7月の参院選で自民党は、全国に32ある改選数1の「1人区」のうち28選挙区を制し、大勝へとつなげた。野党候補の一本化が一部にとどまったことが背景にあるが、仮に全32選挙区で野党の「共闘」が実現していたら、結果は大きく変わっていたのだろうか。共闘の効果とは。

 自民は今回の参院選で、改選55議席を大きく上回る63議席を獲得した。だが内訳を見ると、比例代表は2019年の前回選から1議席減らし、得票率も約1ポイント減少している。大勝を支えたのは45議席を獲得した選挙区で、なかでも、前回選22勝だった1人区で28勝と大きく伸ばしたことが大きい。

一本化しても逆転は2選挙区
 1人区を巡っては、野党の足並みの乱れが自民大勝に直結したとみられる。前回選では旧立憲民主、旧国民民主、共産、社民の4党を含む野党5党派が全ての1人区で候補者の一本化を実現。ところが今回は、立憲と共産の公認候補だけでも10選挙区で競合し、与党と政策協議を続ける国民民主が一部の選挙区で選挙協力に応じないなど、野党間の選挙協力は限定的に終わった。

 8月に入って野党各党が公表した参院選総括では、この点を「敗因」と分析するケースが相次いだ。立憲は「野党間での候補者調整の遅れ」を議席減の理由の一つに挙げ、共産は「野党共闘の後退」を敗因の一つとして強調している。

 では、仮に4党の公認または支援する候補の一本化が実現していた場合、どんな結果になったのだろうか。

 32選挙区の結果から試算すると、秋田と福井の2選挙区で勝敗が逆転する結果となった。秋田選挙区では、立憲系、国民民主系の無所属候補2人と共産候補の計3人の得票を足すと、当選した自民候補を上回った。福井選挙区でも、立憲県連代表などを務めた無所属候補と共産候補の得票を合わせると「当選者」が入れ替わる。前回並みの一本化が実現していれば、野党は6勝26敗となる。

https://mainichi.jp/articles/20220810/k00/00m/010/312000c