「維新はウチらをナメとるわ」──。京都の有権者があきれている。日本維新の会が参院選の公示ギリギリのタイミングで、広島選挙区から公認候補の擁立を発表した。

 出馬を表明したのは京都市議の森川央氏(46)。10日に広島県庁で会見し、馬場伸幸・共同代表と空本誠喜・県幹事長が同席する中、「地方政治の経験を生かしたい」と意気込みを語った。この光景に多くの京都市民はア然だ。

というのも、京都市議会で森川氏が得た「経験」がロクでもないからだ。2020年6月に事務所の照明工事費を政務活動費に二重計上していたことが発覚し、所属していた維新を離党。市議会から問責決議に続き、全会一致で辞職勧告決議が可決された。2つの決議を受けた京都市議は史上初という不名誉な記録を持つスネ傷の身である。

2年前には「議員を辞めろ」と勧告

「辞職勧告後も2年近くズルズルと市議を続け、今月9日に辞職願を提出したら、翌日には広島で出馬会見ですからねえ。辞職勧告には維新会派も賛成しました。2年前には『議員を辞めろ』と突き付けた相手に、今度は『広島から議員を目指せ』と公認を与えるなんてホンマ、何を考えているんか分かりません」(京都政界関係者)

 なぜ、維新はこんな人物を公認するのか。幹部周辺に聞いても「公認候補予定者の選考過程はお話できない」と答えるのみ。維新の参院選は全国比例区が主戦場だ。野党第1党を目指す上で政令指定都市の広島に候補を立て、比例票を掘り起こしたいのだろうが、ヒドい人選は裏目。「最最最最重点選挙区」(藤田文武幹事長)と語る京都の戦いに跳ね返っている。

 2人区の京都は自民に次ぐ2位の座を維新新人の楠井祐子氏と立憲現職の福山哲郎・前幹事長が公示前から激しく争っている。すでに福山氏は12日のミニ集会で維新のスネ傷市議の擁立にロックオン。「広島やったら(過去の不祥事が)バレへんと思ったんですかね」と批判を強めている。

 広島でスネ傷市議を公認し、重点区・京都の反感を買えば、維新はホンマのアホ政党だ。

日刊ゲンダイ
22/06/14 13:20
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