安倍晋三・元首相が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)が調べに対し、昨年秋頃に安倍氏の殺害を決め、自宅で武器を作り始めたと供述していることが捜査関係者への取材でわかった。「最初は爆弾を作ろうとしたが、ピンポイントで殺せる銃にし、今年春頃に完成させた」と話しており、奈良県警が裏付けを進める。

 捜査関係者によると、山上容疑者は特定の宗教団体の名前を挙げて「絶対成敗しないといけないと恨んでいた」と説明。母親が遅くとも2000年頃から信者で、多額の献金をして破産し、自分の生活も苦しくなったことから、昨年夏には団体トップの殺害を考えるようになったという。

 昨年9月には、団体の代表らが設立した民間活動団体(NGO)の集会で安倍氏のビデオメッセージが流れる動画がインターネット上に投稿された。

 山上容疑者は「トップとの接触は難しく、動画を見て安倍氏と団体につながりがあると思い、絶対に殺さなければいけないと確信した」と供述。当初は爆弾を作ろうとしたが、標的を絞りやすい銃に変えたといい、「爆弾は関係がない人まで死ぬからやめた」とも述べている。

 現場からは、散弾銃のような構造の手製銃が押収されたほか、自宅から似た構造の手製銃が数丁見つかった。山上容疑者は動画投稿サイト「ユーチューブ」を見て作り方を調べたほか、材料もネットで購入し、今年春頃に手製銃を完成させたという。

 山上容疑者は8日午前11時半頃、近鉄大和西大寺駅前の路上で安倍氏を銃撃した殺人未遂容疑で現行犯逮捕され、10日に殺人容疑で送検されている。

読売新聞
2022/07/11 16:44
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220711-OYT1T50268/