乗用車保有の考え崩す「完全自動運転」後の世界

https://toyokeizai.net/articles/-/316256

現在、自家用車の稼働率は極めて低く、1日の大部分の時間は駐車場に置かれたまま、使用されていません。
日本では自家用車の平均稼働率は、4.2%程度だといわれていますが、自家用車のロボタクシーへの転換が進めば、稼働率が大きく上昇します。
かつ買い替え頻度が現在と変わらないのであれば、自動車の生産台数が減る計算となります。

コンサルティングファームのPwCは、「自動車産業を転換する5つのトレンド」2018年5月)で、つぎのように予測しています。
ヨーロッパでは、車両保有台数は、現在の2億8000万台超から、2030年には2億台へと、25%減少する。
アメリカでも22%減少する。頻繁に買い替えられるため、新車販売台数はヨーロッパでは34%増加する。アメリカでは20%増加する。
しかし、仮にロボタクシーの普及が進めば、保有台数は14%に減る。また、新車販売台数が50%に減少する可能性がある。

携帯電話では、2000年代に同様の変化が起こりました。
スマートフォンへの移行が生じ、ハードウェアを作る携帯端末メーカーからOSを提供するソフトウェア企業へと主導権が移りました。
この結果、アップルとグーグルが業界をリードする企業となったのです。

自動車の自動運転の分野では、グーグルの子会社であるウェイモが、実験車の走行キロなどで、圧倒的にリードしています。
この状況を考えると、スマートフォンの場合と同様の変化が生じてもおかしくありません。

自動車を保有しなくなれば、駐車場の多くが不要になりかねません。
アメリカでは駐車場の海の中に建物があるようなところも多いので、土地利用に大きな影響があるはずです。
日本でも駐車場が占めている面積は無視できません。これが必要最小限になれば、地価に対して大きな下落圧力が働きます。

自動車が完全自動運転になれば、交通事故は8割以上減少するといわれます。
そうなると、交通警察は縮小を余儀なくされ、警察は、大量の余剰人員を抱えることになりかねません。
警察は、自動運転化によって最も大きな影響を受ける分野の一つなのです。