいなくなりますように」
えええええ?そこまで慈愛にあふれたお願いをしたの?
「三つ目は、愛萌のオッパイを揉むことができますように」
ちょっとでも感心した私が馬鹿だった。
「愛萌のオッパイに触りたい。愛萌のオッパイに触りたい。愛萌のオッパイに触りたい。愛萌のオッパイに触りたい。愛萌のオッパイに触りたい。
愛萌のオッパイを下から上に持ち上げて重さを知りたい。愛萌のオッパイを下から上に持ち上げて重さを知りたい。愛萌のオッパイを下から上に持ち上げて重さを知りたい。
そして愛萌から虫けらでも見るような目で『最低!』と蔑まれたい。そして愛萌から虫けらでも見るような目で『最低!』と蔑まれたい」
誰に対しても直接に怒りの感情をぶつけたことが、育ちの良さから、なかった愛萌だが、さすがに堪忍袋の緒が切れる。
両手で思いっきりテーブルを叩きながら立ち上がり、何も言わずその場から離れる。(続く)
0068走り出す名無し(東京都)
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2020/02/21(金) 22:29:40.21ID:MrZzqT320
スナック眞緒物語♯9(その31)
気づけば店の中は多くの客であふれかえっている。
カウンターの中でグラスを拭いている眞緒ママと愛萌は目が合い、歩み寄る。
どうせ却下されるだろうけど、言うだけ言ってみようと愛萌が意を決して口を開こうとすると、眞緒ママのほうが先に話しかける。
「源さんを出禁にしたいの?愛萌の方針でいいと思うよ」
予期さぬ言葉に愛萌が戸惑っていると、「リニューアルした看板を見てきて」という眞緒ママの言葉に従い、愛萌は外に出る。
血相を変えて戻って来た愛萌は「どういうことですか!」と眞緒ママに詰め寄る。
「私ね、スナックの現場からは引退しようと思っているの。そこでここのママを愛萌に引き継いでほしいの」
「でもいくら何でも急すぎます。それに私に断りもなしに看板を『スナック愛萌』とするなんて!」
「お願い、愛萌、引き受けて」
「眞緒ママの代わりなんて私には無理ですよ」
「いいえ、あなたは賢いし、聞き上手だし、話し上手でもある。あなたに足りないのは経験くらい。
それに皆にはあなたのヘルプを日替わりでするようにお願いしているの」
「私が拒否したらこのお店はどうなりますか?」
「売り払って、入ったお金で海外移住しようと思っているわ。
でも、愛萌が引き受けてくれるなら、いずれはお店も丸ごと移譲しようと思うけど、当面はオーナーとして愛萌と連絡を取るよ」
「私がママだなんて不安しかないけど、でも、眞緒ママと縁が切れるのはもっと嫌です。だから引き受けます」
「ありがとう」と言いながら、眞緒ママは愛萌に抱き着く。
最後のスナック眞緒も大繁盛♪(了)
0069走り出す名無し(東京都)
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2020/02/24(月) 21:39:28.41ID:Jt9GA6Cr0
書く動機となったのは、次の宮田愛萌のブログ。

2019年7月17日「すかすかのかばん」
>読書はするべき!って色々言われているけれど
>私はメリットのための読書は、あんまりおすすめしないなって思ってます。
>だって興味ない本読んだって何にも身にならないし〜って思っちゃうんです。
>面白そうだな、読んでみたいなって思った時に本を読むようになって、
>そして気がついたら身につくのが語彙力や教養だったりするわけで、
>娯楽の副産物だと思うんです!!!
0070走り出す名無し(東京都)
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2020/02/24(月) 21:42:11.78ID:Jt9GA6Cr0
(その21)以後で、参照にしたのが、岩波文庫のT.S.エリオット「文芸批評論」(第15刷改版)の中に収められている「宗教と文学」。
主にP113とP114の箇所だが、それ以外の箇所も参照している。
0071走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/24(月) 21:44:35.47ID:Jt9GA6Cr0
ただし、日本の作家のことをエリオットはむろん論じてはいない。
また、(その21)以後で挙げた作家の全てに傾倒したわけではないので、熟知していない。
特に、志賀直哉と三島由紀夫に関しては一冊も読んでいない。
0072走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/24(月) 21:46:43.66ID:Jt9GA6Cr0
実は、エリオット「宗教と文学」のその箇所に対応する英語のテキストのコピーとその解説を録音したMDが高校生のときに出回っていた。
そこにはどんな作家から始まりどんな作家に一人の読者が行き着くのかという一例が具体的に語られており、それをパクった。
0073走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/24(月) 21:49:10.56ID:Jt9GA6Cr0
アル中に関する箇所は吾妻ひでお「失踪日記」を参照とした。
具体的には、強制入院と任意入院とに対する外出許可の違いやシアナマイドに関するところである。
0074走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/25(火) 23:24:55.51ID:X+j1TGGU0
触れないわけにはいかないと思うから、井口の卒業について思うところを書いておこう。
京子のブログからはオーディションで友好を深めた様子が、潮のブログからは井口が親身になって励ましてくれた様子が、
そして多くのメンバーのブログからはグループに迷惑をかけないように必死でダンスの練習をしていた様子がうかがえる。
それらのピースを組み合わせてできる井口像は、殆どの人直観する井口の印象と一致する。
つまり、共感力や思いやりやが強いというものである。
0075走り出す名無し(東京都)
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2020/02/25(火) 23:29:22.70ID:X+j1TGGU0
おそらく井口は人の感情に敏感すぎるため極度に臆病である。
その反動として突如狂気じみたこともやる。
井口の閉塞感を吹き飛ばすようなあの面白さはそこから来ているように思う。
そして反射神経は鈍いが、人の感情には敏感であるため、共感力や思いやりは人一倍強い。
人に迷惑をかけてはいけないということにも臆病になり、ダンスが上達することに惜しみなく努力した。
0076走り出す名無し(東京都)
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2020/02/25(火) 23:36:25.37ID:X+j1TGGU0
井口の卒業発表前に、(その4)でスナック眞緒の看板をリニューアルするということを書いていたので、
すでに卒業を決めつけていたと取られたかもしれないが、最後をどうするかはそのときには流動的だった。
つまり、井口が卒業しないときには、それを反映させて、「スナック眞緒物語」を継続するという方針だった。
ただ、井口の卒業発表された二日前にはおそらくもう戻っないんじゃないかという予感はあった。
それは「日向坂で会いましょう」の中で「ソンアコトナイヨ」のパフォーマンスを観たときだった。
あれだけ手数が多くスピーディーなダンスにもかかわらず、全員のダンスが見事にそろっている。
そしてそれが初披露ときている。
つまり、これからますます進化していくことになる。
ダンスど下手の上に、ブランクがある井口が戻っても、付いていけず、いたずらに苦しむ様子が想像できた。
そこで、(その19)では、「これからは愛萌に頼りっきりになるかもしれない」と「スナック眞緒物語」を終了させる結末を暗示させた。
0077走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/25(火) 23:39:20.81ID:X+j1TGGU0
歌ど下手、ダンスど下手のだめだめアイドルで、破壊力のある笑いをもたらす変なアイドルだったが、その人柄はメンバーの誰からも好かれていた。
井口の場合は、アイドルに見切りをつけて、一般人として生活するほうが幸せになれる気がする。
そういう意味では、卒業というのも、それはそれでよかったのかもしれない、
0078走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/27(木) 22:17:50.11ID:dzdGUPLm0
(その18)で書いたトルストイ「戦争と平和」の中のシーン、
突然現れた彗星によって、それまで妹のように思っていたナターシャをピエールが愛するようになるというシーンは、
新潮文庫だと第二巻の22章のP726〜728にある。
0079走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/29(土) 20:33:22.49ID:qm3ptNy60GARLIC
(その17)で、妖霊星=彗星というのを定説のように書いたが、実はそれは疑わしいようだ。
本「天空文学史 太陽・月・星」では、妖霊星は「レトリック上で創作された架空の星だった」としている。
囃子の文句に「ようれぼし」「ヤヨロボシ」というのがあり、それは「弱法師(よわぼし)」と同根であり、
そこから太平記の中の「妖霊星」は案出されたという見解をしている。

なお、「弱法師」とは乞食のことである。
生活困窮者は悪という差別がおそらく昔にはまかり通っていたというのが伺える。
0080走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/29(土) 20:36:27.71ID:qm3ptNy60GARLIC
ただし、空想上の産物であっても、いくつかの星のイメージが投影されている可能性を探っている。
螢その3つの星とは惑星(火星)、妖星(彗星)、隕石であり、それらのイメージが投影されたキメラのようなものだったのかもしれないと分析している。
0081走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/29(土) 20:40:09.29ID:qm3ptNy60GARLIC
以上のことを踏まえて、彗星についての話をもうちょっと広げようかとも思ったが、冗長になりそうだったので避けた。
ネット検索は疎んでいるのだが、「妖霊星」は検索してみた。
検索ページの最初のものは殆ど妖霊星=彗星と断定していたので、その決めつけに乗っかってみた。
0082走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/29(土) 20:42:11.43ID:qm3ptNy60GARLIC
でも、本「天空文学史 太陽・月・星」に書かれているほうが正しいんじゃないかと個人的には思っている。
妖霊星=悪星=disaster=彗星といういかにも俗事に入りやすい図式が近代になって定着したのではないかと疑っている。
0083走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/02/29(土) 20:47:51.08ID:qm3ptNy60GARLIC
>>80の訂正
×螢その3つの星とは惑星(火星)、妖星(彗星)、隕石であり、それらのイメージが投影されたキメラのようなものだったのかもしれないと分析している。
○その3つの星とは螢惑星(火星)、妖星(彗星)、隕石であり、それらのイメージが投影されたキメラのようなものだったのかもしれないと分析している。
0085走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/03/03(火) 23:36:36.03ID:fXScHLGE0
小説「死者の書」について
版権が切れているので、こちら↓の青空文庫で読める。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000933/files/4398_14220.html

平城京の頃の言葉使いを真似てはいると思うが、書かれたのが近代なので、文章は決して難しくはない。
ただし、その頃の情景や習俗が想い描きにくいので、読破するのはかなり集中力がいると思う。

こういう本を読むときに必要なのは、「自分を殺す」ということかな。
つまり、自分を抑えて虚心坦懐で物語の中に入っていくことが必要となる。
現代の価値観や社会常識にとらわれながら読むと、結局、自分自身との対話になってしまい、何も得られない。
0086走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/03/03(火) 23:46:14.65ID:fXScHLGE0
マンガになっているということを聞いて、半年ほど前に近藤ようこ版「死者の書」を手に入れて読んだ。
これがなかなか素晴らしい。
小説の章立てとはなっておらず、また話を分かりやすくするため順番を入れ替えた箇所もある。
そこは原作通りにしてほしかったが、最初にそのマンガから入る人には親切かもしれない。
また、平城京の時代に造詣が深くなくても、絵解きされているので、情景を想い描く労を取り払ってくれる。
また、折口「死者の書」では簡単に記されている神話に筆を加えて詳細にしているところなんかは読解に役立つと思う。
何といっても画がいい。
単純な線ながらも、奥深い心理描写を人物の表情だけで見事に描き切っている。
個人的には小説から入ったが、マンガを読んだ後に、それをガイドブックとして小説を読むのもおそらくいい方法だと思う。
さらに、その後でこのマンガを読めばその良さが分かると思う。
0087走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/03/12(木) 21:41:59.48ID:xyaXB4C/0
一粒の米(その1)
私の住む集落は埼玉県の中にあります。
集落の北には利根川があり、川が氾濫したときに洪水から集落を守るため、川の南側には長い堤が設けてあります。
集落の中心に築山のような小さな丘があり、その上に金村家の屋敷はございます。
その築山全体が金村家の敷地なので、塀や垣などはありません。
丘の周りの中腹には屋敷林が繁っており、それが金村の家と外界との境界となっています。
屋敷林には季節の花がいつも咲いております。
屋敷から見て真北には川の水を引く水門があり、ちょっとした小川くらいの大きさです。
用水路は真南に延び、丘の麓まで来ると、そこをなぞるように東側に彎曲し、丘が東側にもっとも膨らんだところで、また真南に延びています。
大正八年の春、私は十六歳になり、高等女学校五年に上がりました。
薄紅色の桜と薄緑色の若葉が麗らかな春の陽光に照らされ、ゆったりとした時間が流れているのを感じると、
無事に一年を過ごしたことに感謝の気持ちが自然と湧き上がってきます。(続く)
0088走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/03/13(金) 22:03:01.31ID:g4bdG3Ui0
一粒の米(その2)
丘の上に建つ金村家の屋敷は伝統的な日本家屋でございますが、その北側にある別館は洋館風となっております。
屋敷の南の正門の前には二つの石灯籠があり、その間から石畳の小径が、屋敷林を貫き、麓まで延びています。
別館を東西に挟むようにしてもう二つほど丘の上には建物があります。
一つは寺子屋です。
明治五年に新学制が施行され、各地に尋常小学校が設立されましたが、最も近いものでもこの集落からは少し遠く、
また授業料の徴収を子弟の親御さんが敬遠したため、集落の子供たちのために建てられました。
私の屋敷に居候されている書生さんたちが、子供たちに勉学を教えております。
もう一つは剣術の道場で、道場の師範をなさっているのは丹生先生です。
江戸時代に秩父郡で振興した甲源一刀流の使い手で剣の達人です。
丘の麓にある家から通われております。
丹生先生のご子女には私より二つ年長の明里姉様がおります。
むろん本当の姉様ではないのですが、幼い頃からいつも一緒にいて、本当の姉様のように慕っております。(続く)
0089走り出す名無し(東京都)
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2020/03/14(土) 18:22:16.93ID:TYlFXg1D0Pi
一粒の米(その3)
どれほど謙遜しても嫌味に聞こえることもございますので、単刀直入に申し上げれば、金村家は古くからの名家でございます。
金村の名前は集落の名前にもなっており、埼玉県では一目置かれております。
金村家には二つの家訓があります。
一つは、「財を残すは下、名を残すは中、人を残すは上」というものであります。
沢山の財産を残すことより優れた人材を残すことに重きを置くというその家訓が旗印となり、寺子屋と剣術の道場は建てられました。
もう一つは、「一粒の米、もし死なずば、ただ一粒なり。死ねばこそあまた実を結ぶべし」というものであります。
元々は耶蘇教の天主様のお言葉で、「米」は「麦」というのが本来のもののようですが、
金村の集落が米所ということもあり、そのようにすり替わったのだと思います。
その家訓が教えるように、集落の人々のためになることなら、自己犠牲を惜しむなということがお父様の教えでもあります。(続く)
0090走り出す名無し(東京都)
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2020/03/15(日) 22:39:27.78ID:KtiWWL4C0
一粒の米(その4)
人とは違った才が私にはあるようです。それは先のこと予見する才であります。
天啓を受けたかのように、ときどき降りてくるのでございます。
何でもかんでもというわけにはいきませんし、何時かというのがもはっきりしているわけでもありません。
明日なのか、一年後なのか、十年後なのかは分からないのです。
でも、その才がこの集落にとって役に立ったことが何度かあります。
大正六年の年明けに、私は暴動が起こるということを幻視しました。
そして、ぼんやりとではありますが、その原因がお米の価格の急騰によるものだということを直観しました。
私はそのことをお父様に告げましたら、新田の開発が命じられ、できうる限りお米の作付けが行われました。
そして、第一次世界大戦の特需で商品輸出が急増し、日本国内での物価が騰貴したことが引き金となり、
昨年の大正七年には、お米が急騰して米騒動が起こりました。
1升が24銭だったお米が50銭に達し,各地で米の買い占めを行っている業者が襲撃されました。
私の幻視はそのときのものだったようです。(続く)
0091走り出す名無し(東京都)
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2020/03/16(月) 22:42:23.36ID:4ug7CGKK0
一粒の米(その5)
また、大正八年の今年、これも年明けのことでした。
集落の北にある利根川が異常な増水をするという幻影を見ました。
明日なのか、一年後なのか、十年後なのか分かりませんでしたが、お父様には話しました。
米騒動を予見した私の才をお父様は信じなさって、その翌日から土木が始まりました。
混凝土なる材料で水の侵入を完全に防ぐという工事が東京市では行われているようですが、
埼玉の片田舎ではそんなものは手に入りませんので、江戸時代から続いている工法に頼るしかありません。
松の生木を川底に沈めて敷き木とし、筏に大石を載せて沈めて基礎とし、さらにその上に大石を積むという工事が行われました。
川の水に面する側には粘性のよい赤土を塗り固めることで水の漏れるのを防ぎます。
米騒動のときにお米不足が深刻となっていた近隣の集落に暴利を貪らずお譲りしたのですが、
それでもかなりの資産が蓄えられたようです。
また、適正価格でお譲りしたことで、この集落は尊敬を受けました。
そのときの資金で多くの人夫を雇い、また金村の集落だけでなく近隣の集落の人たちも積極的に手伝ってくださったこともあり、
堤防は思ったよりも早く完成しました。(続く)
0092走り出す名無し(東京都)
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2020/03/17(火) 22:11:57.33ID:XUsx10kH0
一粒の米(その6)
今年の啓蟄に堤防は完成しました。
そのすぐ後に、季節外れの大きな暴風雨がやって来て、川が増水しました。
埼玉県の至るところでは川の氾濫のため田畑が甚大な被害を受けたり、多くの人の命が奪われたりしましたが、
金村の集落やその近隣では堤防で守られ無事でした。
堤防の上に登って、川の様子を見に行ったのですが、安堵すると同時に自然の恐ろしさを見せらつけられました。
水はかろうじて堤を超えてはいなかったのですが、これでもかというくらいに増水して、轟音を立てて川は流れておりました。
そのとき、「千丈の堤も蟻の一穴から」という支那の諺を思い出したのです。
蟻が堤防に作ったほんの小さな穴であっても、放置してしまうと大きくなり、ついには頑丈な堤をも壊滅させてしまうことに譬えて、
ほんのわずかな不注意や油断から、大きな失敗や損害に至ることを訓戒したものであります。
あくまで譬えで言ったことであり、蟻の穴くらいで堤が決壊するようなことはないでしょうが、
その諺に何とも得体のしれない不安を覚えました。
とまれ堤防は完成し、集落を守ってくれています。(続く)
0093走り出す名無し(東京都)
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2020/03/18(水) 23:33:20.23ID:UpajxDDn0
一粒の米(その7)
春休みになり、女学校のお勉強に余裕ができた私はちょっと前に聞き齧ったことを師範学校に通われている書生さんに尋ねます。
「なんでも海の向こうの独逸では、とても頭脳明晰な学者様がおられまして、
物体が縮んだり、時間が延びたりすることを発見なさったそうですね。
そのようなことが真に起こるのですか?」
「ええ、そういうふうに私も伺っております。その学者様というのはアインシュタインという人ですね。相対性理論と言うそうです」
「真なのですね!興味がそそられます。美玖でも理解できますか?」
「何でも特殊相対性理論と一般相対性理論というものがあって、易しい方の特殊のほうですら理解している人は世界で十人もいないと言われております。
日本人ではおそらく皆無でしょう。もちろん私も理解しておりません」
「それじゃあ美玖なんかじゃとてもとても手の届かないものなのですね」(続く)
0094走り出す名無し(東京都)
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2020/03/19(木) 21:17:58.10ID:6dKQXSJ10
一粒の米(その8)
「現状では厳しいかと・・・。
でも、江戸時代には偉い学者様でも魔境のごと難解だった数学や物理学や天文学などが文明開化した今では理解しやすくなっております。
基本から積み重ねて体系立てるという教育の方法が確立したためだと思います。
美玖様ほどの聡明なお方なら、相対性理論ももう少し経てばお理解できるようになるかもしれませぬ」
「もう少しというのはどのくらいなのでしょうか?」
「五十年後、いや百年後くらいですかね」
「まあ、だったら頑張って、美玖も後百年生きなければなりませんね。
でも、できれば今すぐ理解しとうございます」
「金村様に学費を支援され師範学校にまで通わせていただいて勉学に勤しんでいる私が言うのも何ですし、
美玖様の学問への強い熱意は分かりますが、あまり根を詰めすぎるのもよくないかと。
支那の哲人の言葉に『吾が生や涯てありて、知や涯てなし』というものがあります。
人の一生に限りがあるが、知にはその限りがない。限りのあるものの中で限りないものを追いかけてもただ疲れるだけだという意味でございます」
「それは支那のどなたのお言葉なのでありましょうか?」
「支那の春秋戦国時代の荘子のものでございます」
「どのようなお人なのですか?」(続く)
0095走り出す名無し(東京都)
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2020/03/20(金) 18:41:18.30ID:O5JIfKvP0
一粒の米(その9)
「『胡蝶の夢』がよく知られているといえば、お分かりになりますか?」
「美玖は無知なのか、そのお話もよく知りません。よかったら、お聞かせできませぬか?」
「夢の中で胡蝶となり、ひらひらと心ゆくまで舞っていたけど、ふと目が覚めたら人間だったというお話です」
「不思議なお話ですね。どう解釈していいのやら」
「常識的には現実は現実で。夢は夢であります。
ですが、胡蝶であった夢が現実であり、現実の人間の今が夢かもしれぬということを示唆しているのだと思います」
「それは何かの寓意なのですか?」
「夢と現実との区別がつかぬ痴れ者を嘲笑うとか人生の儚さを嘆くとかと俗には言われることがあります。
ですが、生と死、是と非という具合にはっきりと区別をつける西洋的な二元論に対し、
相反するものでも同時発生しているというのが荘子の認識ですので、決してそういうものではないと思います」
「そういう認識には何か為になるものがあるのでしょうか?」
「私の勝手な解釈を付け加えてお話しすることをお許してください。
己に与えられた現実をたくましく生きよ、だが、現実で叶わぬことがあれば、夢を見てもよい。
そこに真に自由な人間の生があるというのを諒としております」
「なるほど、そういう読み方は腑に落ちますね。今日は面白いお話を聞かせてくださり、ありがとうござました」(続く)
0096走り出す名無し(東京都)
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2020/03/22(日) 21:51:33.91ID:A1xA+JSP0
一粒の米(その10)
春休みは明け、女学校が始まりました。
芽吹いた畑の作物は日の光を浴びて輝いており、春らしい陽気に包まれて幸せな気分に浸っている帰り道です。
隼に襲われて、全身血塗れになった小鳥が逃げているところに出くわしました。
用水路の畔でよく見かける愛くるしい小鳥です。
野生の隼を間近に見て、その鋭い嘴と爪に身震いしましたが、小鳥を哀れに思い、隼を追い払おうとします。
私が一歩を踏み出すと、拍子抜けするほどあっさりと隼は逃げていき、小鳥もすぐに別方向に飛び立ちます。
私を心配して農作業を中断して駆け寄って来た人が言います。
「美玖様、ご無事ですか?」
「ええ、なんともありません」
「営巣しているところに近づかなければ、人に危害を加えることはまずありやせんが、危険な奴です」
「あれは何なのですか?隼のように思いましたが、前に鷹狩のときに見た隼は灰色で烏くらいの大きさでした。
でも、あれは茶褐色で鳩くらいの大きさしかありません。あれは隼の子供なのですか?」(続く)
0097走り出す名無し(東京都)
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2020/03/22(日) 21:55:29.89ID:A1xA+JSP0
一粒の米(その11)
「いえ、あれは隼の子供ではなく、糞隼ですじゃ。
美玖お嬢様に対してそんな汚い言葉を使って申し訳ございやせんが、わしらはそう呼んどりやす。
隼なら飼って訓練させれば兎のようなありがたい獲物を捕まえてきますが、
あいつの場合は体が小さくて鼠くらいしか捕まえることはできやしません。
役に立たたない隼ということで糞隼と呼んでおりやす」
「それでも危険なのですか?」
「ええ、体が小さいといっても、やはり隼の眷属なのですから。
烏二羽から追われて逃げていましたが、急降下しながら上下に円をくるっと描いて、
烏の後に迅速に回り込むと、鋭い爪を立てて二羽を一気に蹴散らしたのを見たことがありやす。
実は、幼いころ近所のがき大将にいじめられ、反抗したのですが、体格の差はいかんともしがたく、あっさりねじ伏せられました。
その後すぐに、自分よりも体の大きい烏をあいつが追っ払ったのを見て元気づけられました。本当は大好きな鳥でありやす。
ああ、それと、畑の作物を食い荒らす鼠や畑に穴をあける土竜を捕まえてくれるので、役には立っておりやすね」
そのお話はとても興味深いのですが、それ以上に襲われていた小鳥をどこかで見た記憶があるような妙な気がします。(続く)
0098走り出す名無し(東京都)
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2020/03/23(月) 23:04:16.18ID:vSeQ+FO90
一粒の米(その12)
着物に帯という形振りでは、帯や裾が乱れやすいため、男性の袴を着用するというのが女学校の習わしです。
女学校は嫁候補を見つける場でもあります。
在学中に縁談がまとまり中退して結婚するのが望ましいとされ、
卒業まで残った女学生は卒業面と呼ばれ、売れ残りと哀れな目で見られることとなります。
ましてや女子大学校や女子師範学校などに進学すれば、哀れさを通り越して呆れられます。
若いうちから子供を産み育て、夫に尽くすという良妻賢母が女の理想像とされ、
女に教育は有害無益であると考えられている風潮がまかり通っております。
明治時代には近代化の機運もあり、女子教育にもむしろ積極的だったようですが、
尋常小学校の上に高等小学校とか中等学校とかの高等教育機関が充実してくると、各家庭に自費の負担がかかるようになり、
「勉強なんて家を継ぐ男だけがやればいい」というように歪められ、女子高等教育は衰退していったそうです。(続く)
0099走り出す名無し(東京都)
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2020/03/24(火) 23:43:49.77ID:GiiHsU8S0
一粒の米(その13)
でも、明里姉様は女学校を卒業なされた後には、目白にある日本女子大学校に進学されました。
老嬢を養成するだけだと言われて、「目白の姥捨て山」と揶揄されておりますが、明里姉様は気にすることなく進学されました。
これからの時代は女も学問が必要だという丹生先生の方針が後押ししたようです。
明里姉様は求められなかったというわけではありません。
否、事実はまったくその逆です。
女学校の通学途中などで、多くの殿方から懸想文を明里姉様は手渡されました。
また、ご子息のお嫁さんを探すために、名士様の授業参観が女学校では認められていました。
姉様のとても可愛らしい容姿と健やかに育った精神は評判となり、
例年よりは数倍の名士様が各地からやって来られ、明里姉様には山ほど縁談が持ち込まれました。
姉様から断られた方が女学校の別の生徒と縁談をまとめたため、結婚の数はすごいものとなったのも、姉様の恩恵であります。
女には教育は不要だという風潮に秘かに反感を持っていましたので、明里姉様の決断は私の琴線に触れました。
なお、これも謙遜せずに率直に申し上げれば、
明里姉様に引けを取らぬほどの懸想文を私も手渡されてきましたし、縁談も持ち込まれておりますが、
姉様を真似て全てお断り申し上げております。(続く)
0100走り出す名無し(東京都)
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2020/03/25(水) 22:21:38.77ID:CI8g70Od0
一粒の米(その14)
季節は移り変わり、夏になりました。
女学校の帰り道に田圃の畦道を歩いていると、蝉たちが一斉に鳴いています。
夏の暑さと相俟って、蝉時雨を疎ましいと思う人も多いようですが、私は大好きです。
蝉の大きな鳴き声が体の中に浸透していくような気がして、元気がもらえます。
でも、地上で成虫となった後には、わずかな時しか生きられず、連れ合いを求めるため、
命を使い果たすまで大声で鳴くことを思うと切なくもあります。
畦道からは少し離れた地面のほうから蝉の鳴き声がします。
そこに行きますと、背を下にして、起き上がれず、もがいている蝉がいます。
蝉は背中側の外骨格が頑丈で重いため、自力では戻れず、そのままの状態だと死ぬこともあると聞きました。
蝉を脅かせないようにそっと近づき、体を引っ繰り返してあげると、元気に飛び立ちました。
「素敵な連れ合いをきっと見つけるのだよ」と言いながら、私は見送ります。
私にも素敵な連れ合いは見つかるのでしょうか?(続く)
0101走り出す名無し(東京都)
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2020/03/26(木) 22:21:51.03ID:jnX9UC7c0
一粒の米(その15)
傍にある大きな木の幹を見ますと、樹上へ登っていく途中で羽化した蝉の抜け殻があります。
西日を浴び透き通っていて綺麗です。
「空蝉」という言葉があります。
蝉の抜け殻のことで、蝉の抜け殻のようにこの世は仮の儚いものという意味でも使われます。
「空蝉」は「現し臣」という言葉が転化したものだと教わりました。
「現し」は現世に映したことを意味していて、「臣」というのは人のことです。
「現し臣」というのは、天主様の姿をこの現世に映し出したものが人であるということです。
現世を生きる人というものは蝉の抜け殻のように儚い存在でもあり、天主様の姿を映した尊い存在でもあるということなのでしょう。
胡蝶は瞑目するとき、長い夢から覚めて、人だったということに気づくのでしょうか?
人も瞑目するとき、何かに生まれ変わるものなのでしょうか?
そんなことをあれこれ考えながら、蝉の抜け殻にもう一度目をやると、命の厳かさを感じます。(続く)
0102走り出す名無し(東京都)
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2020/03/28(土) 17:49:48.26ID:tgNGzAhQ0
一粒の米(その16)
九月の初頭のこの日、私はそわそわしております。
というのも大好きな明里姉様がご帰省されるという報告を受けたからであります。
日本女子大学校に入学されて以来、こちらには戻ってこられなかったのです。
もう一年半にもなります。
もちろん女子大学校にも休みはあるのですが、そのとき限って運悪くいろんな用事が重なり、ご帰省の頃合を逸されたそうです。
今回も当初は八月の予定だったのですが、ご都合で九月にまで遅れてしまったようです。
さらに間が悪いことに、今日の未明に台風が直撃しまして、昼頃だった到着の予定が夜遅くになるようです。
早くお会いしたいとやきもきしていると、北にある利根川が異常な増水をするという幻影がまた襲ってきました。
私は気が気でありません。
明里姉様はお昼にはどうせ参られないのなら、利根川の様子を見に行こうと思い立ちます。(続く)
0103走り出す名無し(東京都)
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2020/03/28(土) 17:51:54.84ID:tgNGzAhQ0
一粒の米(その17)
台風一過ということで、雲ひとつない晴天となっているのですが、土は泥濘んでとても歩きにくいです。
到着すると、思ったほど増水しておらず、川の水位は堤防よりずっと下です。
異常な増水が少なくとも今日や明日のことではないことがはっきりしたので一安心です。
お屋敷に戻ってきても、夜まではまだ時間があり、矢も楯もたまらずという気持ちです。
夜も更けてくると、ご家族との積もる話もあるだろうから、私との再会は明日に回されるだろうとさすがに諦めました。
ところが、金村家へ夜半に尋ねてきてくださいました。
金村家へのお土産を女中さんにお頼みされている姉様の声が玄関ほうから聞こえてきたのを私は逃しません。
急いで顔を見に行きます。
「明里姉様!どうぞお上がりくださいませ」
「美玖様、お久しゅうございます。とてもお会いしとうございました。でも、こんな夜分に失礼なので、また明日にします」
「そんなこと仰らないでください。今日のこの日を楽しみに待っておりました。ちょっとでいいですから話しとうございます」(続く)
0104走り出す名無し(東京都)
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2020/03/28(土) 18:21:48.87ID:rFnVG4E50
>>93
>物体が縮んだり、時間が延びたりする

影山先生「正確にいえば、物体が縮んだり、時間が延びたりするわけではない」
京子  「えっ、じゃあ何が起きてるんですか?」
影山先生「実は時刻は人によって異なる
     つまりある人にとって同時におきていることが
     別の人にとっては異なる時刻でおきている」
京子  「マジ?なんでそんなことになるんですか?」
影山先生「実は光速度が誰にとっても同じだから
     ニュートンは誰にとっても時刻は同じとして理論を組み立てたけど
     マイケルソン・モーリーの実験は理論に反する結果が出た
     ローレンツやポアンカレは電磁気学での出来事として
     マクスウェル方程式を不変とする変換(ローレンツ変換)
     を導入して人によって異なる時刻を「局所時間」としたけど
     アインシュタインはさらに踏み込んで、光速不変の原理を
     立てて、力学も同様であると主張した それが相対性理論」
京子  「全然ついてけないんですが」
影山先生「残念ね ねるちゃんは理解したんだけど」
京子  「あの味覚音痴が・・・」
0105走り出す名無し(東京都)
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2020/03/28(土) 18:32:28.06ID:rFnVG4E50
>>94
>聡明なお方なら、相対性理論ももう少し経てば
>お理解できるようになるかもしれませぬ

京子  「ところで相対性理論って大学何年で教えるんですか?」
影山先生「特殊相対論なら大学1年ね」
京子  「ゲッ、そんなに早いんですか?」
影山先生「基本的には線形代数だから」
京子  「一般相対論なら何年ですか?」
影山先生「3年か4年かしら さすがに微分幾何は難しいから」
京子  「ま、でも関係ないか、わたし文系だし」
影山先生「京子さんの破滅的な日本語でも合格できる大学ってあるのかしら」
京子  「何か言いました?」
影山先生「いえ何も」
0106走り出す名無し(東京都)
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2020/03/28(土) 18:45:19.26ID:rFnVG4E50
>>94
>魔境のごとく難解だった数学や物理学や天文学

影山先生「ところで京子さんは銀河系の中心に何があるかご存知?」
京子  「いえ・・・まさか銀河帝国の要塞?」
影山先生「ハリウッド映画の見過ぎね 実は・・・巨大ブラックホール」
京子  「ブラックホールって・・・穴?」
影山先生「(史帆さんが”京子はほんと常識ないんですよ~”って
      いってたけど本当だったのね)
     ブラックホールといっても穴ではなくてきわめて高密度の天体
     銀河系の天体が中心に対して周回運動をしていることから
     中心に巨大な質量が存在している筈だと予想されていたけど
     近年になってその正体が巨大なブラックホールであるという
     証拠がいろいろ得られたわけ
     銀河系の中心にあるブラックホールはいて座A*と呼ばれていて
     その質量は太陽360万個分といわれている」
京子  「マジ銀河帝国スゲェ」
影山先生「結局そこに戻るのね」
0107走り出す名無し(東京都)
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2020/03/28(土) 22:49:04.07ID:tgNGzAhQ0
>>104
>物体が縮んだり、時間が延びたりするわけではない
>実は時刻は人によって異なる
>つまりある人にとって同時におきていることが
>別の人にとっては異なる時刻でおきている

下三行はいわゆる同時刻の相対性のことで、それには全く異論はない。
だが、上一行をどう解釈するかというのは難しいところだな。
つまり、下三行の効果を考慮しても、物体が縮んだり、時間が延びたりすると見なさなければならないんじゃないか?

よく示される電車の例で、物体の縮みに関してだけを見ていく。
地上から見た電車の長さをbとし、その電車の真ん中で電車の両端に向けて光を発射させたときの地上から見た時刻差は、

b/2(1−v)−b/2(1+v)=bv/(1−v^2)
(ただし、表記が煩雑になるので、光速度を1としたときの単位系での電車の速度をvとしている。)

電車から見て同時刻となるとき、刻印機を作動させて、地上に刻印させ、地上から見たその刻印間の長さをaとすれば、

b=a−v×bv/(1−v^2) ∴b=a(1−v^2)・・・(1)

電車から見た電車の長さをb´、電車から見た刻印間の長さをa´とすれば、電車から見れば、その長さは等しいので。

a´=b´・・・(2)

ここで、動いている物体の長さが変化しないとすれば、a´=a、b´=bとなり、(1)、(2)から矛盾が起きる。
よって、動いている物体の長さはk倍に縮むとする。
(このkは相対論係数の逆数となっている。)
地面から見れば、電車の方が動いているので、b=kb´・・・(3)
電車から見れば、地面の方が動いているので、a´=ka・・・(4)
(1)、(2)、(3)、(4)から、k=√(1−v^2)
(普通の単位系で表した電車の速度をVとすれば、v=V/cなので、
k=√{1−(V/c )^2}となる。)

上の議論から分かるように、(1)は同時刻の相対性によるものだが、
(3)、(4)はその矛盾を解消するために、空間が縮んだと解釈すべきと思っているんだが。
0108走り出す名無し(東京都)
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2020/03/29(日) 19:34:57.97ID:gRUkOAtM0NIKU
>>107
間際らしくて申し訳ないが3人目の東京都です
信じてもらえるかどうかはわかんないけどID:rFnVG4E50とは別人だ
3点ほど質問あるんだけど、いいかな?

1 光速度を1とするときの単位系を用いるのはいいんだけど
そのときの長さの単位はどうなるの?

2 (1)と(3)と(4)の式の論理の流れはよくわかるけど(2)がいまいちわかんない 簡単な式なんだけどね

3 相対性原理は、(3)と(4)でKの値を同じにしたことでつかっていることはわかるんだけど
光速度一定の原理はつかってないの?

なんか場違いなカキコかもしんないけど疑問に思った
疑問への答に納得できたら二度と出てきませんので
よろしくお願いしますm(._.)m
0109走り出す名無し(東京都)
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2020/03/29(日) 22:13:32.42ID:wMFSheIp0NIKU
>>108
>1
これは説明不足だったかな。
時間の単位を年とすれば、年⇔光年で対応させて、a、a´、b、b´の単位は光年を使う。
ただ、時間の単位は秒とするのが普通なので、秒⇔光秒で対応させれば、a、a´、b、b´の単位は光秒を使う。
光秒というのは1秒間に光が進む距離である。
そうすると、光速度を1とすることができる。

>3
いや、光速度一定の原理は使っている。
(1)を導くとき、電車から見ても地面から見ても光速度は1としている。
だから、電車から見て電車の両端に光が到着する時刻は等しくなり、地面から見て電車の両端に光が到着する時刻は異なってくる。
もし、地面から見て、電車の速度の慣性を受けて、光速度が変化するとすれば、
地面から見て、右、左に進む光の速度は1+v、1−vということになる。
そうすると、地上から見た時刻差は、

b/2{(1+v)−v}−b/2{(1−v)+v}=0

となり、時刻の相対性は生じない。
つまり、光速度一定の原理を使ったからこそ同時刻の相対性が生じている。

>2
たとえば、あなたが自分の部屋の中にいるとして、左右の壁間の距離を3mとする。
その3mというのは、今すぐ測っても、昨日に測っても、変わりようがない。
ここで、普通は考えないちょっと変なこと考えてみる。
右の壁は現在の位置で、左の壁は昨日の位置で壁間の距離を測ってみる。
あなたから見たときの左右の壁の長さはどうなるか?
あなたから見て、左右の壁は動いていないのだから、やっぱり3mと答えるべきだよね。

ところで、地球は自転しているし、太陽の周りを公転もしている。
さらに、>>106に書かれている巨大ブラックホールの周りを太陽系全体が時速200km以上の速さで公転している。
さらに、天の川銀河から遠く離れた銀河から見れば、宇宙膨張の速度も考慮しなければならない。
ちょっと余計なこと言い過ぎたけど、要はあなたの家が動いているという系を考えることができる。
簡単な数値を用いることにして、右向きに一定速度で一日に50cmだけ動くとする。

このとき、その系から見たとき、左の壁は昨日の位置で、右の壁は現在の位置で測ったとき、左右の壁の長さはどうなるか?
3m50cmになるのは疑いようがない。
つまり、あなたの家の中から見れば、時刻が変わっても、左右間の壁の長さは変わらないけど、
あなたの家が動いている系からみれば、その長さは変わる。

a´、b´というのは電車の中から見た前端と後端の間の長さなので等しい。
(電車の中から見て、a´は同時刻で、b´は時間差が生じている、)
これに対して、a、bというのは電車が動いているのを見ている系(地面系)での長さなので、違っている。
(地面から見て、aは時間差が生じていて、bは同時刻である、)
0110走り出す名無し(東京都)
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2020/03/29(日) 22:47:13.05ID:wMFSheIp0NIKU
2に関して、あなたが意図していたのかどうかは分からんけど、一言付け加えておく。
実は、光速度一定の原理を用いなくても、相対性原理だけで特殊相対性理論を導き出すことはできることが証明されているようだ。

>>104が、アインシュタイン以前に特殊相対性理論の発見に貢献した物理学者を書いてくれている。
ローレンツやポアンカレはマイケルソン・モーリーの実験の解釈を力学の中だけでやっていて、
電磁気学まで踏み込んだのがアインシュタインと認識しているので、その箇所には意見の相違があるが、
マクスウェル方程式を慣性系で不変としたことで特殊相対性理論が完成したというのには異論はない。

マクスウェル方程式の中には光速度一定の原理が秘められていて、電気的な定数である誘電率と透磁率から光速度が計算できる。
したがって、電磁気学で相対性原理が成立するなら、それによって光速度一定の原理も必然的に成立する。
力学でも同じことが言えるのなら、光速度一定の原理を用いないで、相対性原理だけを指導原理として、特殊相対性理論は導けるはずである。
そして、空間の対称性は用いるけど、相対性原理だけで特殊相対性理論が導けることが明らかにされているようだ。
そのことは習っていないし、ざっとNET検索してみたが、見つからなかったので、どういうようなロジックなのかは分からない。

おそらく一線級の物理学者にしか理解できない相当に難解なものだと思う。
だけど、一線級の物理学者が特殊相対性理論を今さら研究するわけがない。
ラテン語で書かれた「週刊プレイボーイ」というものがあったとしても誰も読まない。
知識人は馬鹿にして読まない。
一般の人間には読めない。
それと同じように、一線級の物理学者は研究しない。
一線級未満の物理学者では歯が立たない。
だから、いまだに特殊相対性理論が相対性原理だけで導き出せることがあまり知られていないんだと思う。
0111走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/03/29(日) 22:50:28.61ID:wMFSheIp0NIKU
一粒の米(その18)
「土砂降りの道悪のため、足下がひどく汚れております。金村様のお屋敷を汚すわけにもいきませんので」
「嬉しゅうございます。お着換えされる間もなく金村家へのお土産を持ってきてくださったんですね。
そうだ、別館のほうに行きましょう。あそこなら土足ですし、お気になさる必要はないですわ」
間髪を入れず姉様の腕を掴んで、そのままで女中さんに履物を用意させ、姉様を別館にお連れします。
別館の真っ暗な大広間に入ると、姉様は仰います。
「この音とにおい。懐かしゅうございます」
私が燭台に火を灯すと闇が明るさに包まれます。
洋卓と椅子を広間の中に運び、落ち着いてから私は語りかけます。
「子供のころには、美玖より背の高いこの柱時計が傍若無人に鳴らす大きな音と仮漆のにおいに当時は威嚇されましたね。
でも、もう慣れたのか、今ではまったく気にならなくなりました」
「明里もそうでしたが、久しぶりのためか耳と鼻に入ってきます。でも、決して嫌なものではなく、旧知の友に会えた気分です」(続く)
0112走り出す名無し(東京都)
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2020/03/30(月) 22:38:47.41ID:ubO2dgkC0
訂正

>>109の「>3」から7行目。
×地面から見て、【右、左】に進む光の速度は1+v、1−vということになる。
○地面から見て、【前方、後方】に進む光の速度は1+v、1−vということになる。

>>109の「>2」から7行目。
×太陽系全体が【時速】200km以上の速さで公転している。
○太陽系全体が【秒速】200km以上の速さで公転している。

>>110の1行目。
×2に関して、
○3に関して、
0113走り出す名無し(東京都)
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2020/03/30(月) 22:41:59.44ID:ubO2dgkC0
一粒の米(その19)
女中さんが入ってきて、姉様がここに少し暇するということを丹生家に言伝したことを報告してくれます。
そして、姉様がお土産に持ってきてくれたお菓子を出してくれて、お紅茶の用意もしてくれています。
「じゃあ、私はこれで」という女中さんに、「貴女もどうぞ」と言うと、「滅相もない」と遠慮するので、
私は二つほど手に取り、女中さんの手に握らせてから帰します。
その様子を見て、微笑んでいた姉様が仰います。
「風月堂の真珠麿です。美玖様、お懐かしいでしょう」
「懐かしい?美玖はこのような西洋のお菓子を食べたことも見たこともありませんが」
「そうか、明里が五歳のときだったから、美玖様は三歳のときでしたね。覚えでおいでにならなくても無理はありませんね。
この別館が完成したとき、進物された真珠麿を美玖様は召し上がられたのですよ。明里も頂きましたが。
そうそう、その年に明治屋が日本で初めて販売した外国産のお紅茶も進物されて、そのときも真珠麿と一緒に出されていましたね」
自分の頭の中を私は探し回りますが、そういう記憶は出てきません。(続く)
0114走り出す名無し(東京都)
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2020/03/30(月) 22:47:31.02ID:3QmRnEGm0
>>110
>実は、光速度一定の原理を用いなくても、
>相対性原理だけで特殊相対性理論を導き出すことは
>できることが証明されているようだ。

大嘘
0115走り出す名無し(東京都)
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2020/03/30(月) 22:49:41.35ID:3QmRnEGm0
>>110
>力学でも同じことが言えるのなら、光速度一定の原理を用いないで、
>相対性原理だけを指導原理として、特殊相対性理論は導けるはずである。

大嘘
0116走り出す名無し(東京都)
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2020/03/30(月) 23:22:27.36ID:ubO2dgkC0
>>114-115
どこがどういうように大嘘なのかを具体的に書いてくれないか?
0117走り出す名無し(東京都)
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2020/03/30(月) 23:58:40.56ID:ubO2dgkC0
まあ、>>114に関しては、習っていないし、NET検索で見つからなかったので、その証明のロジックを分からないと書いている。
だから、それはこちらの勘違いかもしれない。
ただ、英語論文まで含めて調べつくして、「大嘘」と言っているのかな?

だが、>>115に関しては、仮言命題というのは分かっているのかな?
>>110に書いたように、マクスウェル方程式の中に光速度一定が必然的に含まれていることは認めるよね?
だったら、電磁気学で相対性原理が成立するなら、特殊相対性理論は必然的に成立するというのも認めるよね?

その上で、「力学でも同じことが言えるのなら」と仮定して、
「光速度一定の原理を用いないで、相対性原理だけを指導原理として、特殊相対性理論は導けるはずである」と書いている。

「電磁気学なら相対性原理だけで特殊相対性理論は導ける」は真である。
だから、「力学でも電磁気学と同じことが言えるのなら」と仮定すれば、
「力学でも相対性原理だけで特殊相対性理論は導ける」と結論するのは論理学上で妥当となる。
その仮定が真か偽なのかは関係なく、あくまでそう仮定した上でなら、その命題は妥当となる。
0118走り出す名無し(東京都)
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2020/03/31(火) 23:00:36.41ID:t0kxNX2W0
一粒の米(その20)
握りしめていた手を弛めたら、女中さんに手渡したときに手についてしまった真珠麿の欠片が零れ、お紅茶の中に入りました。
零したことをはしたないと思って、急いでそれごと飲もうとします。
口蓋にそれが触れた瞬間に、その味と匂いが何かを主張します。
雑然と掻き混ぜられて渦をなして溶け込んでいたあまりにも遠い思い出がゆっくりとよじ登って来ます。
そして、その渦の一つが明確な形をつくると、一気に全ての輪郭がつくられ、鮮明な記憶が甦ってきました。
私が喉に詰まらせないようにお母様が千切って渡してくださった真珠麿をお紅茶に付けて食べたことが。
私の隣で明里姉様も真珠麿を召し上がっていたことが。
そして、そのときの記憶はこの別館の昔の様子にまで広がっていきます。
あの柱時計は二代目で、初代のものはもう少し小さかったことが。
広間の奥の階段は最初はなく、別館に二階が増築されたときにつくられたことが。
さらに、記憶は別館の外にも広がっていきます。
改築される前の剣術の道場の様子が。
寺子屋ができる前の更地の様子が。
別館と本館をつなぐ渡り廊下が最初はなかったことが。(続く)
0119走り出す名無し(東京都)
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2020/04/01(水) 21:43:55.92ID:AD+elPyT0
一粒の米(その21)
目で覚えていたものは消えるか眠り込むかして意識に到達する力を失っていたのに、
匂いと味は執拗に残ってわずかな刺激で甦るのです。不思議です。
水を満たした瀬戸物のお茶碗に小さな紙片を浸すとたちまち伸び広がって色がつき、
花や家や人の形などが鮮やかに復元される水中花のように、過去の別館の内の様子も外の様子も一杯のお茶から飛び出してきました。
この一瞬での夥しい思い出の喚起は、人生が儚いというのは錯覚であるかもしれないという愉悦をもたらしてくれます。
心が高ぶっている私を見て、「美玖様、どうなされたのですか?」と姉様は仰います。
「思い出しました、喉に詰まらせないようにお母様が千切ってくださった真珠麿をお紅茶に付けて食べたことを。
そして、そのときのこの別館の中の様子も外の様子も何もかも。
美玖は十三年前の昔をしばし旅してきました。
姉様のおかげです。明里姉様がやることなすことの全てが美玖に幸せを運んできます」(続く)
0120走り出す名無し(東京都)
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2020/04/02(木) 23:11:08.23ID:gSxM0Rop0
一粒の米(その22)
姉様は改まって仰います。
「美玖様、丹生家は金村様に仕えております。道場も金村様のものでございます。
私たちは幼いころからいつも一緒でしたので、美玖様が私に『明里姉様』とお呼びになることが見過ごされてきました。
ですが、私ももう女子大学校に通っている身なので、このままでは他の使用人の方たちにけじめがつきませぬ。
どうか『明里』と呼び捨てにしてくださいませ」
「いいえ、敬愛する明里姉様になら美玖は何でも従いますが、そればかりはできません。
美玖がそう呼ぶのは明里姉様を心の底から尊敬しているからでございます」
「弱りましたね」と姉様は困った顔をされます。
話題を変えようと思い、着物の内側に入れていたものを出しながら、私は言います。
「突然のご帰省だったので、美玖のほうから姉様への贈り物を準備できませんでしたので、こんなものしか差し上げられません」
「まあ、素敵!」
「今日、堤まで足を延ばしたときに、白詰草が咲いていました。姉様のことを思いながら花冠を編んでみました」(続く)
0121走り出す名無し(東京都)
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2020/04/03(金) 22:44:44.56ID:N2+VVEp90
一粒の米(その23)
「なによりです。実は明里のほうからも美玖様にだけは別のお土産があります」
姉様はそう仰りながら、洋卓の上に金色の箔押しがある八角形の陶器を置かれます。
「何ですか?それは」
「資生堂が一昨年に発売した七色粉白粉でございます。
本当は全部で七色あるのですが、二つ買うのが精一杯でした。
勝手ながら黄色と緑色を選びました」
「今すぐ試してみてもいいですか」と喜び勇んで、私は燭台を手に取り、姿見のある大広間の隅に行き、顔に塗ります。
「白粉というと白色しかないものと思っていました。これは、色彩が豊かで、様々なお洒落が楽しめますね」
「喜んでいただけましたか?」と姿見に映っている姉様が仰ります。
「ええ、とても嬉しゅうございます。姉様はどれだけ美玖を喜ばせになられたらお気が済むのですか?」
「文明開化のおかげでこういう派手で華やかなものがこれからもどんどん増えていくのでしょね」
お凸に緑色を、両頬に黄色を塗った自分の顔を見て、緑色の屋根瓦と黄色の壁のお洒落なお家をなぜか私は想像します。(続く)
0122走り出す名無し(東京都)
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2020/04/04(土) 23:17:01.41ID:t1f2mQLB0
一粒の米(その24)
久々に姉様に会えた興奮でいつまでもお話は途切れることはありません。
姉様のほうも眠気はまったくないようで、元気に口を開かれます。
「ところで、行田電灯の電灯家数が一万戸に増えたとお聞きしました」
「この丘の上からならその明かりが灯っている様子が遠くに見えますよ」
埼玉は田舎と都会の境界であり、この大正という時代は伝統と発展の端境期です。
その二つが綱引きをして生じる軋みの中に私はいるんだなと考えながら、姉様と外に出ます。
長く話し込んでいたのですが、夜明けまではまだちょっと時間があるようで外はまだ真っ暗です。
もう季節は秋で、夜風が冷たく感じます。
北西の方向で光っているところを指さし、「あれです」と私は言います。
「綺麗、まるで地上の星ですね」と明里姉様はうっとりされます。
「東京市のほうはもっと明るいのではないのですか?」
「ええ、でも、あそこからどんどん電灯の光が埼玉県に広がっていき、
この集落にも電灯設備がいずれできると思うと美しゅう感じます」(続く)
0123走り出す名無し(東京都)
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2020/04/05(日) 16:46:50.80ID:vw19U/L/0
一粒の米(その25)
「地上の星も綺麗ですが、やはり本物の星のほうがいっそう美しいとは思いませんか?」
「ええ。ここはいいですね。全方位に星を見ることができます」と仰りながら、南に向き直り、座されます。私もその横に座ります。
南東の地平線のすぐ上の空を指さして、姉様は暗唱されます。
「かれにもしるき參宿の もなかにひかりかゞやきて かたどる影は眞善美 三の星こそ並ぶなれ」
「土井晩翠の新体詩『天地有情』ですね。『参宿』とは支那での鼓星の呼び名でしたね。
四つの星で象られた鼓星の四角の中のあの三つの星が真善美であるとするのは、天上の世界に憧れた晩翠ならではの感性ですね」
姉様は頷きながら、また暗唱されます。
「かくてなほ あくがれますか 眞善美 わが手の花は くれなゐよ君」
「与謝野晶子の歌集『みだれ髪』の中のものですね。
敬愛していた晩翠の詩を踏襲しつつも、天上の崇高な世界に憧れるより地上の世界での人間の愛のほうが価値があると詠んだのですね。
天上の世界は想像を絶した彼方にあり、愛は理性では到達できない心の深奥にあり、美玖にはどちらも神秘です」
姉様は私に振り向きながら、仰います。
「美玖様、才媛にさらに磨きがかかりましたね。星空を見て思い浮かぶ和歌とか詩とかはありますか?」(続く)
0124走り出す名無し(東京都)
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2020/04/06(月) 23:08:19.84ID:CamGdVMN0
一粒の米(その26)
姉様から促されて、正岡子規の和歌が浮かびます。
「真砂なす 数なき星の その中に 我に向かいて 光る星あり」
「まあ、美玖様、そういう歌を唱えられるとは、誰か思われている殿方がいらっしゃるのですね。
美玖様に向かって光るその果報者は誰なんでしょうか?」
驚いた口調で明里姉様が仰ります。
私はその言葉にびくっとしました。
ぱっと頭に浮かんで詠んだ和歌だったのですが、たしかに姉様のご指摘に心当たりがあるのです。
でも、その人が誰なのかさえも見当ついておりません。
大好きな姉様と久しぶりに会えて浮足立っていることと暗闇の中で羞恥心が弱くなったことの二つの魔術によって、
たとえ相手が明里姉様であっても絶対に打ち明けることのないと思っていたことを話したいという衝動にかられます。
私が躊躇していると、「誰にも口外しませんから」と姉様は優しく語りかけられます。
「絶対にですよ」と私は念を押します。(続く)
0125走り出す名無し(東京都)
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2020/04/07(火) 22:23:06.70ID:fTRwS6Qu0
一粒の米(その28)
「ちょっと前に書生さんから『胡蝶の夢』というお話を伺いました。姉様はご存知ですか?」
「ええ、夢が現実のようであり、現実が夢のようであるというお話ですね」
「そうです!まさに現実であるかのような夢を見るのです。しかも何度も」
「まあ、どのような夢なのですか?」
「それが・・・。ぼんやりとした夢なのです。
真っ暗な中で戸張が徐々に上がって、光が差し込んで、人影が浮かび上がってきます。
お屋敷の中かと思ったら、青々とした草地で、その人影が美玖なのです。
そして、使者に頼んで、誰かが来るのを美玖は待っているのです」
「その使者というのは金村様のところの女中さんなのですか?」
「それが・・・・。どうも人ではないようなのです。何か小さくて可愛らしいもののようなのです」
そのとき、私はあの小鳥のことをなぜか思い浮かべます。
「話の腰を折ってすみません。どうぞ続けてください」(続く)
0126走り出す名無し(東京都)
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2020/04/08(水) 23:04:57.24ID:VPir2qq90
一粒の米(その28)
「待っていた人がそこにやってきます。全く知らない殿方ですが、とても愛しくもあるのです。
でも、何度も見ている同じ夢だというのに、その後は具体的に何が起こったのかということは覚えていないのです。
天にも昇るほどの歓喜に満ち溢れた夢であったという感触だけは現実のようにあるというのに」
打ち明けたことで頭が刺激されたためなのか、覚えていなかった夢のその後がぼんやりと浮かんできます。
その愛しい殿方とはやむにやまれず別れなければならなくなり、・・・・・。
「明里姉様、深謝いたします」と自分でも意図していなかった言葉を藪から棒に私は口にします。
「どうなさったのですか?その唐突なお言葉は?」
「力がおよばなかった美玖の代わりに、その殿方の魂を救済してくださるのが明里姉様なのだということがなぜか今浮かんできたのです」
「うっふっふっふ」
「姉様!何が可笑しいのですか?」
「実際には殿方と手をお繋ぎしたことさえないのに、そういう夢をご覧になるとは。そういうのを耳年増というのですよ。
美玖様、何なら、私が恋の有り様を教えましょうか?」(続く)
0127走り出す名無し(東京都)
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2020/04/09(木) 22:49:33.05ID:Fxrc3Niq0
一粒の米(その29)
「姉様は私の手本です。敬愛する姉様が歩んだ後をついていけば、決して道を踏み外さないとも思っています。
でも、一つだけ例外がございますのよ。それは恋の道です。
あれほど多くの殿方から懸想文を手渡されたのに、全て断りなさる。また、山ほど舞い込んだ縁談も次々に断りなさる。
殿方よりも剣術の腕は立っても、殿方を異性として見たときには急に臆病になられる。
姉様の恋の道の後を歩んでいったら、美玖は行かず後家となってしまいますものね」
怒っている素振りを見せながら、私は憎まれ口をたたきます。
でも、本当は怒っているのではなく、拗ねることで姉様に甘えたいのです。
「まあ、美玖様ったら、ひどいお言葉。
でも恋の経験はなくても、恋の手ほどきはお教えできますのよ」
「ぜひお聞かせ願えませんか?」
「初恋というのがなぜかくも人の心をとらえるのかというと、それは未知の感情に心が驚いているからなのですよ。
しかも、それが初心な心に強い力を与え、一歩一歩立ち止まってその魅力を味わおうとして、
他の全てを忘れさせてくれるほど夢中にさせてくれるからなのですよ」(続く)
0128走り出す名無し(東京都)
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2020/04/10(金) 21:22:12.45ID:QTv91KL10
一粒の米(その30)
「なるほど。でも、それは女性だけのことですね?男らしい殿方ならば、そんなに感傷的にはなりませんよね」
「いえ、いえ、むしろ殿方のほうが女性よりも繊細なのですよ。
ご自分の肉欲を満たすことだけが目的の殿方なら、女の気持ちを無視して、どんどん攻めてきます。
そして、それを男らしいと世間では称します。
だけど、純粋で誠実な殿方ならば、好きな女性からの最高の贈り物はその肉体ではなく、愛されているという証なのです。
だから、愛しているという気持ちが強ければ強いほど気弱になるものなのです。
美玖様のことを心底慕ってらっしゃる殿方がいて、美玖様も身を任せてもよいと思われているのに、なかなか手を出してくださらない。
そういうときには思い切って自分のほうから行動を起こしていくのですよ。
でも、露骨に『抱いてください』などと言ってはいけません。
『私たちはもっと心が絡みあってもいいんじゃないでしょうか』というように遠回しに言うのですよ」(続く)
0129走り出す名無し(東京都)
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2020/04/11(土) 22:43:47.72ID:zBo9ryjv0
一粒の米(その31)
先ほど笑われた仕返しに、「うっふっふ」と私は笑います。
「なにが可笑しいことを私は言いましたか?」
「いえ、いえ、たいそう為になります。
だけど、いま仰ったことは自分の体験ではなく、女子大学校で聞き齧ったことですよね?
なのに、断定した言い方をなさる。
『講釈師、見てきたような嘘をつき』とは姉様のことですわ」
「まあ、美玖様ったら」と姉様はそっぽを向いて黙ってしまわれます。
その可愛らしい様子を見て、私はさらに笑みがこぼれます。
でも、姉様のその教えを聞いたとき、私はそれを実行したことがあったのではという妙な気がしています。
恋のいろはも知らないこの奥手な私が大胆なことを言ってしまって、
心臓の鼓動が聞こえるくらいどきどきしているという記憶でございます。
そんな経験は絶対にないのに、そういう記憶があるのです。
はっきりと過去に起こったことであったと今では断言できる真珠麿の記憶とは異質なものです。
ぼんやりとした夢の中の記憶なのでしょうか?(続く)
0130走り出す名無し(東京都)
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2020/04/13(月) 20:39:17.79ID:AyxOOmVm0
一粒の米(その32)
黙ったままで鼓星を眺めていらっしゃった姉様がぽつりと呟かれます。
「あの平家星はひときわ明るく輝いていますが、平家が滅亡したことを思うと、何か物悲しいですね」
それを聞いて、またも妙な気がしてきます。
平家星はすでに滅亡しているかもしれないということを聞いた記憶があるのです。
でも、頭の中が黒い戸張に包まれた感じがして、それ以上は思い出すことはできません。
しばし、私も姉様も鼓星のほうを見て黙り込んでいると、本館の屋敷の玄関のあたりから物音と人の声がかすかに聞こえます。
何かの気配を察せられたのか、姉様は立ち上がって、剣術の道場の窓が傍にあったこともあり、
そこを開けて入って、木刀を掴んで素早く戻られ、道場の東側の側面に身を隠しながら、顔だけを出して様子を窺われます。
私も続いて覗くと、石灯篭の炎に照らされて、二人の男の邪悪な顔が浮かんでいます。二人とも刃物を持っています。
「豪華な屋敷だ。米騒動のときにも儲けたみてえだから。金はしこたま溜めているぞ」
「屋敷の中の部屋と廊下の様子は探っておくから、お前は下にいる他の奴らを早く呼んで来い」
「おうよ。それとここには美人で評判の娘がいるから、それも逃がすんじゃねえぞ」(続く)
0131走り出す名無し(東京都)
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2020/04/13(月) 20:40:57.99ID:AyxOOmVm0
一粒の米(その33)
賊のようです。
私が今までに見たことのないような険しい顔を明里姉様はされています。
「美玖様、ここでじっとして隠れていてください。万一、こちらの方向に賊が向かって来たら、屋敷林の中に逃げ込んでください。
この薄明りの中なら見つかることはないでしょう」
姉様はこの状況にも動ぜず凛とされています。
そして、賊のほうに忍び足で向かわれます。
姉様が心配です、じっとしていることはできません。
でも、体がついていかず、ここから見守るのが精一杯です。
「金村様のお屋敷に忍び込もうとする不届きな輩め」と姉様が東雲の空気を割くように鋭い声で叫ぶと、
賊どもは一瞬固まってしまい、その隙を逃さず、あっという間に姉様は二人の脳天を打ち抜き失神させてしまいます。
その騒ぎを聞きつけて、屋敷の中から人が出てきます。
丘の下からはいち早く丹生先生がやってこられます。
「明里、よくやった。しかし、たった二人で金村様のお屋敷に強盗に入るとも思えん」
「お父様、こやつら斥候のようです。本隊は下にいるようです」
「わかった一人残らず成敗してやろう」(続く)
0132走り出す名無し(東京都)
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2020/04/15(水) 23:25:21.68ID:5tzPvGyO0
一粒の米(その34)
「では、明里も参戦します」
「お前は来なくてよい。これ以上、勇ましい姿を知られたら、嫁の貰い手がなくなるわ。
それにやるべきことがあるだろ。後で震えていらっしゃる美玖様のお世話と護持をしろ」
明里姉様はこちらに振り返ると、叫ばれます。
「美玖様!隠れていてと言ったでしょう。万一のことがあったらどうするのですか」
激しくも温かみのある声です。
「すみません」と涙が溢れ出て咽喉が詰まっている私は、なんとか言葉を発します。
「でも、隠れなかったことを後悔しているのではなく、姉様のご助力ができなかったことを悔やんでいます」
姉様は私を抱きしめながら仰ります。
「美玖様、ありがとうございます。明里の身を案じていてくださったのですね。兎に角、ご無事でなりよりです」
私たちは賊の掃討の様子を見守ります。(続く)
0133走り出す名無し(東京都)
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2020/04/15(水) 23:32:11.52ID:5tzPvGyO0
一粒の米(その35)
後からやってきた道場生たちと丹生先生とで大捕り物が始まりまして、
賊たちは一人残らず捕らえられ、連絡を受けてやってきた警察の人たちに渡されました。
お父様とお母様は私の無事を確認すると、どういう経緯でこの屋敷が狙われたのかを知るため、警察に同行されます。
姉様はたいそうお疲れのようです。
無理もありません。夜を徹した後に、命の危険を顧みず、賊の尖兵を退治なさったのですから。
「姉様、もう心配することはありません。どうか、お帰りになって、お休みになってください。美玖も休みますので」
そう言って、別れます。
賊のほうはもう心配ありませんが、別のことが気になっています。
川が異常な増水するという幻視は昨日の確認でいったんは安心したのですが、何か胸騒ぎがしています。
誰かに相談しようかとも思ったのですが、賊騒ぎで皆さんお疲れのようなので、一人で堤を確認しに行くことに決めます。(続く)
0134走り出す名無し(東京都)
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2020/04/16(木) 22:11:33.00ID:wpUDitWk0
一粒の米(その36)
堤の上に登ると、対岸の小山が目に入ります。
土砂崩れを起こして保水力を失った斜面から濁流が川に入り込んでいます。
凄まじい光景ですが、それ以上に驚いたのが足元の光景です。堤の上部付近まで川が増水しています。
なぜ・・・・?
川沿いに台風が進み、川の全域に篠突く雨が降り注ぎ、上流からの水が時間差をおいて今やってきたとしか考えられません。
頑丈な堤が持ちこたえていて、ひと安心です。
下に降りて歩いて、何事もありませんようにと祈りながら確認します。
少し歩くと、目の高さ当たりで堤から水が漏れているのを見つけて、息を呑みます。
なぜ?まさか蟻が掘った穴から本当に水が漏れているというのでしょうか?
顔面蒼白となっている私をよそに、その穴から水に押され数匹の蟹が出てきました。
どうやら穴の下手人はこの蟹たちのようです。
川の水はその穴にどんどん浸み込んでいき、信じられないくらいの速さで穴は大きくなっていきます。(続く)
0135走り出す名無し(東京都)
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2020/04/17(金) 23:14:28.77ID:+UR0onv70
一粒の米(その37)
土嚢の代わりになるものがないかを私は探します。
台風で吹き飛ばされた木の枝が散乱しており、穴に差し込むために急いで数本を拾い上げます。
ところが、穴はすでに丸太の大きさくらいまで大きくなっています。
私は大声を上げて、助けを呼びますが、堤付近には人家も田畑もないので、それは届きません。
たいへんです!
このままにしていたら、浸み込んだ水が堤を決壊させ、大量の水が一気に襲い、収穫を迎えるこの集落の田畑が全滅します。
否、それだけではすみません。多くの人たちの命が奪われます。
そのとき、土嚢となるものがここにあることに気づき、私は覚悟を決めます。
堤の穴までよじ登り、私の体を差し込むと、ぴったり嵌まり、水の侵入を止め、穴が広がるのを防ぐことができました。
仰向けになった顔だけが堤の土の外に出ている状態です。
見えるのはどんよりとした曇り空です。
誰かが来てくれることを信じて、私は待ちます。(続く)
0136走り出す名無し(東京都)
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2020/04/20(月) 22:48:03.49ID:t6RaJPxL0
一粒の米(その38)
でも誰もやって来ません。
水に濡れた体が冷たくなり痙攣してきました。
体を動かすことはもうできないようです。
でも、これでいいのです。
自分の意思では体を抜くことはできないのだから、自分が助かりたい一心で、
集落の多くの人の命を犠牲にしてもかまわないという邪な気持ちが起らないからです。
私は覚悟を決めることができました。
その限りにおいては明鏡止水の心境であります。
私はもうすぐ死ぬでしょう。
誰にも届かないことはわかっていますが、今生の暇乞いをしておきましょう。
お父様、お母様、先立つ不孝をお許しください。
でもどうか悲しまないでください。
金村の集落を救ったことは喜んでくださいませ。
よくやったとお褒めくださいませ。
美玖は立派なことを成し遂げたと誇りに思ってくださいませ。
明里姉様、久しぶりにお会いできたことは幸せでした。
どうか美玖の分まで長生きしてくださいませ。
私はこの堤の土となり、この集落をいつもここから見守ることにいたします。(続く)
0137走り出す名無し(東京都)
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2020/04/20(月) 22:50:09.30ID:t6RaJPxL0
一粒の米(その39)
ああ、鉛色の重苦しい雲しか見えません。
せめて末期には輝く光を見とうございます。
おお!雲の裂け目からお天道様の光が!
まるであれが世界の裂け目で、そこから異世界の光が漏れているかのよう。
誰もいるはずはないのに何かの眼差しを感じます。
誰ですか、この私を見ている者は?
覗き見されているというのではなく、大きな視界の中に私がいるかのような。
慈愛の気配でもなく、邪悪の気配でもなく、ただ冷静透徹に私を見つめているかのようです。
天主様がご照覧してくださっているのですか?
もしそうなら美玖の願いを聞いていただけませぬか?
お父様やお母様や明里姉様や集落の人々の愛情いっぱいに美玖は生きてまいりました。
その限りにおいては、人よりも何倍も何十倍も美玖は幸せでございました。
ですが、天主様、心残りが二つほど美玖にはあるのです。
一つは、人類の叡智の結晶である学問というものをもう少し知りとうございます。
我儘ついでにお願いすれば、今ではなく百年後の学問を知りとうございます。(続く)
0138走り出す名無し(東京都)
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2020/04/20(月) 22:54:42.97ID:t6RaJPxL0
一粒の米(その40)
もう一つは、お父様やお母様や明里姉様を愛することは知悉していますが、殿方を愛するということはついに分からずじまいです。
誰一人、今まで美玖の心をわずかでも捉えてくださった御仁はお会いできませんでした。
美玖の理想とするお方と会わせてくれませぬか?
もうすぐ死にいく身ですから、現実の中でとは申しません。
白日夢の中でかまいませぬ。
「チッチッチ」と聞こえるあの鳴き声はなんぞ?
おお!私の目の前に現れたのは、小さな隼に襲われていたあのときの小鳥!
襲われ怪我をして全身が血で真っ赤に染まっていたと思っていたのですが、その赤い色がもともとの御前の色なのですね。
「くれなゐ」の情熱の色をした小鳥よ、天主様が私のお願いを叶えてくださったときには、
まだ見ぬ愛しい人を私のところに御前が導いてくれませぬか?

ああ、今、私は百年後の世界にいます。
谷間にある緑色の屋根瓦と黄色の壁のお洒落なお家に一人で住んでいます。
赤い小鳥に導かれてあの人がやって来ます。
明里姉様の教えを実行します。
夜明け前の空に平家星をあの人と一緒に見ます。

天主様、ありがとうございます。
数か月にもおよぶことを一瞬の間で体験させてくださったのですね。
しかも、それは永遠のようです。
私の願望がすべて叶えられ、現実のように生き生きとしていました。
もう思い残すことはありません。
今の私が百年後の私を夢見ているのか、百年後の私が今の私を夢見ているのかを混乱していますが、・・・・・・・・・・(了)
0139走り出す名無し(東京都)
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2020/04/20(月) 22:55:25.94ID:t6RaJPxL0
>>20のリンク先に続く。
0140走り出す名無し(東京都)
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2020/04/22(水) 22:28:13.64ID:QMI1i5qc0
幻想的な雰囲気を醸し出すため、「ハーツ」では設定をあえて曖昧にしていたので、
それに関連させた物語を作ることができるのではないかと思い立ったのが「一粒の米」を書く切っ掛けである。
アインシュタインが一般相対性理論を発表したのは1916年であることは覚えていて、「ハーツ」ではそれに触れていたので、
100年前に時間をずらすことから始めたが、1919年が含まれる大正時代には全く興味を持っていない。
そこで、普段は殆どやらないNET検索を今回は多用した。
「堤防」「女学校」「女子大学校」「剣術」「真珠麿」「化粧品」などの物語の中に描いていたものと「大正時代」との複数単語で検索した。
0141走り出す名無し(東京都)
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2020/04/22(水) 22:34:30.10ID:QMI1i5qc0
物語と歴史的な背景とに矛盾がでないようにあらかじめ年表をつくった。

1892年(明治25年) 風月堂が真珠麿を発売
1899年(明治32年) 土井晩翠が詩集『天地有情』を発表
1901年(明治34年) 与謝野晶子が処女歌集『みだれ髪』を発表
1901年(明治34年) 日本初の女子高等教育機関である日本女子大学校が開校
1905年(明治38年) アインシュタインが特殊相対性理論を発表
1906年(明治39年) 明治屋が外国産のブランド紅茶を初めて販売
1916年(大正5年) アインシュタインが一般相対性理論を発表
1917年(大正6年) 資生堂が七色粉白粉を発売
1918年(大正7年) 米騒動
1918年(大正7年) 現在の行田市区域(北埼玉郡忍町・長野村・持田村・下忍村)を営業区域としている行田電灯の電灯家数が大幅に増え1万灯(戸)となる
1919年(大正8年) この物語の舞台となる年で、主人公の金村美玖は16歳

※正岡子規の「真砂なす・・・」の歌がいつつくられたのかは分からなかった。
子規が亡くなったのは明治時代だから、この物語の中に取り入れても矛盾は起こらないとは思う。
0142走り出す名無し(東京都)
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2020/04/25(土) 21:13:44.87ID:6WSFFbb60
大正時代にカタカナ表記が使われなかったとも思わないが、古い雰囲気を出すためできるだけ避けた、
また、「チョウゲンボウ」「オリオン座」「ベテルギウス」と表記しないことで「ハーツ」との関連を中盤までは想起させないようにした。
以下に記したように辞書で調べるまで知らなかったものもある。

耶蘇教 キリスト教 これは割とよく知られていると思う。
混凝土 コンクリート 辞書で調べた。
懸想文 ラブレター 前にも挙げた「死者の書」で覚えていた。「恋文」では安っぽく、「艶書」だと官能的な響きがあるので避けた。
独逸 ドイツ これは知らない人はいないと思うが、一応挙げておく。
糞隼 チョウゲンボウ 以前に見た鳥類図鑑で覚えていた。NETでは「馬糞鷹」という別名があることは書かれている。
(「長元坊」と漢字でも書けるが、上の理由で避けた。)
洋卓 テーブル 「食卓」はむろん知っていたが、ちょっと違うなと思って、辞書で調べた。
仮漆 ニス 辞書で調べた。
真珠麿 マシュマロ 「東大王」で知った。読みなら簡単に類推できるが、漢字での書き取りは知らないと難しい。
鼓星 オリオン座 中国での名称は「産宿」。
平家星 ベテルギウス 源氏星はリゲルのことである。
0143走り出す名無し(東京都)
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2020/04/25(土) 21:18:41.70ID:6WSFFbb60
星の日本での古名も中国の二十八宿もほぼ知っていると思っていたが、ちょっと前までシリウスの日本での古名を「天狼星」だと勘違いしていた。
実は、「エル・エステ」で、投稿する前まで「天狼星」と書いていた。
念のため、直前でNET検索したら、「天狼星」は中国での呼び名であることを知った。
検索すると、シリウスの日本での古名はいくつかあったが、一番メジャーそうな「青星」を用いた。
0144走り出す名無し(東京都)
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2020/04/30(木) 22:11:40.11ID:tQVEokv20
「ハーツ」に関連させるように書いたので、全体的には自家製だが、部分的には参照としたものがいくつかある。

(その20)の「口蓋にそれが触れた瞬間・・・」から(その21)の「・・・愉悦をもたらしてくれます」までは、
マルセル・プルースト「失われた時を求めて」を参照とした。
読んだことがなくても知っている人も多いだろうが、あまりにも有名なマドレーヌのところだ。
用いたテキストは集英社の鈴木道彦・編訳の「失われた時を求めて」の上巻のP48からP54の箇所である。
状況設定などはこの物語に合わせて改変したが、参照というよりは露骨にパクったと言ったほうがいいかもしれない。
0145走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/04/30(木) 22:16:57.88ID:tQVEokv20
甦った記憶が広がっていく様子を水中花に譬えたところも剽窃しているが、
プルーストは「水中花」という言葉は使っておらず、「日本人の遊び」と記している。
NET検索して、プルーストが意図しているものが水中花という名称であることを知った。
そう聴いたなら、「水中花」とは水の中に入れた造花のことだぞ!と多くの人が突っ込みを入れると思う。
だが、「水中花」というのは最初はプルーストが意図していたようなものであって、
水中の造花を指すようになったのは後年のことであるようだ。
0146走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/04/30(木) 22:21:39.86ID:tQVEokv20
(その20)を書く少し前、「失われた時を求めて」が近くの古本屋で上下巻合わせて200円で売っていて、
買って読んだら、最初の方でマドレーヌの話が出ていたので、早速取り入れてみた。

発行年を見ると30年弱前のものだが、定価が1冊3200円だから紙質もよくて、あまり古びていない。
安い買い物だった。
全編ではなく、1/5を抜粋してあるようだが、それでも上下巻で1100ページもある。
おまけにかなり読みにくく、完読するにはそうとう骨が折れそうだ。
0147走り出す名無し(千葉県)
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2020/05/02(土) 12:13:11.95ID:tbkiR2EE0
新型コロナ肺炎でSEXの回数が確実に増えました。
1日1回だったのが4回とかになったw
ほとんど毎朝昼夕晩に。
やっぱり家にいると体力が余ってるし、外出して発散も出来ないからみたい。
真夜中にヤッても通勤がなくなった分朝ゆっくりだから体力的にも余裕。
色々潤って調子良い。
0148走り出す名無し(東京都)
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2020/05/06(水) 22:15:44.81ID:ySFhf7iC0
(その29)の「初恋というのがなぜかくも人の心を・・・」から(その30)の「・・・愛しているという気持ちが強ければ強いほど気弱になるものなのです」までは、
ラクロ「危険な関係」を参照した。

その本は15年以上前に読んだきりで、記憶の中で改変され、この物語に当てはめるためにも改変しているが、
コアな部分は変わらないと思うので、読んだ人ならすぐに気づくと思う。
0149走り出す名無し(東京都)
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2020/05/06(水) 22:25:12.38ID:ySFhf7iC0
ラクロ「危険な関係」について簡単に紹介しておくと、男一人と女一人の二人を中心として物語は回る。
その二人以外にも主要となる人物は多いが、登場人物の手紙の中だけですべて物語は進行する。
手紙は巧みに組み合わされ、秩序だって物語は構成される。
これを読んだとき、作者は生粋の文学者ではないなと思った。
もちろん生粋の文学者でも論理的な人はいくらでもいるが、「危険な関係」は数学的な論理に裏打ちされていると直観した。
ぴったりと当てはまるものが思いつかないが、高校生が履修する「群数列」というものに譬えてみる。
ある項は一つの群の中で位置づけられ、軍は数列全体の中で位置づけられる。
それと同じように、出来事は一つの手紙の中の構成要素となっており、各手紙は物語全体の中の構成要素となっている。
ラクロは数学者でもあったということを読後に知って、直観は間違っていなかったことが分かった。
0150走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/05/06(水) 22:28:36.59ID:ySFhf7iC0
ただし、物語の内容は図式的でありきたりなものではなく、豊かな感受性と鋭い心理描写が随所に現れてかなり読みごたえがある。
恋愛小説および心理小説の金字塔として知られる「赤と黒」の作者スタンダールが「危険な関係」を最高に評価していることは知られている。
「危険な関係」があれほど論理的でなくても、その優れた心理描写だけでも「赤と黒」を上回っていると個人的には思う。
0151走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/05/06(水) 22:35:05.90ID:ySFhf7iC0
二人の主人公の男のほうはヴァルモンで、女のほうはメルトイユである。
どちらも邪悪な人間であるが、より悪質なのはメルトイユの方である。
ヴァルモンのほうは人間的な部分がまだ残っていて、たとえば物語の中にこういうエピソードがある。
自分を善良な人間に見せるため、恵まれない人間に施しをするが、
そのときの憐れみと情けの感情が自分の内部で意図せず顕現し、それによって心から涙を流したと手紙の中でメルトイユに吐露する場面がある。
これに対しメルトイユは人間的なものが完全に焼き尽くされていて、冷酷なまでに頭脳明晰なメルトイユにヴァルモンも操られる。
0152走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/05/06(水) 22:42:58.80ID:ySFhf7iC0
その二人の人格のずれが物語に奥行きと陰影を与えている。
メルトイユは自分を袖にした男の婚約の相手であるセシル(たしか16歳だったと思う)を陥れようとする。
ダンスニーとセシルを二人きりにさせることで、セシルが手を付けられて傷物にされるように工作する。
ところが、メルトイユの意に反し、若くて誠実な騎士ダンスニーは何もしない。
メルトイユは憤慨しながらヴァルモンに伝え、ヴァルモンが返した返事が、ここで引用した箇所である。
「危険な関係」の中で終始イニシアティブをとっているのはメルトイユだが、
そのときにだけはわずかにだが人間性が残っているバルモンが優位に立つ。
思春期のときに誰もが感じる瑞々しい見事な心理描写とともに、
メルトイユとバルモンの性格の違いも表現され、物語全体の中での二人の役割が暗示される。
0153走り出す名無し(千葉県)
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2020/05/06(水) 23:00:06.21ID:AiDFHov10
免疫つけないと!と思い最近はニンニク料理が多くなりました。
それに比例するように回数も増えてきてしまって、今日もニンニク料理頼むっていう言葉が合図になりました。
でも凄いですよ、にんにく。
0154走り出す名無し(東京都)
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2020/05/14(木) 22:50:19.44ID:yzvVmWo+0
(その25)の「天上の世界は想像を絶した彼方にあり、愛は理性では到達できない心の深奥にあり、美玖にはどちらも神秘です」という部分は、
ヴァレリー全集8巻 作家論に収められている「『パンセ』の一句を主題とする変奏曲」を参照とした。
かなり縮めた上で改変しているので、レファレンスした全文を挙げておく。

われわれが天空に見るものとわれわれが自らの奥深くに見出すものとは、ともにわれわれの行為の対象にはなりえない。
前者は感覚を絶した彼方にきらめき、後者は人間の表現力の及ばぬところに生きている。
その限りにおいて、われわれが最も遥かなものに向ける注意ともっとも内奥なものに向ける注意とのあいだには一種の関係が成立する。
両者はわれわれの期待の両極端のような者であって、互いに呼応する。
そして天空のうちにせよ、内心においてにせよ、何らかの決定的な新しいものを待ち望む点で共通している。
0155走り出す名無し(東京都)
垢版 |
2020/05/14(木) 22:55:00.65ID:yzvVmWo+0
ポール・ヴァレリーというと賢人というイメージを持っている人も多いと思う。
つまり、単に頭脳明晰というだけでなく、その頭の良さに人格も伴っているというように。
だが、この「『パンセ』の一句を主題とする変奏曲」の中ではエキセントリックにパスカルをディスりまくっている。
ヴァレリー全集8巻 作家論の中に同じく収められている「女性フェードルについて」では、
今の時代なら、人権派団体から徹底的に糾弾されそうなことも書いている。
どこか狂気じみたところを秘めていないと面白いものは書けないという気がしないでもない。
0156走り出す名無し(東京都)
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2020/05/22(金) 22:37:37.22ID:Oxizidk70
(その25)で挙げた土井晩翠というと知らないという人も多いと思うが、6年ほど前には名前すら俺も知らなかった。
以前にも取り上げた「天空の文学史 太陽・月・星」を読んで知った。
その本の中で、与謝野晶子の短歌とともに土井晩翠の「天地有情」が取り上げられている。

「天地有情」は青空文庫でも読める↓
https://www.aozora.gr.jp/cards/001081/files/42233_38066.html
原文には以下の三行目には括弧が付いている。

>かれにもしるき參宿の
>もなかにひかりかゞやきて
>(かたどる影は眞善美)
>三の星こそ並ぶなれ。
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