菅義偉官房長官が10日午前の閣議後会見で、「桜を見る会」の2013〜17年度の5年分の招待者名簿の管理・廃棄について、公文書管理法が義務づける手続きをとっておらず、同法違反にあたることを認めた。公文書管理に詳しいNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、「事務的な記載漏れ」という菅氏の説明を疑問視する。

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 「桜を見る会」の招待者名簿をめぐる菅官房長官の発言を聞き、公文書管理への理解があまりにも不十分だとの印象を受ける。

 招待者名簿を管理する内閣府にしてみれば、管理簿や廃棄簿に記載があるかどうかなど、すぐに分かる話だ。公文書管理法に基づく運用がなされているかどうかにしても、事務方は即答できるはずなのに、菅氏は記者団から質問を重ねられてようやく答弁する場面があまりにも多い。

 菅氏が内閣府に指示を出せば、すぐに明らかになることばかりだ。菅氏の態度を見ていると、内閣府をグリップできていないようにも見える。もしくは、桜を見る会に関する話題なので、あえて報告を求めていないのではないかとの印象も受けるほどだ。

 菅氏は10日の会見で「事務的な記載ミス」と説明していたが、管理簿に5年分も不記載であった以上、そんなレベルのミスではないことは明らかだ。内閣府の中で招待者名簿を管理簿に記載しないという引き継ぎでも行われていたのだろうか。

朝日新聞
2020年1月10日20時50分
https://www.asahi.com/articles/ASN1B65T6N1BUTFK01F.html