空母機訓練移転、不透明に=馬毛島地権者
「強硬派」へ交代
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041600893&;g=pol

政府が進める米空母艦載機の離着陸訓練
(FCLP)移転先候補地である鹿児島県・
馬毛島(西之表市)の買収交渉が、地権者側の社長交代により不透明になった。政府は1月
に購入額をめぐり地権者と大筋合意したが、
「強硬派」の社長復帰で今後は話し合いが難航する見通し。米軍は抑止力として空母運用を
重視しているため、日米間の火種になる可能性もある。
 馬毛島の大半を所有するのは開発会社「タストン・エアポート」(東京都世田谷区)。
登記簿によると、防衛省と交渉を進めてきた
前社長が2月19日付で解任され、その父親で2018年10月に辞任した元社長が復帰。
前社長による地位保全の仮処分申請が東京地裁で最近却下された。
 日米両政府は06年に決めた空母艦載機
部隊の厚木基地(神奈川県)から岩国基地
(山口県)への移駐を踏まえ、FCLP実施場所を東京・硫黄島から馬毛島に移すことを
検討することで11年に合意。防衛省と同社の本格的な買収交渉が始まった。
 政府側は当初、買収額として約50億円を
提示したが、同社は400億円超を要求し、
協議は行き詰まった。しかし、18年の社長
交代を契機に交渉は進展。今年1月には買収額を160億円とすることで大筋合意に達した。
 防衛省関係者によると、交渉で強硬路線を
主導したのが復帰した社長。今回の交代劇は、前社長の交渉姿勢に対する社内の不満が背景
にあるとされ、同省幹部は「状況は変わった。大筋合意をほごにしてくる可能性がある」と
指摘する。