毎日新聞は6日、社会調査研究センターと共同で全国世論調査を実施した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて安倍晋三首相が緊急事態宣言を5月末まで延長したことについては「妥当だ」との回答が66%を占めた。「地域を限定すべきだった」は25%、「延長すべきではなかった」は3%だった。

 厳しい外出自粛や休業要請が続く13の特定警戒都道府県とそのほかの34県に分けても回答の傾向は変わらず、13都道府県で65%、34県でも66%が「妥当だ」と回答。「地域を限定」もともに25%だった。

 一方、自分の住む都道府県で5月末までに緊急事態宣言が解除できると思うかについては地域によって差が出た。全体では「解除できると思う」が35%で、「解除できると思わない」の46%を下回った。13都道府県に限れば「思う」28%、「思わない」53%と悲観的な回答が半数を超えたのに対し、34県では「思う」51%、「思わない」31%と逆転した。

自粛緩和と経済活動の回復に期待

 全国を対象に緊急事態宣言を延長しなければならない現状への理解は共通していても、感染者数が比較的少ない地域では自粛の緩和と経済活動の回復を期待する声が強まっていることがうかがわれる。地方別にみると、東北と中国地方で「思う」が半数を超えた。

 緊急事態宣言の発令下で過ごした大型連休中、どの程度外出したかも尋ねた。「仕事や買い物など必要最小限の外出にとどめた」が82%を占めた。「全く外出しなかった」の15%と合わせて、ほぼ全員が外出自粛に努めていたことになる。「旅行や観光、レジャーでも外出した」は1%。13都道府県と34県で傾向に差は見られなかった。

人と接触する機会「8割以上減った」56%

 緊急事態宣言の発令後、人と接触する機会が「8割以上減った」56%、「半分以上減った」26%と感染防止の取り組みも広がっている。減り方が「半分に届かない」は9%、「ほとんど減っていない」という人も9%いた。13都道府県では「8割以上」が60%、34県では48%だった。

 新型コロナウイルスに対する日本の医療・検査体制に「不安を感じる」は68%に達し、「不安を感じない」の14%を大きく上回った。検査件数がなかなか増えない中で医療崩壊の懸念が指摘され、自分が感染しても十分な検査・治療が受けられないのではないかという不安が広がっているようだ。

9月入学制度「賛成」45%、「反対」30%

 学校の入学時期を9月に変更することが検討されているが、9月入学制度に「賛成」45%、「反対」30%、「わからない」24%と回答が割れた。国民の間に理解や議論が広がっているとは言い難い。

 安倍内閣の支持率は40%で、当初の緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日に実施した前回調査の44%から4ポイント減。不支持率は45%(前回42%)と逆転した。

 政党支持率は自民30%(前回34%)▽日本維新の会11%(5%)▽立憲民主9%(9%)▽共産5%(4%)▽公明5%(3%)▽れいわ新選組2%(3%)▽国民民主2%(1%)など。「支持政党はない」と答えた無党派層は33%(36%)だった。

 調査は18歳以上を対象に6日午後5〜8時、コンピューターで無作為に数字を組み合わせた携帯電話と固定電話の番号に自動音声応答で電話するRDS法で実施。携帯575件、固定575件の計1150件の有効回答を得た。携帯では自動音声応答で協力を依頼し、承諾が得られた場合にショートメールで回答ページへのリンクを送付する方式を4月調査から採用している。【平田崇浩】

毎日新聞
2020年5月7日 05時00分
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20200506/k00/00m/010/133000c