ユングと超心理学[編集]

ユングはその学位論文『いわゆるオカルト的現象の心理と病理』において、従妹ヘレーネ・プ
ライスヴェルクを「霊媒」として開かれた「交霊会」を扱ったこと(ただしこの論文では神秘的要
因ではなく精神の病理的状態に帰されている)、また錬金術や占星術、中国の易などに深くコ
ミットしたことにより、オカルト主義的な傾向を見て取られ、また新異教主義的な人々からその
預言者とみなされる傾向がある。これにはおそらく母方のプライスヴェルク家が霊能者の家系
として著名だった出自も影響していると思われる。また「集合的無意識」や「元型」などの一般
の生物学の知見とは相容れない概念を提起することによって、20世紀の科学から離脱して19
世紀の自然哲学に逆戻りしてしまったという批判がある。[28]。またフロイトもユングとまだ訣別
する前に、「オカルティズム」を拒絶するよう強く求めた[29]。

一方で、ユング自身は、夢に見られる元型に関して、遺伝に関連づけて言及していたくだりが
ある(『分析心理学』)。無意識に蓄えられている遺伝情報は莫大であり、人の心性がそれを
基礎にしているからには、その生み出すものも、その起源をはるか過去に遡ることができると
する解釈も可能であり、遺伝情報内の大量の経験データの中には、人に平均して訪れる体験
の体系も含まれていると考えた場合、元型の普遍性も説明できるであろう。また、そうした無
意識内容を生み出す傾向、というユングの説明の付与は、人間が普遍的な基盤に立脚しな
がらも、決して固定された構造ではなく(これが生物学的な本能にしばられた動物と違う点で
ある)、変化の可能性を秘めていることを示唆している。無意識と意識の調停作業はユングの
言う「個体化」に結実する。

ただし19世紀末から20世紀初頭の状況は、一方では精神医学を極めて機能主義的に捉える
ことのみが科学的であり「心の治癒」といったものを語ることは出来ないという流れがあった一
方で、アカデミズム以外でオカルティズムの大流行があったのみならず、ウィリアム・ジェーム
ズのような学者も心霊主義の実験に乗り出すなど、心の問題に関するアプローチは現在以上
に定まらないところもあった[30]。こうした問題に関してユングに批判的であったフロイトも、そ
もそも性理論を打ち立てるのはオカルトの「黒い奔流」に対する「堅固な城塞」を築かねばなら
ないからだという動機を口にしており[31]、こうした問題に必ずしも安定した姿勢で臨んだばか
りいたわけではなかった。またユング自身はきわめて厳格に学問的な方法論を意識して研究
を進めていたという主張もあり[32]、こうした点について決定的な評価を下すことはまだ難しい
といえる。

しかしながら、オカルトはユングの研究対象であったのか、それともユングの心理学そのもの
がオカルトであったのか、ということは、しばしば誤解を生んでおり、峻別しなければならない
問題であろう。

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