国の家賃支援給付金事業を巡り広告大手の電通社員が下請けに圧力をかけた疑いで、事業を所管する経済産業省は電通側に不適切な言動があったことを認めた。だが、経産省は「圧力」の具体的な内容を把握しておらず、事実解明に後ろ向きな姿勢が鮮明となった。

 経産省中小企業庁は十九日の野党合同ヒアリングで「電通の社員が不適切な発言をした」と認めた。同省の担当者は、持続化給付金の事業の委託先である一般社団法人「サービスデザイン推進協議会(サ協)」の代表理事で電通グループの執行役員から報告を受けただけで、自らは具体的な内容を聞かなかったという。

 経産省は今後、圧力の具体的な内容の確認を進める方針。しかし、調査はあくまでもサ協を通じてで、電通を直接ヒアリングすることに、担当者は「持続化給付金の支給に影響があってはいけない。サ協と相談した上で決めたい」と後ろ向きだ。

 電通による圧力疑惑は十八日発売の週刊文春が報じた。文春によると、電通の社員が複数の下請け企業に対して、イベント会社「テー・オー・ダブリュー」(TOW)の社員を通じ、家賃支援給付金の事業に協力しないよう求める文書を送った。TOWは持続化給付金事業の外注先となっている。電通やTOWは、この問題に関与したとみられる従業員を処分したと発表している。 

  (大島宏一郎)

東京新聞
2020年6月20日 07時12分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/36757