【ワシントン＝金杉貴雄】米大統領選で勝利した民主党のジョー・バイデン氏（78）が２０日正午（日本時間２１日午前２時）、首都ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓し、第４６代大統領に就任した。就任演説で「米国を一つにまとめ、国民を結束させることに全霊を捧げる」と表明。最優先課題となる新型コロナウイルスへの対応や経済回復を誓い、国際協調主義への回帰をうたった。

　カマラ・ハリス氏（56）も就任宣誓し、女性、黒人、アジア系として米史上初の副大統領となった。
　バイデン氏は演説で、６日に発生した連邦議会襲撃事件に言及し、「われわれは民主主義が貴重で壊れやすいことを再び学んだが、民主主義は今、勝利した」と宣言。「分断は深く本物だが、私たちは尊厳と敬意をもって互いに接することができる」と国民に融和を呼び掛けた。
　白人至上主義や過激主義に立ち向かわなければならないと訴え「怒りや恨み、憎しみと戦うために結束しよう。われわれがともに行動した時、米国が失敗したことは一度もない」と強調。「私は全ての国民の大統領になる」と誓った。
　国内の死者が４０万人を突破した新型コロナについて「第２次大戦で米国が失ったのと同じほどの命が１年で奪われた」と指摘。「ウイルスを克服し、仕事を取り戻し、中産階級を再建し、すべての人に医療保障を確保する」と語った。

　外交・安全保障では「同盟を修復し、世界に再び関与する」と表明。トランプ氏の米国第一主義から国際協調主義に転換するとの考えを示した。
　バイデン氏はオバマ政権で８年間副大統領を務めたベテランで、米史上最高齢の大統領となった。
　就任式には、大統領選で敗北した共和党のトランプ前大統領は欠席。ペンス前副大統領や共和党のブッシュ（子）元大統領、民主党のクリントン、オバマ両元大統領らは出席した。通常は数十万人から１００万人以上が参加し祝賀ムードに包まれるが、今回は議会襲撃事件を受け周辺には州兵が配置され、厳戒態勢が敷かれた。出席は議会関係者らに限られ、市民は近づくことが禁じられた。
　バイデン氏は就任初日の２０日、コロナ対策強化や地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰などに関する１７件の大統領令などに署名した。

東京新聞
2021年01月21日 07時07分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81102