米国頼みに「もどかしい」=拉致提起も進展なし−被害者家族

 北朝鮮による拉致被害者家族は28日、米朝首脳会談で拉致問題が再び議題に上ったことをひとまず評価する一方、米国頼みの状況にもどかしさを漏らした。

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母早紀江さん(83)は川崎市内の自宅マンションで報道陣の取材に応じ、「安倍晋三首相が何度も北朝鮮に言おうとしたことをトランプ米大統領が言ってくださった」と話し、ひとまず安堵(あんど)した表情を見せた。
 今回の会談では非核化で合意に至らなかったが、「北朝鮮の要望に対し、米国が前のめりにならずよかった」と指摘。日朝首脳会談のめどが立たず、拉致問題の進展は米国頼みの状況が続いている。「もどかしさは何年も感じているけど、冷静に見守るしかない」と述べた。

 田口八重子さん=同(22)=の兄で被害者家族会の飯塚繁雄代表(80)は「拉致問題がどのように提起されたのか内容が知りたい」と求めた上で、「どういう状況でも私たちは諦めない。『今の状況を打破するには被害者を帰さないといけない』と、北朝鮮に伝えていきたい」と力を込めた。
 「長引くなら、待っていられない」。有本恵子さん=同(23)=の父明弘さん(90)は米朝交渉が不調に終わった心境をこう打ち明けた。「日本が独自で『被害者を帰せ』と北朝鮮に強く迫るしかない。できるだけ早い時期に取り返せるよう話をしてほしい」と訴え、日本政府による働き掛けを改めて求めた。
 また、松木薫さん=同(26)=の姉斉藤文代さん(73)は熊本県庁で記者会見。「いつも議題になるけど、進展はない。何年待てば解決するのか。家族は年を取り、弱っている」と声を落とした。

時事通信
2019年02月28日20時00分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019022801330&;g=soc