岸田政権が、立憲民主党による「岸田インフレ」の連呼に神経をとがらせている。第二次安倍政権以来の金融政策を見直さないために円安と物価高騰を招いているとして、「無策」ぶりのアピールに照準を合わせているためだ。家計負担増への不満と結び付けば参院選に影響しかねず、政権側は「印象操作だ」(首相官邸筋)と沈静化に懸命となっている。
 「世界中の物価高騰を引き起こしているのは、間違いなくロシアによるウクライナ侵略だ」。岸田文雄首相は五日、訪問先の福島県郡山市で自民党支持者らに語りかけた。同じ日、千葉県内で街頭に立った立民の泉健太代表は「岸田インフレ」に触れて「ここからさらに物価が上がるのは明白だ。政府、日銀は国民生活を考えず、円安を放置している」と訴えた。
 首相の名を冠した表現が登場したのは五月三十日の参院予算委員会だ。立民の小西洋之氏が、安倍政権の経済政策「アベノミクス」から続く異次元の金融緩和によって円安が進み、輸入物価が上昇して「異次元の物価高騰」が起きていると指摘。「岸田インフレとも言うべき失策だ」と断じた。
 六月一日には泉氏が衆院予算委で、政府の二〇二二年度補正予算では食材の高騰に対応でき...

中日新聞
2022年6月7日 05時05分
https://www.chunichi.co.jp/article/484696