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ショックから立ち直れない文在寅

写真:現代ビジネス

 4月7日に行われた、ソウル・釜山の市長補欠選挙は与党「共に民主党」のソウル・朴映宣(パク・ヨンソン)候補と釜山・金栄春(キム・ヨンジュン)候補の予想を超える大敗となり、青瓦台、民主党はいずれもそのショックから立ち直れない状況が続きそうな雲行きである。

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 当面、文在寅氏の政府・与党の対応は、内閣改造と党執行部の総退陣のようであるが、国民の信頼を回復させるための妙案はない。政権としても経済の活性化と腐敗の撲滅が焦眉の急だと認識したようであるが、具体的にはこれまでの政策をより効果的・かつ速やかに実施するというくらいしか対案はなく、当面は現実を無視した北朝鮮との関係修復を模索する状態が続きそうである。

 文大統領は、姜ミン碩(カン・ミンソク)青瓦台報道官を通じ、「国民の叱責を厳重に受け止める」「より低い姿勢で、より重い責任感で国政に臨む」とのコメントを出した。そのコメントは、100字を超える程度の短いものであった。与党が圧勝した昨年4月15日の総選挙の翌日には500字を超えるコメントを発表し、「偉大な国民の選択」「真の民心」と述べ謝意を表していた。

 いかなる失政があっても滅多に謝罪しない文大統領としては、このコメントの内容は大きなショックを受けたことを物語るものであろう。

 不動産に関しても「積弊」という表現は使わず「腐敗」という単語を使い、多少は反省の色も出していた。
「謙虚な姿勢」が欠けていた、と…

 与野候補の支持率の推移から、選挙運動の終盤時点で青瓦台はある程度敗北を予想していたと思われ、「今回負けることが来年の大統領選挙に役立つ」と強がりを言う幹部もいた。さらに政務首席秘書官室を中心に選挙敗北を前提として「不動産など主要政策課題を推進する方案を模索してきた」という。しかし、予想外の敗北で、「今回は何をしても容易でない」との悲観論も飛び交っているようである。

 国政の運営基調に変化があるのか問われ、青瓦台の幹部は「今回の選挙を通じて現れた国民の切実な要求を実現するための努力は揺れずに続くだろう」「必ず挑戦課題を克服する」と述べたが、ここから国政の大きな変化は見通せない。

 民主党では7日の選挙当日の午後10時に緊急最高委員会議を招集し、指導部の辞職と範囲、次期指導体制などの刷新案を巡り激しい討論をしたという。民主党内部では「党が主導したネガティブキャンペーンがむしろ政権審判論に火をつける格好になった」(重鎮議員)といった批判が出ていた。専門家の間でも民主党に「謙虚な姿勢」が欠けたことが一層大きな敗北となる結果を招いたとの反省がある。

 そして4月8日午前国会で非公式オンライン議員総会を開催、「責任を痛感する」として、指導部が総辞職することを決定した。しかし、5月に予定される全党大会の日程繰り上げ、非常対策委員会転換など今後の方向性は何も出せない状態が続いている。

 民主党が行った最大の失敗はネロナンブルの先頭に立ったことであろう。
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(略)