衆院議院運営委員会は8日午後、安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)を巡る閉会中審査を行った。岸田首相は、安倍氏が歴代最長の8年8か月にわたって首相を務めたことなどを理由に国葬実施を決めたと説明し、理解を求めた。国葬について首相が国会で説明したのは初めて。衆院に続いて、参院議運委でも審査が行われる。

首相は委員会の冒頭、国葬実施の理由として〈1〉歴代最長の政権を担った〈2〉多くの業績を残した〈3〉諸外国が弔意を示している〈4〉安倍氏が選挙運動中に銃撃されたことから、国として民主主義を守る姿勢を示す必要がある――の4点を挙げ、「各国で国全体を巻き込んでの敬意と弔意が表明されていることなどを踏まえ、国葬を執り行うことが適切であると判断した」と述べた。

来日する要人との会談を通じ、「安倍氏が培われた外交的遺産を我が国として受け継ぎ、発展させるという意志を内外に示していく」とも語った。

 松野官房長官は「厳粛かつ心のこもった葬儀となるよう準備する」と語り、各党にも協力を求めた。

 委員会に先立ち、松野氏は8日午前の記者会見で、来日する外国要人について、現時点で米国のハリス副大統領、豪州のアンソニー・アルバニージー首相、欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)が参列の予定だと明らかにした。

 野党は立憲民主党の泉代表らが質問に立った。法的根拠や費用見積もりの妥当性などを追及する。立民は国葬を「内閣葬」に変更するよう求めているほか、安倍氏と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関係も追及している。

 政府は国葬実施を7月22日に閣議決定した。国の儀式として、今月27日に東京・日本武道館で行われる。首相など三権の長のほか、「友人代表」として菅前首相が追悼の辞を述べる。参列者は皇族や国会議員、海外の要人ら約6000人を想定している。概算費用の総額は警備費や接遇費などを含めて計約16億6000万円と見込んでいる。

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