日本政府を今突き動かしているのは、つまるところサンフランシスコ平和条約に基づく「戦後処理」の枠組みが崩れることへの危機感だろう。

 条約の賠償規定は、米国の意向で日本に寛大なものとなった。韓国は英国の横やりで講和会議に参加できなかったが、1965年の日韓基本条約と請求権協定は広い意味でサンフランシスコ体制に含まれる。両国は大局的観点から歩み寄った。

 ところが、徴用工問題で昨年10月に出た韓国大法院の判決は、日本が不法に韓国を併合したのだから個人の…

この記事は有料記事です。

残り781文字(全文1006文字)
毎日新聞 2019年8月3日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20190803/ddm/003/010/052000c