異例の外遊ラッシュの狙いは、姑息な選挙対策だ。

 シンガポールで開催された「アジア安全保障会議」に、10日から11日にかけ現地滞在時間20時間という慌ただしい日程で出席した岸田首相。12日は地元・広島入りし、自身の首相就任を祝う会に参加した。
 13日から15日の閉会日まで、参院決算委員会など国会日程が入っているが、22日に予定される参院選公示後は、また外遊だ。ドイツで開催されるG7サミット(26~28日)に続き、スペインで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(29~30日)にも出席する方向で調整中だという。

 総理総裁は、参院選期間中、全国の候補者の応援に入るのが通常。外遊予定ばかり入れる岸田首相の対応は異例だ。

「ウクライナ戦争が続く中、プーチン大統領が忌み嫌うNATOの首脳会合に、加盟国でもない日本の首相が出席することに、岸田総理本人も躊躇していた。ところが、タカ派の高市政調会長に『(参院選向けに)露出できる』と進言されると、急に前向きになったそうです。安倍政権下で4年8カ月にわたり外相を務めましたから、『外交の岸田』をアピールする狙いもあるのでしょう。いずれにせよ、参院選では『国内遊説より外遊の方が効果アリ』と考えたようです」(官邸事情通)

いつ火がついてもおかしくない

 存在感の薄い野党なら国内で“がっぷり四つ”に向き合う必要はないと判断した面もあったのかもしれない。しかし真の狙いは別にありそうだ。

「ニュースになりやすい外遊を重ねることで、国内のスキャンダルから国民の目をそらさせる狙いがあるのでしょう。目下、岸田首相にとって一番の“急所”は自派閥所属の吉川赳衆院議員が、18歳女子学生に飲酒させた“パパ活”疑惑です。今のところ、離党で済まされていますが、SNSでは『議員辞職が妥当だ』といった声が上がっている。さらに細田衆院議長のセクハラ疑惑もくすぶったままで、安倍元首相の『桜』新疑惑も継続中。3人ともロクに説明していませんから、いつ火がついてもおかしくない。岸田さんは、これらの問題に注目がいかないよう、あえて派手な外遊を優先したとみられています」(永田町関係者)

 これで外交がパッとしなければ、目も当てられない。

日刊ゲンダイ
22/06/13 13:20
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