日韓関係が悪化する中、関西有数の温泉地、神戸市の有馬温泉でも韓国人の観光客が減っていて、地元の観光協会が対応を協議しました。
有馬温泉観光協会によりますと、韓国のお盆の期間にあたる来月は例年、韓国からの宿泊客が増えますが、ことしは大幅に減る見通しだということです。

このうち創業800年の老舗の旅館では例年、この時期には数十人規模で韓国人観光客の予約が入るということですが、ことしは中国などほかの国からの客が増える一方、韓国からの予約は去年の4分の1ほどしかないということです。

有馬温泉では一部のみやげ物店にも影響が出ていて、このうち外国人向けに温泉街で食べ歩きをしやすいコロッケなどを販売している店では、韓国人の客が半分ほどに減っているということです。

有馬温泉観光協会では23日、理事会を開いて対応を協議しましたが、日韓関係の改善が見込めない現状では韓国からの客を呼び込むのは難しいとして、ほかの国からの観光客を増やそうと各国の旅行会社などと連携していくことになりました。

有馬温泉観光協会の金井啓修会長は「日韓関係の潮目が変わる兆しは見えず、中国などほかの国から幅広く取り込めるよう取り組んでいく」と話していました。

■大阪 道頓堀のたこ焼き店 韓国の観光客が10分の1に

外国人にも人気の観光地、大阪 道頓堀でも、訪れる韓国人観光客が大幅に減っているという声が聞かれました。

このうち、ふだんは客の4組に1組ほどは韓国からの観光客だという大阪名物のたこ焼き店では、韓国人の客が10分の1ほどになっていて、23日は午後3時までに1人も訪れなかったということです。

店の責任者の男性は「中国からのお客さんなども多く、経営に直結することはありませんが、国と国との関係の悪化で韓国の方が来てくれないのは、とてもさみしいです」と話していました。

■大阪 韓国食材店の韓国人や日本人客「仲よくしてほしい」

韓国の食材などを扱う店が多く建ち並ぶ、大阪 東成区のJR鶴橋駅前の商店街でも客足に影響が出始めているとして、日韓関係の改善を願う声が相次いで聞かれました。

このうち、キムチを扱う店の韓国人の女性は「日本人のお客さんが減っているように感じます。関係が悪くなっていますが、それは政治の問題であり、市民には関係ないと思います。みんなが仲よく協力するのがいちばんよく、どちらの国の政治家にも国民や経済のことを考えて仲よくしてほしいです」と訴えていました。

また、韓国のプサン(釜山)出身でチヂミを扱う店の女性は、関西空港とプサンを結ぶ便が減便された影響で、里帰りの予定も変更を余儀なくされたということで「日本と韓国の関係は今がいちばんひどいと感じる。とにかく早くいい関係に戻ることを願っています」と話していました。
また、日本人の客の数がこの1か月ほどで半分くらいになっているとしたうえで、「日本と韓国は、兄弟のようなもので、こんな状態になるのは切ないです」と話していました。

一方、商店街の近くにある韓国のアイドルグッズを扱う店を訪れていた日本人の客からも関係の改善を願う声が相次いで聞かれました。

高校生の娘と愛知県から訪れた女性は、「関係の悪化について取り上げるニュースが多いですが、市民は関係ないと思います。早く関係が改善してほしいし、韓国に旅行にも行きたいです」と話していました。

また、友人どうしで訪れた韓国語を学ぶ大阪の女子高校生は、「日本と韓国の仲が悪くなったと言いますが、国は国で私たちは私たちであり国民どうしは仲よくやっていけばいいと思います」と話していました。

NHKニュース
2019年8月23日 17時04分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190823/amp/k10012045961000.html