日本を覆う「新聞という病」

「本当に安倍さんの招待ではなかったのですか?」「はあ?」−ある新聞社から本日、私はそんな電話取材を受けた。

聞いてみると、昨日から両国国技館で金美齢さん、櫻井よしこさん、富家孝さん、そして私の4人がいた西方のマス席にトランプ大統領が退場する際、近づいてきて、私たちが握手したことがネットで騒ぎになっているらしい。

なんと、「安倍首相があらかじめ招待していたものだ」などというのである。まさに「はあ?」である。

産経新聞がトランプ氏の大相撲観戦の予定をスクープしたのは、4月12日朝刊だった。記事を見た私は、即座にコミッションドクターとしてボクシング界やプロレス界といった格闘技界、あるいは自身が慈恵医大の相撲部だったこともあり、大相撲界にも広い人脈を持つ旧知の富家孝医師にすぐ連絡し、マス席を確保してもらった。

さすがに普段より値段が高く、かなりの金額だった。私は富家氏と相談し、いつもお世話になっている金美齢さん、櫻井よしこさんのお二人をご招待することにしたのだ。

マス席は西方だったが、通路のすぐ横だった。それはトランプ氏らが出入りする通路。朝乃山関への表彰が終わって退場する時、思わず、4人が「Mr.President!」と声をかけるとトランプ氏がニコニコしながら近づいてきて、金美齢さんと握手をしてくれた。

私も手を出すと、大きな手でぐっと握ってきた。カサカサしていて、アスリートのような手だった。私は、野球選手の手のようだと思ったが、考えたらトランプ氏はゴルフの腕前がシングルなので、それはゴルフ選手の手だったのだろう。私のあと櫻井さんも握手したが、富家氏だけがしそびれてしまった。

するとそのシーンがテレビで生中継されており、「安倍首相が国民の税金を使って招待した」などというデマがネットで流されたのである。しかし、今日、新聞社から取材を受けて、「ああ、こうやってデマは“拡散”されていくのか」と思った。

いや、その新聞社は取材を入れてくるだけ、まだマシなのかもしれない。

しかし、今朝の朝日新聞の天声人語も、毎日新聞の以下の記事もひどかった。
https://mainichi.jp/articles/20190526/k00/00m/030/116000c

要するに彼らは日米の蜜月にどうしてもケチをつけたいのである。だが、彼らは「もし中国に先にトランプ氏が搦(から)めとられていたら…」というのを想像したことがあるだろうか。

この「安倍―トランプ」の関係が、もし「習近平―トランプ」だったら、どうなるのかということである。日米の強固な同盟関係に中国は歯ぎしりしている。米中貿易戦争まで発展している現状と、日本と米国との関係のあまりの「差」に地団駄を踏んでいるのである。

中国が、仮に日米関係に楔(くさび)を打ち込むことができれば、「その時」から尖閣をはじめ、日本の危機は始まる。そのことがわかっている国民はトランプ氏を大歓迎し、天皇皇后両陛下も温かく出迎えた。

逆に明らかに中国サイドに立ってきた日本の主要なマスコミは、いちいち皮肉に満ちた否定的な報道を展開している。

覇権国家・中国の利益を願い、中国に「愛(う)いヤツ」と頭を撫でられ、ひたすら彼(か)の国の国益に叶う記事を書きつづける日本の新聞。そんな日本の新聞はネットの発展と共に、国民に呆れられ、窘(たしな)められ、部数を激減させてきた。

私は今週、『新聞という病』を産経新聞出版から上梓する。
https://www.amazon.co.jp//dp/4819113674

国民の思いや利益に相反する日本の一部新聞が、果たして「生き残ること」ができるのか。是非、国民には考えて欲しいと思う。

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門田隆将
https://blogos.com/article/379962/