2016年の参院選で「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の友好団体から支援を受けた自民党の前参院議員の宮島喜文氏(71)が朝日新聞の取材に応じ、その経緯や支援の実態を語った。今夏の参院選前にかわした安倍晋三元首相とのやりとりの内容も証言した。そこから浮かぶのは、選挙を通じた自民と教団側との深い結びつきだ。

 安倍氏の銃撃事件の後、宮島氏は複数回にわたって取材に応じた。宮島氏の陣営の複数の幹部らも別に取材に応じた。

 宮島氏は、12年から日本臨床衛生検査技師会(日臨技、東京都)の会長を務め、16年の参院選比例区で初当選。改選を迎えた今夏の参院選では教団側からの支持が得られなかったことなどを理由に、すでに得ていた党の公認を辞退して立候補を取りやめた。

 16年参院選への立候補は、伊達忠一・元参院議長(83)から「選挙の1年ほど前に打診を受けた」ことがきっかけだった。伊達氏は臨床検査技師出身で、当時の役職は参院幹事長。派閥は清和会(現安倍派)に所属していた。

 宮島氏の陣営は当時、日臨技の政治団体とほかの関連団体などで、計10万票を得たいと思っていた。自民が比例で18議席を得た13年の参院選では、自民の比例候補の当選ラインは7万7千票、12議席だった10年は10万8千票だった。この10年参院選では、12番目に滑り込んだのが臨床検査技師出身の候補だった。

 「正直、当選できる自信はなかった」。宮島氏はそう振り返る。当選を確かなものにするために、さらなる上積みが必要だった。そこで加わったのが、教団側からの支援だったという。

 宮島氏は公示の直前に伊達氏から「党の支援団体の票をもらってきたと言われた」。団体名は「世界平和連合」と聞いた。陣営幹部から旧統一教会と関係があると教えられ、戸惑ったという。平和連合は教団の友好団体。陣営幹部は宮島氏に「上がつけてくれた団体ですから、もうあとには引けません」と進言した。

 宮島氏は伊達氏の指示で都内の関連施設で平和連合幹部にあいさつしたという。宮島氏らは「教団側の支援が公になると危うい」と考え、「一部の陣営幹部のみが知るトップシークレット」と位置づけた。宮島氏は陣営幹部から「外でおおっぴらに言っちゃいけません」と忠告された。

陣営幹部「教団票は6万~7万票あったと思う」

 宮島氏自身は、選挙で平和連…

朝日新聞
2022/8/20 5:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ8M77PRQ8LUTFK011.html