【日本国紀】NAVERまとめからもコピペ疑惑【バー・モウの言葉】

新たな情報源を発見

Wikipediaや新聞記事などから大量のコピペをしていて話題となっている百田尚樹『日本国紀』。

なんと「NAVERまとめ」からも転載している疑惑が浮上しました。

costarica氏が次のようにツイートしています。

costarica @costaricacafe

#日本国紀 (3刷)P.445バー・モウの言葉、『ビルマの夜明け』にこのような記述は存在しない。ではなぜ間違えたのか?誤った情報源は何か?と調べたら、NAVERまとめ「戦争に負けてアジアから去った日本への賛美の声」の記述と1箇所の意外/以外を除き完全に一致する。

16:26 - 2018年12月3日

コピペの経緯

指摘されたコピペ経緯がやや複雑なので、これをまとめれば以下のようになります。

@『日本国紀』(p. 445)では、「バー・モウの言葉」が『ビルマの夜明け』から引用したと記されている。

Aしかし『ビルマの夜明け』のなかに、そのような「バー・モウの言葉」は載せられていない。

Bこのような錯誤が起きた原因を調べた結果、「NAVERまとめ」において、『ビルマの夜明け』のカバー写真が挙げられ、その下に当該の「バー・モウの言葉」が引用されている。

Cゆえに、百田氏はこの「NAVERまとめ」を見て、この「バー・モウの言葉」が『ビルマの夜明け』に収載されていると誤解してコピペしてしまった。

ということです。非常に説得力のある説だと思います。というのも少し調べれば、日本会議系のサイトに、この「バー・モウの言葉」とされる言葉が、実は「プン・トモ元情報相の言葉」として載っているからです。

つまり「NAVERまとめ」で発言の主を間違えてたまま記載されたものを、『日本国紀』はそのままコピペしてしまったため、二重の間違いを犯してしまったのだと予想されます。

お世話になっている日本会議の情報よりも、お手軽なNAVERまとめを利用してしまったところに、『日本国紀』の内容の軽さまで反映しているように思えます。

比較テーブル

『日本国紀』p. 445(第5刷)
「日本軍が米・英・蘭・仏をわれわれの面前で徹底的に打ちのめしてくれた。われわれは白人の弱体と醜態ぶりを見て、アジア人全部が自信を持ち、独立は近いと知った。一度持った自信は決して崩壊しない。日本が敗北した時、『これからの独立戦争は自力で遂行しなければならない。独力でやれば五十年はかかる』と思っていたが、独立は意外にも早く勝ち取ることができた。そもそも大東亜戦争はわれわれの戦争であり、われわれがやらねばならなかった。そして実はわれわれの力でやりたかった。それなのに日本にだけ担当させ、少ししかお手伝いできず、誠に申し訳なかった」(『ビルマの夜明け』バー・モウ著)

NAVERまとめ(魚拓)
日本軍が米・英・蘭・仏をわれわれの面前で徹底的に打ちのめしてくれた。われわれは白人の弱体と醜態ぶりを見て、アジア人全部が自信を持ち、独立は近いと知った。一度持った自信は決して崩壊しない。日本が敗北した時、『これからの独立戦争は自力で遂行しなければならない。独力でやれば五十年はかかる』と思っていたが、独立は以外にも早く勝ち取ることができた。そもそも大東亜戦争はわれわれの戦争であり、われわれがやらねばならなかった。そして実はわれわれの力でやりたかった。それなのに日本にだけ担当させ、少ししかお手伝いできず、誠に申し訳なかった。
(昭和三十二年の来日時)

なお余談ですが、makoto氏の指摘によれば、バー・モウ『ビルマの夜明け』には次のようにあるそうです。

冷酷で短気な日本軍人が残虐な振舞いをしたこと、そして、もっと残酷なやり方でビルマとビルマ人及びその資源を日本の戦いのために利用したことについては、疑う余地がない。……これらの軍人はビルマ人の知っているすべての者よりはるかに残虐であったこれらの人々の残虐性、横柄さ、民族的自負はビルマ人の心に戦時中の記憶として深く残っている。東南アジアの非常に多くの人々にとっては、それらのみが戦争の記憶のすべてである。
バー・モウ『ビルマの夜明け』太陽出版, 1995, p. 195.

言っていることが全く逆なのですが…。本当にバー・モウが、日本に感謝してたのか疑わなければならないでしょう。

2につづく

論壇net
2018.12.24 2018.12.26
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