「週刊文春」2020年3月26日号に掲載された大阪日日新聞記者・相澤冬樹氏による記事「森友自殺〈財務省〉職員遺書全文公開 『すべて佐川局長の指示です』」が大きな反響を呼んでいる。「週刊文春」編集部は完売により記事が読めない状況を鑑み、文春オンラインで全文公開する。真面目な公務員だった赤木俊夫さんに何が起きていたのか。森友問題の「真実」がここにある。( #1、#3、#4も公開中)

出典:「週刊文春」2020年3月26日号

◆ ◆ ◆

《あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行った》

《その後の3月7日頃にも、修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました。

(注・近畿財務局の)楠管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局中村総務課長をはじめ田村(注・嘉啓)国有財産審理室長などから楠部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとし、美並近畿財務局長に報告したと承知しています。

 美並局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと楠部長から聞きました。

(中略)本省からの出向組の(注・管財部の)小西次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省杉田補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。

(大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています)》



 この記載から以下のことがわかる。

 現場の赤木俊夫さんは不正な改ざんに反対した。
→それに上司の楠敏志管財部長もいったんは同調した。
→しかし財務省理財局の中村稔総務課長(現・イギリス公使)らが圧力をかけ覆した。
→最後は近畿財務局トップの美並義人局長(現・東京国税局長)が「全責任を負う」と述べゴーサインを出した。
→大阪地検特捜部はすべてを知っていたが、全員不起訴にした。

「公務員として最低の人間や」

 また、ここで批判的に書かれている近畿財務局管財部の小西眞次長について、昌子さんには忘れられないエピソードがある。17年5月14日、日曜日。俊夫さんはこの日も休日出勤。昌子さんもたまたま近くで用事があり、近畿財務局の最寄りの大阪メトロ谷町四丁目駅で降りて、職場までの坂道を連れだって歩いていた。

 すると前方に、同じように休日出勤する小西次長の後ろ姿があった。俊夫さんは「あっ、次長や。あの人、こんな時にもスポーツジムに通ってる。体力あるんや」と話した。そこで昌子さんが「声をかけたら?」と言うと、俊夫さんは不機嫌な顔になって「公務員として最低の人間や」とつぶやいたという。

 この日の俊夫さんのメモ帳には、「小西次長も同時刻出勤されていた 話しはせず」と書かれている。



《これが財務官僚機構の実態なのです。

 パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです。

(中略)杉田補佐などが過剰反応して、修正範囲をどんどん拡大し、修正した回数は3回ないし4回程度と認識しています。》



俊夫さんは一人で不正な改ざんのかなりの部分を担わされた

 俊夫さんの直属の上司だった池田氏は改ざんについて「自分がやればよかった」と昌子さんに話している。一方、俊夫さんは生前、若い部下二人には「やらせていない。そこはよかった」と話していたという。とすれば、俊夫さんは一人で不正な改ざんのかなりの部分を担った(担わされた)のだろう。

 その若い二人と俊夫さんは、改ざんに涙を流して抵抗したと、彼らの上司だった池田氏は後に昌子さんに話したそうだ。

 財務省の情報隠蔽はこれにとどまらない。森友学園への国有地売却問題を受けて近畿財務局が会計検査院の特別検査を二度にわたり受けた際、財務省は次のように対応したという。



《決議書等の関係書類は検査院には示さず、本省が持参した一部資料の範囲内のみで説明する。

(中略)応接記録をはじめ、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は「文書として保存していない」と説明するよう事前に本省から指示がありました。》



続きはWebで

文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/36819