「これは『改正』ではない。『改悪』だ」――まるで政敵の共産党のような言葉で、与党税制改正大綱にカミついたのは、東京都の小池百合子知事だ。

 自公両党は大都市と地方の格差を見直す「偏在是正措置」の一環で、すでに地方に回る都の約5000億円の税収に加え、新たに約4200億円を地方に再配分することを決定。計9000億円超の税収減に不服の小池は、14日の定例会見で「これは『追い銭』だ」「地方へのばらまきイコール選挙に使われる」「頑張って稼いでも、その分また、かっさらわれていく」と口汚く罵倒したのだ。

 約30分の会見時間のうち10分も政府・与党への非難に費やす熱の入れようだったが、1兆円近い税金を地方に吸い上げられる都民にすれば「負け惜しみ」にしか聞こえない。

 小池は11月に自民党都連幹事長の高島直樹都議に「過去の選挙戦で言葉が過ぎた部分があった」と謝罪。12月の都議会定例会でも「都知事選、都議選、衆院選において、選挙とはいえ言葉が過ぎたことについて、率直に陳謝を申し上げた」と説明した。

散々こき下ろしてきた自民党都連に「詫び」を入れてまで連携を求めたが、空回り。石田真敏総務相に何度も面会を求めても、門前払い。全国知事会でも、ひとり蚊帳の外と、都の税収減で浮き彫りとなったのは小池の半端ない嫌われぶり。いくら正論を吐いても、聞く耳を持つ人がいなければ無意味である。

「彼女が敵視してきた石原元知事は07年に都の法人事業税3000億円を移譲した際、国政ににらみを利かせていた都議会のドン、内田茂氏と連携し、当時の福田政権から羽田空港拡張や五輪招致の財政保証などの見返りを勝ち取りました。めぼしい見返りも得られず、カネを取られるだけの小池知事とは雲泥の差です」(都政関係者)

 無能をさらけ出す敵だらけの知事では、都民は、納めた9000億円超もの血税を地方に奪われっぱなしだ。やはり“嫌われ百合子”には、もうお引き取り願うしかない。

日刊ゲンダイ
2018/12/17
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