菅総理が、「日本学術会議」が新会員候補として推薦した105人のうち6人の任命を見送った問題。これに対し、日本学術会議は3日午後に開いた幹事会で菅総理への要望書をとりまとめました。

 任命が見送られたのは、早稲田大学の岡田正則教授、東京大学の加藤陽子教授ら6人で、安保法制や“共謀罪”などに反対を表明した学者らが含まれています。要望書では、6人が任命されない理由の説明を求めるとともに、6人を「速やか」に任命するよう求めました。

 3日、総理大臣官邸の前で開かれた集会。今回の「任命見送り」に抗議する学者など200人以上が集まり、任命が見送られた学者の一人、早稲田大学の岡田教授も参加して、法的な根拠に欠けると訴えました。

 「監督権なんかないんですよ。監督権があるからというのは、全く法律を知らない素人の人の議論。内閣総理大臣も『ごめん、ちょっと名簿見誤っちゃったから直します』と、潔く訂正すればいいだけの話」(早稲田大学 岡田正則教授)

Q.学術会議の6名を任命除外した理由は? 会見などで説明する考えは?
 「法に基づいて適切に対応した結果です」(菅首相)

 この問題について2日、菅総理は報道陣の問いかけに「法に基づいて対応した」としています。

 しかし、過去には政府は全く違う見解を示しています。1983年、当時の中曽根総理は、日本学術会議の会員の任命について「政府が行うのは形式的任命にすぎない」などと答弁していました。

 この答弁について事前に検討した際のものとみられる文書が残っていることも分かりました。文書は内閣法制局の「法律案審議録」に含まれた「日本学術会議関係想定問答」で、44番目の問答内容としてこう書かれています。

 問:「内閣総理大臣による任命は実質任命であるのか」
 答:「推薦に基づいて会員を任命することとなっており、この任命は形式的任命である」

 文書を国立公文書館で確認した立憲民主党の小西洋之参議院議員は、「文書は内閣法制局の審査により確定された政府統一見解であり、国会で議決された法律の根幹の解釈を示すもの。これと矛盾する菅総理の任命拒否は違法と言わざるを得ない」と話しています。

TBS NEWS
3日 16時31分
https://www.youtube.com/watch?v=iJgPTeOg4P8