掌に乗る心臓のような匣(はこ)を選んだ場合

匣(はこ)開封の瞬間から、メリーは匣の中の異界(ミクロファンタジア)へと飲まれていく。
博麗の巫女も人里の人間達も絶え、廃墟ばかりが残された22世紀の幻想郷に立ったメリーは、
自分を「紫さま」と呼ぶ九尾の狐と出会い、ごく自然に自分のことを「紫さま」だと知覚し、
荒涼とした枯野を歩く「夢」を見る。九尾の狐(らんさま)は、そんなメリーをじっと観察する。
こうした「夢」を繰り返し見るうち、メリーは次第に時間的感覚や自己同一性を失い始める。

しかしある時、「夢」の中でらんさまは唐突に「貴方は紫さまではなくハーン様です」と告げる。
恐らく観察が終了したのだろう。自らの本当の名前をはじめて「夢」の中で呼ばれたメリーは、
自分が紫さまなどではなく、クレイジーサイコレズ女子大生メリーであることを思い出した。

メリーは、自分が匣(はこ)を開けたその瞬間からずっと、匣(はこ)の向こうに潜んでいた
凶悪なものに取りつかれていたことを悟る。その凶悪(もうハッキリ言うけどゆかりん)は、
メリーを「食う」ために、自分の「内側」にメリーを捕獲し、身を伏せていたのである。こわい。

なぜ「藍に観察させること」をトリガーにしたのかは定かではないが、恐らくメリーの精神を
完全に捕縛し、逃げられなくした上で捕食するのに必要な儀式だったのだと思われる。
不確定性理論に実証に「観察者」の存在は絶対不可欠要件らしいので、その辺が絡むのだろう。
事態に気づいた時、メリーには逃げ道なんぞもう1ミリもなかった。これだけ用意周到に獲物を
狩るゆかりんの前では、メリーの「境界を見る程度の能力」は勿論、数多のエロ同人界等で奇跡
を起こしてきた蓮メリスーパーレズパワーすらも全く刃が立つわけがなかった。
「命からがら、幻想郷という「夢」から逃げ出し戻って来た現実という名のゆかりんの作った夢」
の中で、蓮子の姿に化けたゆかりんに再度つかまったメリーは、ここであえなくジ・エンド

最期の力とレズパワーで「片腕だけは」蓮子の待つ「本当の現実」へと辿りつくも、後の部分は
すっぽりとゆかりんの胃袋に収まることとなったのであった。ガチでこわい