厨二病展開じゃなく、中二病そのものもテーマのひとつなんだよ
wikipediaの中二病の記事の、中二病を題材とした作品の項に加えて欲しいくらい見事だ
一を百にする物言いしか出来なかったフォスの承認要求は、出る杭打たれることに怖じけず、自己同一性の獲得を目指して、自分を鼓舞する為にシンシャに嘘をついてまで奮闘する
金剛の嘘と愛の装甲が原因で生じる仲間との軋轢に同一性拡散の危機に落ち、復讐者となる

話の凄いところは、フォスの死力を尽くして得たアイデンティティーも、既に確立されたように見えた金剛やルチルのそれも、
四苦(生老病死)八苦(略)の前に崩れ去るという、仏教の諦観が書かれているところ
フォスだけでなくボルツやダイヤも縁に触れキャラ変するのは諸行無常、諸法無我
月人は一切皆苦の境涯で涅槃寂聴を希求する

この作品のヤバイところは、どの入口からでも魅力に触れられ、すきな深度で読めて楽しめるところ
間口の広さと奥行きの深さが、まるで仏教のようだと思った