ホンダとスバル、なぜか競合しないSUVハイブリッド
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36118340U8A001C1000000/
ホンダとスバルの最大市場である北米で、CR-Vとフォレスターは真っ向勝負する。ホンダが国内でCR-Vを復活し、HEVモデルを投入すると知ったときにスバルは身構えた。
だがCR-Vの高い価格設定を聞いて、胸をなで下ろす。「なぜこんなに高くしたのか」と、スバルの技術者が思わず疑問を投げかけるほどだ。

ホンダはCR-Vの価格設定について、「安くないと思っている」(ホンダ執行役員で日本本部長の寺谷公良氏)と認める。
背景には国内の販売競争に勝つことよりも、小型SUV「ヴェゼル」の国内販売を守ることを重視したことがある。寺谷氏は「ヴェゼルよりも上級、高級を求めている人に妥当(な価格)」と主張し、ヴェゼルとのカニバリ(共食い)を避けた。

ホンダがヴェゼルを優先するのは、CR-Vに比べて国内販売における重要性が高いからだ。今や国内販売の約半分を軽自動車が占めるホンダだが、「登録車を増やしたい」(ホンダ幹部)のが本音である。
ヴェゼルは、国内で小型SUVのジャンルを切り拓いたパイオニアというホンダの自負もある。
最近は月販5000〜6000台に落ち着くが、長らく目標販売台数の2倍を超える同8000〜1万台で推移してきた「ヒット車」。ヴェゼルの販売を減らすのは、どうしても避けたかった。

一方でCR-Vの場合、北米で約46万台、中国で約18万台販売する海外向けの車両。国内で売れなくとも困らない。
英調査会社IHSマークィットの川野義昭氏は、「ヴェゼルに比べて、CR-Vの国内市場における重要性ははるかに低い」と指摘した。

IHSの予測によると、CR-Vの発売後1年となる19年9月までの販売台数は8500台にとどまる。月平均は700台強で、目標の1200台に届かない。