昨夏参院選をめぐり、広島県の地元政界に多額の現金が配布された公選法違反事件で、買収容疑で逮捕された衆院議員で前法相、河井克行容疑者(57)=自民離党=が妻の参院議員、案里容疑者(46)=同=の後援会幹部に現金を渡し、入会者集めを依頼した疑いがあることが19日、関係者への取材で分かった。河井容疑者は「よろしく」などと言い、白紙の入会届と現金を渡したという。

 この現金も逮捕容疑に含まれるもようで、東京地検特捜部と広島地検は後援会幹部からも任意で事情を聴き、総額約2570万円に上る大型買収事件の全容解明を急いでいる。
 関係者によると、河井容疑者は、案里容疑者が自民党の公認で参院選に出馬することが決まった2019年3月以降、後援会の複数の幹部に現金を提供。白紙の後援会入会届の束と案里容疑者のポスターを渡した。幹部らは検察当局の任意の事情聴取に対し、「(河井容疑者から)『よろしく』と手渡された」などと話し、現金受け取りを認めたという。
 逮捕容疑などによると、河井容疑者は19年3〜8月、票の取りまとめなどの選挙運動に対する報酬として県議や地元首長らに約2400万円を提供。案里容疑者と共謀し、計170万円を渡した疑いが持たれている。
 県議らへの現金は、同4月の統一地方選の「陣中見舞い」や「当選祝い」などの名目で提供されたとみられている。検察当局は、後援会幹部に渡った現金の趣旨について、県議らへの現金よりも選挙運動に対する報酬色が強いとみて調べているもようだ。
 河井容疑者と案里容疑者の弁護人によると、河井容疑者は「不正な行為は一切していない」と容疑を否認。案里容疑者も「違法な行為をした覚えはありません」と否認している。

時事通信
2020年06月20日07時24分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061901027&;g=soc