2009年に「コンプライアンス宣言」を行い、信者たちが法令を遵守し、公序良俗に反する行いが無いように教団が責任を持って指導する姿勢を打ち出した統一教会(現・世界平和統一家庭連合)。しかし、それ以降も変わらず多額の献金を集めていたことが、元「週刊文春」記者でフリーライターの石井謙一郎氏が入手した内部資料によってわかった。

 ここに掲載するのは、2012年1月5日に開かれた、統一教会の「全国責任者会議」で配られた「復興局報告」と題する資料の一部である。

 表紙を除いて15ページあるこの資料は、2009年から2011年までの日本人信者の献金の報告だ。作成したのは統一教会の復興局という部署。統一教会において復興とは、献金を意味する。以下、詳しく解説していこう。

目標を達成した教会がいくつあったかを示したランキング
 表(1)は、2011年末における地区別献金のランキングだ。この頃、統一教会の組織は、北海道から九州まで12の地区(JK)に分けられ、その下に64の教区(KYK)があり、287の教会(CH)があった。

 左側の表でランキングされているB%とは、地区や教区から本部へ送金される金額の目標に対する達成率。1位になっている第10地区は、四国のことで、最下位の第9地区は京阪神だ。

 一番右は、目標の100%以上を達成した教会が、地区ごとにいくつあったかを示している。企業が、営業所のセールス実績を競わせているようにも見える

 表(2)は2009年から2011年にかけての、年度ごとの献金額と支出の内訳を比較している。「年度別TD推移」の「TD」とは「Thanks Donation=感謝献金」の略だ。なお、以下に記す金額は、表内の2011年のものである。

「コンプライアンス宣言」以後の3年間にも、約600億円ずつの献金を集めていた
 まず、左上の表は信者からの集金の内訳だ。

・TD in――感謝献金。498億円。

・KI――個人や金融機関からの「借り入れ」を示す。目標額の献金ができない場合、信者は借り入れをしてノルマを果たすことがある。32億円。

・1/10 収入の10%の献金で、31億円。

 TD、KI、1/10、その他を合計した額がDで、集金の総額を示す。2011年の総額は、実に594億円に達している。

 一方、左下の表は支出の内訳だ。

・KH――「経費」。人件費を含む運営費のこと。196億円。

・HS――上の表の借り入れに対する「返済」。105億円。「KI」に対する比率の高さから、多額の借金を抱えていることがわかる。

・HK――法的な問題が生じて支払った「返金」。訴訟や、弁護士からの返金請求に応じて払った額で、21億円。

 以上の3つや、他の支出を除いた金額が、左下の表のTDで、本部へ送られる金額を示す。295億円。

 右側の棒グラフは各年の合計額で、折れ線グラフは比率の推移を表している。

 以上を読み解くと、2009年の「コンプライアンス宣言」以後の3年間にも、約600億円ずつの献金を集めていたことがわかる。

2に続く

文春オンライン
8/9(火) 16:12
https://news.yahoo.co.jp/articles/c06d5bb91854f4712919c79e6299784d4c884a60