国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、元従軍慰安婦を題材にした「平和の少女像」などの作品を展示した企画展の会場に脅迫文を送ったとして、威力業務妨害罪に問われた愛知県稲沢市の元トラック運転手、堀田修司被告(59)の初公判が29日、名古屋地裁(板津正道裁判長)であり、堀田被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役1年6月を求刑し、弁護側は執行猶予を求めて即日結審した。判決は11月14日。

 堀田被告は8月2日、愛知県一宮市のコンビニエンスストアから企画展「表現の不自由展・その後」会場の愛知芸術文化センター(名古屋市東区)に「要らねえだろ史実でもねえ人形展示。大至急撤去しろや。さもなくばガソリン携行缶持って館へおじゃますんで」などと書いたファクスを送信。担当職員らの正常な業務を妨害したとして起訴された。不自由展は脅迫などで安全が確保できないなどとして開幕から3日間で中止された(10月8日に再開)。

 証拠調べでは、SNSで展示を知り、仕事の合間にファクスを送信したことが明らかになり、「京都アニメーションのことに触れるとインパクトがあると思った」との供述調書が読み上げられた。被告人質問で堀田被告は「(自分の考えと異なる)人形を撤去してもらいたかった。夏休みなので、子どもに見せたくなかった」と述べた。

 検察側は論告で「京都アニメーションの放火事件を想起させ、職員に多大な不安をあおった」と指摘。弁護側は、愛知県にふるさと納税し謝罪文も送っているとして執行猶予付きの判決を求めた。【川瀬慎一朗】

毎日新聞
2019年10月29日 12時46分
https://mainichi.jp/articles/20191029/k00/00m/040/120000c