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2019/06/19(水) 12:38:32.76ID:K+ifmv/r9「このような事態を招いたことを、深くおわび申し上げます」
6月14日の衆院財務金融委員会。金融庁の三井秀範企画市場局長はそう述べ、謝罪した。
かつて、森友問題に絡み、国会でうその答弁を重ねた財務省理財局長(当時)の佐川宣寿氏を連想させる。
「これまでの政府のスタンスと異なっており、正式な報告書としては受け取らない」と言い放った麻生太郎金融担当相に、忖度しているかのようだ。
金融審議会は、内閣総理大臣らの依頼を受けた専門家が金融に関する重要な問題を議論する会議だ。今回の報告書は、金融庁が事務局を務め、昨年から12回の会合を重ねてまとめられた。麻生氏は諮問しておいて報告書を受け取らないというのは前代未聞の暴挙だ。
報告書を作った金融審議会の委員の一人は憤り、こう批判する。
「自分から意見を求めておきながら、受け取らないというのは間違っている。老後、暮らしていくためには、公的年金だけでは足りなくて、自助努力で預貯金や個人年金など金融資産を準備しておくことは多くの人が共有する認識になっている。それにもかかわらず、政府は選挙を意識して、拒否した。忖度したものしか受け入れないのか」
金融庁官僚がこう話す。
「審議会委員の任命は財務相の名前でやっているので、麻生氏への非難はかなり出ています。2千万円不足というのは、自営業者らが入る国民年金と、サラリーマンらが加入する厚生年金を平均した収入額をもとに試算したもの。国民年金のみの自営業者の場合、2千万円の倍ぐらいの蓄えが必要になります。今は非正規雇用の人が多いので、年金が争点化すると自民党に逆風が吹く」
選挙を間近に控え、気が気でないのは自民党の議員たちだ。ある党幹部がうろたえながらこう漏らす。
「やばいよ、これで大敗かもしれない……。選挙前に大迷惑だよ。年金問題に加えて消費増税で景気を冷やすのは確実だ。せっかく令和の時代になったのに、もっと不景気になれば内閣支持率はガタガタになる。参院で改憲勢力が3分の2を割れば、必ずポスト安倍を巡る政局になる」
前代未聞のドタバタ劇を演じた麻生氏に対し、党内のあちこちから非難の声が出ているという。
「国会答弁を見てもわかるように、麻生氏に懲りた様子はまったくない。『これで収束だ、年金なんて選挙の争点にならん』と言っているらしい。金持ちの上から目線が最悪で、自爆した格好だ。負けたら麻生のせいだと責任を問う声が続々と上がっている」(自民党幹部)
衆参同日選を見送り、参院選だけでも有利に戦えるとタカをくくっていた安倍晋三首相の脳裏にも悪夢が甦る。第1次内閣時の2007年参院選では、「消えた年金」問題で追及を受けたことが一因で大敗。その後、体調不良で退陣に追い込まれたトラウマがあるからだ。
政治ジャーナリストの野上忠興氏がこう指摘する。
「年金は安倍首相にとって鬼門です。今回も年金問題急浮上で自民党を巡る参院選情勢が暗転したと言えます。特に、老・中高年層が反発し、浮動票も動くことになるでしょう。自民党支持層も選挙区のほうで“お灸票”として野党側に投じることも考えられます。改選66の自民優位は崩れ、16年参院選の56を下回る可能性があり得ます」
参院選の勝敗を左右する32の1人区で、議席を確保できると踏んでいた青森や山梨、大分などの激戦区で危機感が高まっているという。最大で50議席を割るとの観測もある。年金問題ばかりか、10月に控える消費増税、北朝鮮の拉致問題やロシアとの北方領土返還交渉も解決の糸口は見えない。日米貿易交渉でもトランプ大統領から農産物の関税撤廃を迫られる始末だ。
2につづく
週刊朝日
2019.6.18 10:00
https://dot.asahi.com/2019061700106.html