議運委員長の高市早苗が暴走し、国会はスタート直後から大混乱している。ただでさえ、滞貨一掃の二軍選手が閣僚席に顔を並べているだけに、安倍首相は「国会を乗り切れるのか」と危機感を強めているに違いない。なかでも爆弾となりそうなのが、100万円の“口利き疑惑”が浮上している片山さつき大臣だ。安倍官邸は、状況によっては容赦なく切るとみられている。早くも後任の名前も取り沙汰されている。

「週刊文春」がスクープした片山大臣の“口利き疑惑”は単純だ。

 金属加工会社の経営者が、国税庁への口利きを依頼し、100万円を渡したというもの。経営者は100万円を渡したことを認め、秘書も受け取ったことを認めている。しかも、週刊文春は、片山サイドが経営者に送った<着手金100万円を、至急下記にお願い申し上げます。ご確認後、国税に手配させて頂きます>と証拠の文書まで掲載している。

 野党が片山大臣をターゲットとして狙っているのは間違いない。

「野党にとって片山大臣は格好の標的です。まず疑惑の構図が分かりやすい。しかも、片山大臣はキャラクターが濃いから、国会で追及したら、ワイドショーやスポーツ紙も取りあげてくれる。恐らく野党は、100万円を渡した経営者、受け取った秘書、国税庁職員の国会招致を要求し、ジワジワと追い込んでいくはずです。会期が12月10日までのこの国会は、スケジュールがタイトです。法案の採決で与野党が激突し、国会が混乱した時、野党は国会の正常化と引き換えに片山大臣のクビを求めていくことになると思います」(政治評論家・本澤二郎氏)

 野党は“口利き疑惑”だけでなく、片山大臣の過去の発言を一つずつ取り上げて攻める方針だという。“口利き疑惑”だけでは「訴訟中のため、お答えできない」と逃げる恐れがあるからだ。片山大臣は過去、弱者をバッシングするなど暴言を吐いている。すでに野党は、新聞、雑誌、テレビなどでの発言を片っ端から集めているという。

気性が激しく、間違いを認めようとしない片山大臣だけに、野党から連日、攻められたら「私は悪くない」と倍にして言い返す可能性がある。

 しかし、首相周辺は、片山大臣を守るつもりはないらしい。場合によっては“強制辞任”させるつもりだろうとみられている。

「いま官邸周辺は、様子見です。片山大臣を積極的に守る空気もないが、切り捨てるムードもない。でも、少しでも政権にダメージを与えるようだったら、有無を言わさず、辞めてもらうつもりでしょう。スキャンダルがあってもかばい続けた稲田朋美氏とは違います。どうせ更迭するなら、この国会中でしょう。来年は統一地方選と参院選が控えている。片山大臣は爆弾のようなもの。もし、選挙の直前に爆弾が破裂したら大変なことになる。爆弾を処理するなら年内がいい。新年を迎えると、日本人は前年のことは忘れますからね。すでに、片山大臣の後任として森まさこ氏の名前が挙がっています」(政界関係者)

 いまごろ、安倍首相は、二軍選手を次々に入閣させたことを後悔しているのではないか。

日刊ゲンダイ
2018/11/01 06:00
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