新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を今月20日で解除した場合、ワクチン接種が進んでいても東京では流行が再拡大し、8月に再び緊急事態宣言が避けられない恐れがあるとの試算を、京都大の西浦博教授(感染症疫学)らのチームがまとめた。9日、開かれた厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織の会合で報告した。

 東京五輪・パラリンピック開催による影響は考慮していないが、専門家組織の脇田隆字座長は記者会見で「五輪やパラリンピックがあればさらに増加に向ける要素になっていくと思う」と述べた。
 チームは大阪の流行「第4波」と同様の拡大が起こるとし、7月末の高齢者のワクチン接種率を60〜90%に分けて試算した。
 試算結果によると、宣言解除後、重症者数は再び増え始め、接種率がいずれの場合にも8月上旬には重症者用の病床使用率が70%を超え、宣言が避けられない状態になった。
 重症者は40〜50代が中心と考えられ、流行の規模はこれまでよりも大きくなる恐れがある。重症者用の病床使用率が30%を下回り、解除の見通しが出てくるのは11月上旬とみられ、宣言が必要な期間は2カ月以上になる可能性がある。(共同)

東京新聞
2021年6月9日 21時40分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/109697