東京五輪予算が続々と「水素関連事業」に使われる謎

会計検査院が「関連施策」と位置づけた支出のなかには、
文部科学省の「ナショナルトレーニングセンターの拡充整備」、
環境省の「熱中症対策推進事業」など、五輪に直結することが誰の目にも明らかな事業もあるが、
詳しく見ていくと、「なぜこれが?」と気になる項目がいくつもある。

なかでも目立つのが、水素関連事業の多さである。
冒頭に紹介した「燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金」256億円をはじめ、
水素自動車の購入を支援する「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」695億円、
家庭向け燃料電池(エネファーム)を普及させるための「燃料電池の利用拡大に向けたエネファーム等導入支援事業費補助金」498億円など、
多額の支出が経産省からなされている。
その根拠となったのが、政府が2015年に作った東京五輪の基本方針である。

経産省関連ではそのほかにも、所管の国立研究開発法人・NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)へ
「水素利用技術研究開発事業」180億円、「水素社会構築技術開発事業」181億円などが拠出されている。
NEDOは経産省からの出向・出身者が理事に名を連ねる外郭団体だ。

「NEDOは民主党政権時代に事業仕分けで予算が大きく削られた。
そのため、東京五輪は予算を確保するいい大義名分になると思ったのではないか」