「潮目が変わる」とは、こういうことを言うのだろう。安倍首相が2019年11月20日に在職日数で桂太郎を抜き、憲政史上最長を記録。と同時に、7年にわたって権勢を振るってきた安倍1強支配にほころびが目立ち始めた。

 秋の臨時国会が始まった途端、経産相と法相という重要閣僚が立て続けに「政治とカネ」の問題で辞任。側近の萩生田文科相による「身の丈」発言がきっかけで、安倍政権が推進してきた大学入試への英語民間試験、さらには国語と数学の記述式問題も土壇場で導入が見送られることになった。大学入試改革の2本柱が頓挫したのだ。

 得意ぶってきた外交でも、米国には貿易で不平等条約をのまされ、北朝鮮との拉致問題は1ミリも動かず、北方領土は2島返還も暗礁に乗り上げるなど、もはや八方ふさがりは隠しようがない。

「皮肉なことに、最長記録樹立で振り返れば、長いだけで何ひとつ実績がないことがバレてしまった。長期政権は腐敗の記録でした。モリカケ問題もそうだし、極め付きが『桜を見る会』の疑惑です。オトモダチ優遇、政治の私物化、法律違反、不都合な公文書の廃棄など、安倍政権の問題がすべて詰まっている。しかも、首相本人の問題だから、役人に責任を押し付けることもできない。この問題からはどうしたって逃れられず、2020年中の退陣は避けられないでしょう」(政治評論家・森田実氏)

 これまで「安倍4選もアリ」としていた自民党内の空気も変化してきている。党の顔が安倍首相では次の選挙が危ういと思えば、一気に風向きが変わるものだ。各社の世論調査でも「次の首相」には石破元幹事長の名前がトップに挙がるようになった。


 安倍首相の悲願とされる改憲も4選がなければ絶望的。経済も成長戦略の柱の「カジノ」は現職国会議員の逮捕で暗雲。

 おごれる腐敗政権には悲惨な末路が待っている。

日刊ゲンダイ
20/01/01 06:00
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