政府は17日の閣議で、敵基地攻撃能力に関し、他国を武力で守る集団的自衛権としても行使は可能だとする答弁書を決定した。岸田文雄首相はこれまでの国会審議で、自国への攻撃がない場合の反撃も認める憲法解釈を示し、「わが国の武力行使はその原則に基づいて対応する」と述べていた。
 立憲民主党の長妻昭衆院議員は質問主意書で、政府が敵基地攻撃を可能とする「誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる」事態について、「攻撃が密接に関係する他国へのものであっても可能となるのか」とただした。これに対し、答弁書は「限定的な集団的自衛権の行使も含め、3要件の下で行われる自衛の措置としての武力の行使にもそのまま当てはまる」とした。
 これに関連し、岸信夫防衛相は同日の参院外交防衛委員会で、敵基地攻撃能力の保有検討について「今後とも日米の基本的な役割分担を変更しないことを前提に議論していく」と述べ、米国の打撃力に依存した防衛体制を維持すると主張した。立民の小西洋之氏は「役割分担を変えずに実装は可能なのか」と、政府の説明に疑問を示した。(川田篤志)

東京新聞
2022年5月17日 18時35分
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